宝物。

ひとり言など

浴衣姿…

2018-07-18 23:15:22 | 白と黒

「ちっちゃっ!!」

思わず口走ると

「何が!!」と杏子は怒った…

 

沙織はスラリと背が高く、浴衣姿がユリのようだった。

しかし、杏子は七五三のようで千歳飴を持たせたいくらいだった。

バタバタ歩く姿は浴衣を着ていても色気などなく

ヨシヨシと思わず頭をなでてしまいたくなる衝動に駆られる。

 

「かき氷もういらんからあげる!!」

とポンと渡され「頑張れよ~♪」と

逆に茶化されあっという間にいなくなった。

 

「お前も頑張れよ!!」

と言いたかったが、言えなかった…

 

沙織は、目をパチパチさせながら

「相変わらず、杏子さん可愛いね、二人でどこに行ったのかな♪」

と言った。

 

「千歳飴でも買いに行くんだろっ」と呟くと、

沙織がびっくりしたように自分を見つめた…

 

ふと我に返り、「いや…何でもない」

と、その場を繕った。

 


花火…

2018-07-18 22:51:54 | 白と黒

「ドーン、ドーン」と大きな音が続いた。

港から見える花火は、空いっぱいに広がり

自分の上に落ちてくるようだった。

隣で目をキラキラさせながら見ている姿を

何気なく眺めた。

 

蒸し暑く、汗ばむ…

ソフトクリームは失敗だった。

すぐに溶けてあまり美味しくなかった…

 

「夏はかき氷に限る!」と言い切る

杏子を思い浮かべた…

 

「ソフトクリームは失敗だったね…」

という言葉に、「いや…」と返す…

「おいしいよ…」と返す…

 

「嘘ばっかり」と笑う沙織に

「本当に…嘘だ…」と心のなかで呟いた。

 

後ろから、「よっ!!」と

思いっきり叩かれ、振り返ると

そこに浴衣姿の杏子が立っていた。

 

 


流星群…

2018-07-16 22:09:36 | 白と黒

杏子の家は自分の家の近くで、

2階の窓からすぐ見える所に住んでいた。

 

自分は、夏になると窓を開けていることが多く

流れ星が多く見られる時には

夜空を見ながら眠っていた。

 

杏子の家の窓にふと目をやると

今まで明るかった部屋の灯りが消え

杏子も眠るんだな、と思った。

そして、きっと同じ夜空を眺めているんだろうな…

と思った。

 

幾つもの流れ星が放射状にみられ、

キラキラと輝く星たちをいつまでも眺めた。

 

明日はどんな一日になるだろう…

 

幼なじみの杏子も付き合い始めた沙織も

同じ夜空を眺めていた。


羨望…

2016-11-27 11:57:36 | 白と黒

わたしは、告白された彼女と付き合うことにした。

杏子に蹴りを入れたからではない。

 

彼女は杏子の性格とは正反対で

いつも落ち着いていて優しい性格だった。

 

同じクラスだったが、告白されるまでは

ほとんど意識するようなことはなかった。

 

付き合うことになると、同じ部活の友だちからは

羨ましがられた。

「なんで、お前なんだよ!!」

と攻められた。

サラサラと風になびく髪と美しく長い手足の彼女には

隠れファンが沢山いたのだった。


ランドクルーザー40…

2016-04-14 21:44:21 | 白と黒

わたしは彼女を旅行に誘った。

 

赤の車が大好きだった彼女は

わたしの車で行こうと誘うと

少し考えたが

首を縦に振ってくれた。

 

わたしは彼女と一緒ならどこでも良かった。

しかしそういうわけにも行かないから

入念に計画をたてた。

 

笑顔になるにはどうしたら良いか…

まるで、彼女の保護者のような気持ちで

考えている自分が可笑しかった。

 

そういえば、昔ダッフィーが好きだと言っていたっけ…

”よしっ、決めた”

 

彼女のためといっていたが

今は自分が一番ワクワクしている。

まずは資料集めだ…

どこで泊まろうか…

車で聞く音楽も編集して…

服装はラフな感じで…

 

 

ゼブラの意地を見せてやる。