二人のピアニストに思う

gooニュース、注目のトピックスで「フジ子ヘミングがNHK斬り」を見て自分でもブログを作り、発言したくなった。

朝三暮四と理系思考

2012-02-21 12:04:32 | ニュースの見方
先月(2012/1)末に、地震予知の関連情報が話題になった。
「M7(マグニチュード7)級の首都地震が4年以内に起きる
   確率が70%」だ、との東大地震研の見解が報道されて、
   派手な反応を引き起こしたのだった。
この社会的反応は、二つの点で教訓的
、である。

     ★ ★ ★ ★ ★

その第一は、この地震研の見解は新しい情報ではなかったこと
  である。 この同一内容の報告が公開の研究発表会で
  行われたことが、昨秋の新聞(2011/9/17)に、
  既に報じられていたのだから。 
ところがその時には“そうですか記事“であったのに、
  今回(先月)は各報道機関、その他で可也な騒ぎになった。
1/23日の読売新聞朝刊1面に、
  「首都直下型・4年内70 %・M7級・東大地震研試算」
  と特報されると、日経、東京、毎日が夕刊で、朝日、
  産経は翌24日の朝刊で、同じ見出しの記事を伝えた。
  テレビも報道番組だけでなく、いろいろな情報番組で
  取上げた。 
前年と同一内容の報道が、
     何故先月の時は、騒ぎが大きくなったのか。

その原因の一つが、「4年以内に70%」という確率の表現
  である。 昨秋に報じられた時の「30年以内に98%」、
  のことは誰も記憶していないけれど、数学的に、
  「4年以内に70%」と「30年以内に98%」の確率とは、
  同一である。
  しかし、大衆の心理は、30年と聞けば先のことと思い、
            4年と言われれば大変だと感じる。
  朝三暮四(中国の春秋時代の老人の飼猿とのやり取り)
        の話と同じ、で内容的には差はない。
  朝三暮四の話を皆が嗤うが、こうして見ると、
  人間だって猿と同じで、笑う資格は無いのだ。
  これが私の最初の感想だった。 
でも、考えてみれば、人間は必ず死ぬのは、皆が承知
  しているが、病気で余命の宣告をされると
  平素と感じ方が違う、のとも同じである。
  これは、朝三暮四の話とは、違う部分がある。

     ★ ★ ★ ★ ★

もうひとつ、先月の報道が派手になったのを見て感じた
  ことは、又しても理系・文系の問題である。
東日本大震災のマグニチュード9.0は、国内観測史上最大で、
  これに比べると(M7)のエネルギーは、
      東日本大震災(M9)の1000分のⅠに過ぎない
そうは言っても、阪神地震は(M6.9)で、(M9)の
  1400分のⅠのエネルギーでも、あれだけの災害を
  生じたのだから、(M7)も大変な事態であること
  は確かである。  
そうではあるが矢張り、東日本大震災の記憶が生々しい
  タイミングでの地震予報となると、エネルギーの
  大きさに無関係に反応するのが、いかにも日本人
  らしいところである。 
どのタイミングで情報が与えられるか、どのような環境
  で情報が出るか、が情報の内容自体よりも大きく
  作用するところが、問題だと私は感じる。

政府の地震調査委員会は従来から、
  「10年以内に30%、30年以内に70%程度の確率」で
  M7級の首都直下地震、が起こると予測していて、
  今回の上記の東大地震研情報の騒動に際しても
  従来の見解を変えないと、2/9日に主張している。
  なお、京大防災研の「5年以内に28%」との試算
  もあるが、いずれも「Mの数値が1だけ小さくなると、
  発生回数は10倍になる」という地震学の古典的経験則
  から出した結果であり、データの集め方や期間の
          取り方で結論が相違しているだけで、
  画期的な予知根拠が出現したわけではない。
 
処で、東京湾北部の地下構造は、陸のプレートと沈み込む
  フィリピン海プレートの境界が、従来考えられていた
  30~40㎞よりも浅い所にあることが、最近の
  地震波の分析による調査結果で分かった。
  従来、東京湾北部地震についての政府の試算では
  一定の仮定の下で、死者約1万人、経済被害
  約112兆円、と見ていたが、この結果からすると、
  Mの値が同一であっても、震度予想も被害見積りも
  大きくしなければならない。 それについては
  来月、3/8頃に正式公表されるらしい。

地震発生時期の確率を巡る今回の反応よりも、
  この震度予想が防災の在り方を強化するように
  作用する方が合理的な社会的反応、と言える。

     ★ ★ ★ ★ ★

     ▲ 放射能汚染と病院の不徳義:[L-76]
、に晩秋氏が指摘している
 福島原発の関係で大騒ぎする放射線線量を遥かに超えた
  放射線を街の病院で無造作に民衆に浴びせているのを
  誰も問題にしないお国柄である、のと同じである。
そうなる原因は、
     報道関係者も政治家も理系音痴
     であることだ。


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1 コメント

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昨日の報道では (浦島一夫)
2012-03-08 01:10:03
東京湾北部の地下構造は、陸のプレートと沈み込むフィリピン海プレートの境界が、従来考えられていた30~40㎞よりも10kmほど浅い所にあることが分かった、と昨日(3月7日)のテレビで伝えられていました。 テレビでは、その他に日本国内で他の地域との地震の関連の度合いも数値的に報じられていました。 恐ろしい情報jですが、政治家の反応はどうなのでしょうか?
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