先月(2012/1)末に、地震予知の関連情報が話題になった。
「M7(マグニチュード7)級の首都地震が4年以内に起きる
確率が70%」だ、との東大地震研の見解が報道されて、
派手な反応を引き起こしたのだった。
この社会的反応は、二つの点で教訓的、である。
★ ★ ★ ★ ★
その第一は、この地震研の見解は新しい情報ではなかったこと
である。 この同一内容の報告が公開の研究発表会で
行われたことが、昨秋の新聞(2011/9/17)に、
既に報じられていたのだから。
ところがその時には“そうですか記事“であったのに、
今回(先月)は各報道機関、その他で可也な騒ぎになった。
1/23日の読売新聞朝刊1面に、
「首都直下型・4年内70 %・M7級・東大地震研試算」
と特報されると、日経、東京、毎日が夕刊で、朝日、
産経は翌24日の朝刊で、同じ見出しの記事を伝えた。
テレビも報道番組だけでなく、いろいろな情報番組で
取上げた。
前年と同一内容の報道が、
何故先月の時は、騒ぎが大きくなったのか。
その原因の一つが、「4年以内に70%」という確率の表現
である。 昨秋に報じられた時の「30年以内に98%」、
のことは誰も記憶していないけれど、数学的に、
「4年以内に70%」と「30年以内に98%」の確率とは、
同一である。
しかし、大衆の心理は、30年と聞けば先のことと思い、
4年と言われれば大変だと感じる。
朝三暮四(中国の春秋時代の老人の飼猿とのやり取り)
の話と同じ、で内容的には差はない。
朝三暮四の話を皆が嗤うが、こうして見ると、
人間だって猿と同じで、笑う資格は無いのだ。
これが私の最初の感想だった。
でも、考えてみれば、人間は必ず死ぬのは、皆が承知
しているが、病気で余命の宣告をされると
平素と感じ方が違う、のとも同じである。
これは、朝三暮四の話とは、違う部分がある。
★ ★ ★ ★ ★
もうひとつ、先月の報道が派手になったのを見て感じた
ことは、又しても理系・文系の問題である。
東日本大震災のマグニチュード9.0は、国内観測史上最大で、
これに比べると(M7)のエネルギーは、
東日本大震災(M9)の1000分のⅠに過ぎない。
そうは言っても、阪神地震は(M6.9)で、(M9)の
1400分のⅠのエネルギーでも、あれだけの災害を
生じたのだから、(M7)も大変な事態であること
は確かである。
そうではあるが矢張り、東日本大震災の記憶が生々しい
タイミングでの地震予報となると、エネルギーの
大きさに無関係に反応するのが、いかにも日本人
らしいところである。
どのタイミングで情報が与えられるか、どのような環境
で情報が出るか、が情報の内容自体よりも大きく
作用するところが、問題だと私は感じる。
政府の地震調査委員会は従来から、
「10年以内に30%、30年以内に70%程度の確率」で
M7級の首都直下地震、が起こると予測していて、
今回の上記の東大地震研情報の騒動に際しても
従来の見解を変えないと、2/9日に主張している。
なお、京大防災研の「5年以内に28%」との試算
もあるが、いずれも「Mの数値が1だけ小さくなると、
発生回数は10倍になる」という地震学の古典的経験則
から出した結果であり、データの集め方や期間の
取り方で結論が相違しているだけで、
画期的な予知根拠が出現したわけではない。
処で、東京湾北部の地下構造は、陸のプレートと沈み込む
フィリピン海プレートの境界が、従来考えられていた
30~40㎞よりも浅い所にあることが、最近の
地震波の分析による調査結果で分かった。
従来、東京湾北部地震についての政府の試算では
一定の仮定の下で、死者約1万人、経済被害
約112兆円、と見ていたが、この結果からすると、
Mの値が同一であっても、震度予想も被害見積りも
大きくしなければならない。 それについては
来月、3/8頃に正式公表されるらしい。
地震発生時期の確率を巡る今回の反応よりも、
この震度予想が防災の在り方を強化するように
作用する方が合理的な社会的反応、と言える。
★ ★ ★ ★ ★
▲ 放射能汚染と病院の不徳義:[L-76]
、に晩秋氏が指摘している
福島原発の関係で大騒ぎする放射線線量を遥かに超えた
放射線を街の病院で無造作に民衆に浴びせているのを
誰も問題にしないお国柄である、のと同じである。
そうなる原因は、
報道関係者も政治家も理系音痴
であることだ。
「M7(マグニチュード7)級の首都地震が4年以内に起きる
確率が70%」だ、との東大地震研の見解が報道されて、
派手な反応を引き起こしたのだった。
この社会的反応は、二つの点で教訓的、である。
★ ★ ★ ★ ★
その第一は、この地震研の見解は新しい情報ではなかったこと
である。 この同一内容の報告が公開の研究発表会で
行われたことが、昨秋の新聞(2011/9/17)に、
既に報じられていたのだから。
ところがその時には“そうですか記事“であったのに、
今回(先月)は各報道機関、その他で可也な騒ぎになった。
1/23日の読売新聞朝刊1面に、
「首都直下型・4年内70 %・M7級・東大地震研試算」
と特報されると、日経、東京、毎日が夕刊で、朝日、
産経は翌24日の朝刊で、同じ見出しの記事を伝えた。
テレビも報道番組だけでなく、いろいろな情報番組で
取上げた。
前年と同一内容の報道が、
何故先月の時は、騒ぎが大きくなったのか。
その原因の一つが、「4年以内に70%」という確率の表現
である。 昨秋に報じられた時の「30年以内に98%」、
のことは誰も記憶していないけれど、数学的に、
「4年以内に70%」と「30年以内に98%」の確率とは、
同一である。
しかし、大衆の心理は、30年と聞けば先のことと思い、
4年と言われれば大変だと感じる。
朝三暮四(中国の春秋時代の老人の飼猿とのやり取り)
の話と同じ、で内容的には差はない。
朝三暮四の話を皆が嗤うが、こうして見ると、
人間だって猿と同じで、笑う資格は無いのだ。
これが私の最初の感想だった。
でも、考えてみれば、人間は必ず死ぬのは、皆が承知
しているが、病気で余命の宣告をされると
平素と感じ方が違う、のとも同じである。
これは、朝三暮四の話とは、違う部分がある。
★ ★ ★ ★ ★
もうひとつ、先月の報道が派手になったのを見て感じた
ことは、又しても理系・文系の問題である。
東日本大震災のマグニチュード9.0は、国内観測史上最大で、
これに比べると(M7)のエネルギーは、
東日本大震災(M9)の1000分のⅠに過ぎない。
そうは言っても、阪神地震は(M6.9)で、(M9)の
1400分のⅠのエネルギーでも、あれだけの災害を
生じたのだから、(M7)も大変な事態であること
は確かである。
そうではあるが矢張り、東日本大震災の記憶が生々しい
タイミングでの地震予報となると、エネルギーの
大きさに無関係に反応するのが、いかにも日本人
らしいところである。
どのタイミングで情報が与えられるか、どのような環境
で情報が出るか、が情報の内容自体よりも大きく
作用するところが、問題だと私は感じる。
政府の地震調査委員会は従来から、
「10年以内に30%、30年以内に70%程度の確率」で
M7級の首都直下地震、が起こると予測していて、
今回の上記の東大地震研情報の騒動に際しても
従来の見解を変えないと、2/9日に主張している。
なお、京大防災研の「5年以内に28%」との試算
もあるが、いずれも「Mの数値が1だけ小さくなると、
発生回数は10倍になる」という地震学の古典的経験則
から出した結果であり、データの集め方や期間の
取り方で結論が相違しているだけで、
画期的な予知根拠が出現したわけではない。
処で、東京湾北部の地下構造は、陸のプレートと沈み込む
フィリピン海プレートの境界が、従来考えられていた
30~40㎞よりも浅い所にあることが、最近の
地震波の分析による調査結果で分かった。
従来、東京湾北部地震についての政府の試算では
一定の仮定の下で、死者約1万人、経済被害
約112兆円、と見ていたが、この結果からすると、
Mの値が同一であっても、震度予想も被害見積りも
大きくしなければならない。 それについては
来月、3/8頃に正式公表されるらしい。
地震発生時期の確率を巡る今回の反応よりも、
この震度予想が防災の在り方を強化するように
作用する方が合理的な社会的反応、と言える。
★ ★ ★ ★ ★
▲ 放射能汚染と病院の不徳義:[L-76]
、に晩秋氏が指摘している
福島原発の関係で大騒ぎする放射線線量を遥かに超えた
放射線を街の病院で無造作に民衆に浴びせているのを
誰も問題にしないお国柄である、のと同じである。
そうなる原因は、
報道関係者も政治家も理系音痴
であることだ。