9月11日に、BSで
「素数の魔力に取りつかれた人々、リーマン予想」
という再放送TV番組が放映された。
前回も見て、超一流の世界的数学者の資質、能力の凄さに驚嘆
したものだが、今回は別の視点からの感動があったので書き残す。
実は私も若い時に、将来数学者になることを考えた時期があった。
田舎中学で剣道部の稽古以外には特に何もしていなかった私は、
15歳の時に肺病を病んで病床につき、もてあました時間を消化
するために偶然、微積分学の本を見て興味半持ち、読み終えた。
これが恐らく有利に働いたのだろうが、中学在学中なのに
当時難関とされていた旧制高校に入ることが出来た。
高校の寮で同室になったK君は中学時代に微積分学は勿論、
群論、環論なども終えて、類体論を勉強していた。
大学の理工学部でも数学科でなければ学習しない分野だ。
彼に唆されて私は、寮の図書室に一週間閉じ籠って、
複素関数論の本を読んで、その理論の美しさに感動したりした。
数学を将来の進路にするようにと考えたこともあったが、
自分の資質の限界を悟って、それは断念した。
「リーマン予想」で見る超一流数学者の姿からは、
彼らが大学生とすると、私は幼稚園児程度の差があることが、
よく分かるので、私は数学者にならなくて良かった、
と今にして思う。
★ ★ ★ ★ ★
処で、今回「リーマン予想」の再放映を見て、私が
最も興味を持ったのは、
現代数学の最先端の素数分布理論と、
物理学の最先端である核エネルギー順位との、
思いも掛けない相関、 の発見の物語である。
それは、
ヒュー・モンゴメリー(ミシガン大学教授でζ関数のゼロ点の間隔に関心を持つ)
と、 フリーマン・ダイソン(プリンストン高等研究所の名誉教授であり、
原子核のエネルギー順位間隔に関心を持つ)
との、 全く偶然の出会いで生じた。
いずれも世界的に著名な学者ではあるが、片方は数学者、
他方は物理学者であり、従来面識は無かった。
偶々ダイソンの居るプリンストン高等研究所で数学者たちの
集会があった時に、研究会の休憩時間に茶飲み場に来た
ダイソンを見掛けた人物が、モンゴメリーに彼を
紹介してやる、といった。
モンゴメリーは、畑違いでもあるし、別に紹介して
貰わなくても良い、と言ったが、紹介されて、
自分の仕事の話をした。
それを聞いたダイソンが、自身の仕事との関連に
気が付いたのであった。
この日、モンゴメリーがプリンストンに来なかったならば、
或いは、偶々会合の休憩時間にダイソンがお茶を飲みに
降りてこなかったならば、
或いはモンゴメリーの友人がダイソンを紹介してやる
と思わなかったならば、 更に或いは、
それほど気乗りもしていなかったモンゴメリーが
ダイソンへの紹介を受け付けなかったならば、
人類のこの大きな知的な進歩は無かった。
全くの異分野と思われていた二つの領域の相関を
人類が知ったのは、僥倖だった。
人類70億人の中でその様な最先端知識を持っていたこの二人が、
偶々その様な状況で会い、仕事の話をしたのには、
人智を超えた意思が働いたような気もする。
或いは、 「スモールワールド・ネットワーク」の考えを、
此処でも思い知らされる気分である。
{▲人類滅亡論[1]人知の限界 ◆超科学(1):[C-2][05/04/11]
▲ 日米開戦70年(2):[C-266][2011/12/8]、
参照}
「素数の魔力に取りつかれた人々、リーマン予想」
という再放送TV番組が放映された。
前回も見て、超一流の世界的数学者の資質、能力の凄さに驚嘆
したものだが、今回は別の視点からの感動があったので書き残す。
実は私も若い時に、将来数学者になることを考えた時期があった。
田舎中学で剣道部の稽古以外には特に何もしていなかった私は、
15歳の時に肺病を病んで病床につき、もてあました時間を消化
するために偶然、微積分学の本を見て興味半持ち、読み終えた。
これが恐らく有利に働いたのだろうが、中学在学中なのに
当時難関とされていた旧制高校に入ることが出来た。
高校の寮で同室になったK君は中学時代に微積分学は勿論、
群論、環論なども終えて、類体論を勉強していた。
大学の理工学部でも数学科でなければ学習しない分野だ。
彼に唆されて私は、寮の図書室に一週間閉じ籠って、
複素関数論の本を読んで、その理論の美しさに感動したりした。
数学を将来の進路にするようにと考えたこともあったが、
自分の資質の限界を悟って、それは断念した。
「リーマン予想」で見る超一流数学者の姿からは、
彼らが大学生とすると、私は幼稚園児程度の差があることが、
よく分かるので、私は数学者にならなくて良かった、
と今にして思う。
★ ★ ★ ★ ★
処で、今回「リーマン予想」の再放映を見て、私が
最も興味を持ったのは、
現代数学の最先端の素数分布理論と、
物理学の最先端である核エネルギー順位との、
思いも掛けない相関、 の発見の物語である。
それは、
ヒュー・モンゴメリー(ミシガン大学教授でζ関数のゼロ点の間隔に関心を持つ)
と、 フリーマン・ダイソン(プリンストン高等研究所の名誉教授であり、
原子核のエネルギー順位間隔に関心を持つ)
との、 全く偶然の出会いで生じた。
いずれも世界的に著名な学者ではあるが、片方は数学者、
他方は物理学者であり、従来面識は無かった。
偶々ダイソンの居るプリンストン高等研究所で数学者たちの
集会があった時に、研究会の休憩時間に茶飲み場に来た
ダイソンを見掛けた人物が、モンゴメリーに彼を
紹介してやる、といった。
モンゴメリーは、畑違いでもあるし、別に紹介して
貰わなくても良い、と言ったが、紹介されて、
自分の仕事の話をした。
それを聞いたダイソンが、自身の仕事との関連に
気が付いたのであった。
この日、モンゴメリーがプリンストンに来なかったならば、
或いは、偶々会合の休憩時間にダイソンがお茶を飲みに
降りてこなかったならば、
或いはモンゴメリーの友人がダイソンを紹介してやる
と思わなかったならば、 更に或いは、
それほど気乗りもしていなかったモンゴメリーが
ダイソンへの紹介を受け付けなかったならば、
人類のこの大きな知的な進歩は無かった。
全くの異分野と思われていた二つの領域の相関を
人類が知ったのは、僥倖だった。
人類70億人の中でその様な最先端知識を持っていたこの二人が、
偶々その様な状況で会い、仕事の話をしたのには、
人智を超えた意思が働いたような気もする。
或いは、 「スモールワールド・ネットワーク」の考えを、
此処でも思い知らされる気分である。
{▲人類滅亡論[1]人知の限界 ◆超科学(1):[C-2][05/04/11]
▲ 日米開戦70年(2):[C-266][2011/12/8]、
参照}
本でB5で3ページぐらい
リーマン予想を肯定的に解決しました。