Max Rod Craft Blog

Max Satohの工作に関するブログ

シルクラインの疑問 第1回 ラインの構造と塗装について

2015年02月12日 | シルクフライライン

これまでシルクフライラインを自分で作ってきた過程で感じた疑問について、一つ一つ考えたり調査したりして、納得のいく答えを見つけたいと思う。  世の中あまりにも多くのデマや風聞が飛び交っているのでね。

そこで順次テーマを設定して考察してみよう・・・かな?

第1回目は、シルクラインの構造と塗装について

シルクラインの塗装には主として乾性油を用いる。  乾性油についてはまた今度。

まず、理想的なシルクラインの塗装というのは、コーティング(外皮塗膜)なのか含浸なのかということについて考えてみよう。

理想的なシルクライン(当然ドライライン)ってのは、一定の重さがあって、防水・撥水して水面に浮く、ということなんだな。
  
フライフィッシングではラインに重さが無ければ飛ばせないし、ラインが浮かなけりゃドライフライで釣りができないわね。

防水と撥水の能力は、使用中の浸水による重さの変化、撥水による浮力の変化という形で影響を与えるんだな。 

また、外部を中心に被膜をつくり、内部に空気の中空層を作るような塗装法をコーティングという言い方をし、芯の内部まで塗料を浸み込ませる方法を含浸ということに一旦してみよう。 (この差は非常に微妙で、実際に実現することは非常に困難ではあるが・・・)

ラインの内部に空気層を持つことはラインの比重を下げ、より大きな浮力を実現することになり、実現できればドライフライラインにとっては福音となる。 いわば中空のシルクラインってことだ。

ケミカルライン(PVCコーテイング)では内部は中空ではなく、比重の低いコーティング剤の化学的性質によって浮力を維持している。 内部にはライン強度を上げるための芯材が入っている。

一方、芯まで塗料の浸み込んだシルクラインでは、その比重は固化した塗料(乾性油)自体の比重に大きく左右されることになる。
  
一般にシルクラインの比重は1.2位で水よりもやや重く、水中でやっと漂っているという感じなのだ。 これに色んな油(たとえばMuciline)を表面に塗ることで撥水性を高めて水面に浮かして使っているんだな。 油が切れると沈んでしまう。

ご理解いただけると思うが、シルクラインってのは絹糸を交互に交差させながら編んだ組紐の構造でできている。 

太い絹糸で編めば帯締めのような太くて編み目のきれいな紐になり、細い絹糸で編めばシルクラインになる。 

また、同じx番手のシルクラインを編むにしても、1本200デニールの絹糸8本で編む場合と、1本100デニールの16本の絹糸で編む場合には、使う絹糸の重量は同じでも出来上がったシルクラインは内部の構造に違いが出るし、出来上がりのラインの太さにも違いが出る。 (デニールは絹糸の太さを表す単位)  

市販のシルクラインはほとんどが8本編みだから表面はゴツゴツだ。  16本編みは、出来上がりのラインは8本編みよりも細く仕上がる。

左8本編み、右16本編み

8本編みでは内部は中空にはならず、ロープのように詰まった状態になる。 一方、16本編み、あるいはそれ以上の本数で編む場合は、使う糸が細くなるために交差する糸は円断面の周囲に位置するが、中央部には空洞ができる。  市販の高番手のシルクラインでは、この空洞を埋めるために敢えて芯糸を入れた上で編んだりする。

更に、シルクラインを編むに当って、編み機ボビンに付いている糸送り機構のテンショナーを強くして硬く編む場合と、テンショナーを緩くして編む場合とで、編みあがったラインに違いが出る。 硬編みするとライン直径は細身に編みあがり、緩く編むと太めに編みあがる。  硬編みしてもラインを放置しておくと網目が自然に戻るという性質もある。

とまあ、こんなことを考えたうえで、コーティング(外皮塗装)か含浸か、ということを考えてみると・・・

コーティング(外皮塗装)をするには、絹糸には含浸させるが、内部の中空部分には塗料を入れたくない。 従って、一旦絹糸に塗料を含浸させた後はライン表面にのみ塗料を塗り重ねていくような塗装法や、それに見合った塗料を選ぶことになるのだろう。 外皮塗装には塗料の濃度は高い方が良さそうだね。

含浸させたければ、ラインを塗料に漬け込み、ライン内の空気を抜き、芯まで塗料を浸み込ませる、といった方法になるんだろうね。  

圧力を加えたり、下げたりして含浸効果を上げる方法が昔から行われているようだが、塗料をテレピン油などで希釈すれば、そんな大がかりな装置は無くても簡単に含浸させることはできる。

圧力釜を使うのは、多分に使う塗料の濃度と、ライン自体が硬く編まれているか否かということに関係があると思われる。 

市販の煮亜麻仁油程度であれば圧力釜など使わなくても含浸させることはできる。  おそらく硬く編んだラインにサンシックンドのような濃い乾性油を使ったので圧力が必要だったのではないのかな。  コーティング剤は、ワックスや樹脂を混ぜて煮詰めて作ると濃度が高くなる。

ここで疑問・・・なぜ空気(気泡)が内部に残っちゃだめなの?

ワシャ内部に気泡や中空がある方がささやかにでもドライ効果に貢献すると思うのだがにゃ~・・・

疑問に対する答えは・・・たぶん・・・

気泡があると、表面にあるコーティングの傷、隙間から水が浸入し、ラインが水に沈むようになる。  これは、特にラインの先端部でよくおこる現象である。 ケミカルラインでも然り。

それだけなら、乾かせばまた浮くようにはなる・・・が、シルクの場合、シルクが水分によって劣化する。  そして・・・いつしか・・・切れるようになる。

・・・ということではないか?・・・と思う。

これを避けるには・・・(個人の意見です)・・・

ラインが水に沈む現象を感じだら・・・う~む、水が浸み込んでるな? と理解し、・・・使用後、ラインを乾燥させる。・・・ 乾燥後、表面の油分をきれいにふき取る。  前に使ったと同じコーティング剤で再びコーティングを行う。  

表面にあるであろうコーティングの傷を塞ぐためである。・・・そして再びラインにMucilineなどの油を塗る。

シルクラインの先端部は特に沈みやすいので、コニシボンドSU接着剤なんかで結び目をコーティング(防水)しちゃう。

針で穴開けてリーダーなんかを接続した場合も、シルクラインに空けた穴の部分を防水したほうがいいのかもね・・・

 

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