毎日新聞(サンデー毎日)2021/11/17 05:00(最終更新 11/17 05:08) 有料記事
気恥ずかしい報告があります。公開中の映画「老後の資金がありません!」に「荻原博子役」でちょこっと出演しました。おこがましいのですが、「そんなことでは老後が大変よ」と天海祐希さんが演じた主人公に説教する役です。
この映画は1年前に公開される予定でしたが、コロナ禍で延期されました。撮影があった2019年には、金融庁の審議会が「老後資金が2000万円不足する」という内容の報告書を出し、世の中が大騒ぎになっていました。その報告書は、総務省の「家計調査」(17年)を根拠として、「平均的な高齢者世帯は家計収支が月5・5万円の赤字となり、これが30年間続くと、生活費が約2000万円不足する」という趣旨の記述がありました。「老後の資金がありません!」というタイトルの映画は、当時の世相にぴったりだったのです。
ところが、コロナ禍になって驚きました。
なんと、高齢者世帯の家計収支が一転して黒字になったのです。つまり、「老後2000万円不足問題」が消滅したわけです。
20年の「家計調査」で高齢者世帯の家計収支を見ると、なんと月1111円の黒字になっています。月5・5万円の赤字だった17年から大きく変わっているのです。
17年と20年の家計支出を比べると、「被服及び履物」は約28%減、「教養娯楽費」は約21%減、交際費など「その他の消費支出」は約14%減でした。
収入は年金などの「社会保障給付」が約15%増、「その他」が2・1倍に増えています。「その他」は17年から20年にかけて、年額23万円ほど増えています。政府が昨年支給した1人当たり10万円の特別定額給付金が大半を占めると考えられます。
それ以外については、菅義偉前首相が「自助」を強調する中、新型コロナウイルスにおびえる高齢者世帯が「自分の身は自分で守るしかない」と支出を減らし、蓄えを増やそうと努力した結果でしょう。
努力したのは高齢者世帯だけでなく、他の年齢層の世帯も同じ。家計貯蓄の総額は昨年、35・8兆円に達し、なんと19年の約5・2倍に膨れ上がったのです。
新型コロナの感染が収まれば、人々は活発に消費するようになり、貯蓄は減るのでしょうか。
私はそうは思いません。コロナ禍を経て、国民の多くは「自分の身は自分で守らなくてはならない。政府は守ってくれない」と身にしみたと思うからです。
デルタ株が猛威を振るう中、入院できずに亡くなる人が多くいました。そんな中、「とにかくお金を使わずに貯蓄を増やし、この不確実な状況の中で生き抜こう」と思った人たちの思考は、そう簡単には変わらないでしょう。
しかも、今年4月施行の改正高年齢者雇用安定法によって、事業主は65~70歳の従業員を雇い続ける努力義務を課されました。
22年4月からは、60~65歳の人の年金カットも緩くなります。
年金の受給開始年齢を70歳まで遅らせれば、手取りが増えるようにもなりました。
なるべく長く働き、蓄えを増やし、政府に頼らずに安心な生活を手に入れたい。そう思う人が増えるのではないでしょうか。
コロナ禍で「老後2000万円不足問題」は消えました。しかし、よし悪(あ)しは別として、「国は頼れない」という不安は増した気がします。
荻原博子さん=東京都世田谷区で2021年7月29日、藤井太郎撮影
おぎわら・ひろこ
1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。難しい経済と複雑なお金の仕組みを、テレビ、雑誌、新聞で分かりやすく解説することに定評がある
ふむふむと、読みはしたけど、我が家はどうなっているんだろう?所帯を持った時から、家のことはすべてかみさんに任せっきりなので、先に逝かれたら、水道代も電気代も食費も何もわかりません。もし万一、持ち逃げでもされようものなら、飢え死にだ。まあ、今のところその気配はなさそうだが、一人になったら、どうやって切り詰めていくのかが分からない(泣)。いつも言っているけど「俺より先に死ぬなよ」って!私は、家庭に居てたら、燃えるゴミに燃えないゴミ出しと、子供のお使いに運転手くらいしか出来ませんね~。「老後の資金管理」なんて難しすぎて出来ません!荻原博子先生、ちょっと遅すぎますが、今から勉強してみます。
質素倹約すれば何とかなると信じてます。
年金受取額が突如激減や災害それに生命保険効かないような病。
これは仕方なし。
反対にまだまだ若い働けるや年金支給繰り下げは政府の陰謀と・・・。
この点では私も陰謀論に染まってるのかな?笑
何時も応援ありがとうございます。
そうでしたか!
ブログを拝見しながら、ぼんやり想像していました。
>質素倹約すれば何とかなると信じてます。
私も家内に調理や、物のしまってある所などなどよく質問はしているのですが、ことお金の管理は何もしていません。
>年金受取額が突如激減や災害それに生命保険効かないような病。
そうなんですね。
私は薬はたくさん飲んではいますが、現在のところ呼吸器が弱いのと左脚が上がりにくいくらいで病気の内には入らないと思っています。
>反対にまだまだ若い働けるや年金支給繰り下げは政府の陰謀と・・・。
いやいや、国家予算の丼勘定を国民に負担させるのは目に見えていますよね。
とくに、子供や孫の世代はどんなになっているのか心配です。
>この点では私も陰謀論に染まってるのかな?笑
優秀なる?官僚と政治家のつけを、国民に付け替えているだけのことでしょう。
古くは、前々総理なんかアフリカへの手土産に援助金を落としたり、発展途上国への援助はずっと続いていますが、自分の腹が痛まないので金銭感覚がゼロな気がします。
オリンピックにアベノマスクもそうでしたね。
日本国民がそんなに豊なのか?勉強し直して欲しいものです。
そうだろうなぁとは思ったらしいですが、それほど刺激を受けたようには見えませんでした。今、テレビやインターネットでいろんな情報が流れていますのでね~!(^^)!
はっはっは、そうでしたか。
面白そうですね。
もうそろそろコロナ感染の心配は無くなりましたかね。
>それほど刺激を受けたようには見えませんでした
添付の予告編で言っているようにコメディなんですね(笑)
>今、テレビやインターネットでいろんな情報が流れていますのでね~!
この記事を読んで、自分が何も分かっていないことは認識しましたが、果たして
「収入は年金などの『社会保障給付』が約15%増、などなど・・・年額23万円ほど増えています。」
か、な~?と今思っています(笑)
わが家は、普段のお金は私が会計係でしたが、自分の金は自分で管理していましたよ。
万一、奥様が外出先で無謀運転のジジイの車にぶつけられて大怪我されたら・・
健康でも、今は何が起こるか解りません。
2000万円くらいは皆さん、お持ちらしいですね。
わが家はありませんでしたが、家を売ればなんとかなる、と楽観していました。
ほんと、それで何とかなりましたので、今はお金の心配だけはありません。
無論、子や孫に残したい、など思ったらキビシイでしょうね。
はっはっは、結婚する時も財布はすっからかんでしたよ。
所帯を持って「こりゃいかん」と家内は感じたのか、少しづつ貯蓄もたまって行きました(笑)
>・・・外出先で無謀運転のジジイの車にぶつけられて大怪我されたら・・
いや、本当に!
ぶつけられるより、私の免許返納の方を家内共々よく考えています(汗)
>無論、子や孫に残したい、など思ったらキビシイでしょうね。
いやー、我が家は何とか食っては行けそうに考えていますが、子や孫の時代が気になっている今日この頃です。