英語寄[いぎりすのことばよせ]は、商売に関係する言葉を寄せ集めた商用英語集のようなもの。『萬国通商往来』(明治6年出板)の第39丁裏から第49丁裏まで全21頁にわたって頭注に掲載されている。 今回は、その第5回目(5/21)、当時の往来物に掲載の英語を知る上で大へん興味深い。皆さんと共に当時の英語を垣間見て、興味を分かち合えれば幸いです。
頭注は、それぞれ十行にわたり、「通商」つまり商売にかかわる用語を取り上げ、その英語読みを片仮名で表す。つまり片仮名英語を収録している。
表わし方:「(平仮名による振り仮名付きの漢字)・・・を(片仮名英語)・・・≪≫といふ」、≪≫に英文字を補足。ここでは、振り仮名は[ ]で示し、平仮名の崩し字の読みは()で示す。 崩し字には悩みが尽きない。お気づきの点はご教示を願います。
以下、数字は行を示す。
①出店[でみせ]をメルチェンダイス≪merchandise≫といふ、意味を取り違えているようだ。
②店[みせ]をショツプ≪shop≫といふ
③金子[きんす]をモニー≪money≫といふ
④銭[ぜ尓(に)]をコイン≪coin≫といふ
⑤札[さつ]をペープルモニー≪paper money≫といふ
⑥手形[て可(が)多(た)]をスエルテイフイケート≪*≫といふ
⑦利息[りそく]をイントレスト≪interest≫といふ
⑧拂方[者(は)らい可(か)多(た)]をペイメント≪payment≫といふ
⑨貸方[可(か)し可(か)多(た)]をクレデイトル≪creditor≫といふ
⑩借方[可(か)り可(か)多(た)]をデブトル≪debtor≫といふ
注:
①『和英語林集成』を見ると、デミセ、出店 とあり branch store とある。訂正したい。
⑥『和英語林集成』を見ると、テガタ、手形とあり certificate とある。不安解消*印に補充≪certificate≫
<挿図>
『萬国通商往来』明治6年(1873)、神奈川県立図書館k670.3/2
『和英語林集成』慶応3年(1867)、明治学院大学デジタルアーカイブ、横浜開港資料館D.VIII.7C