文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

外国商通ことば92:下段③87-91

2012年04月09日 | 文明開化と平仮名英語

 92:下段③本文87-91
 

②『外国商通言葉集』は単語中心の構成のためか、商売上のやり取りを表す言葉は収録されていない。①『外国商通ことばつけ』や③『外国商通古と者附』にある商売上のやり取りなどの言葉が収録されている部分・・・短文とかフレーズの部分が本命の筈なのだが・・・③と①は多少の言葉つかいに違いがあるものの同じと見做してよさそうだ。上下に分けて搭載したから細部の違いも比較検討できるでしょう。数回に分けて取り上げ補足することに・・・

今回は、補足の第3回目で外国商通のやり取りのある部分・・・③『外国商通古と者附』にある87行目から91行目までをとりあげる。この範囲は①『外国商通ことばつけ』の39行目から43行目に相当する。

87行目 ③『外国商通古と者附』:日本語≪かん志(し)よう≫①39行目『外国商通古と者つけ』:日本語≪可(か)ん志(じ)やう≫英語よみ③≪ゑつ古(こ)らんど≫①≪ゑつこらんど≫英語綴りは・・・account.・・・日本語の
読みを比較してみると、濁音がまともに記されていないようだ。

88行目:日本語③≪せん志(じ)つ≫①『外国商通古と者つけ』40行目も同様、その英語読みは③≪ら春(す)とてい≫①≪らすとでい≫英語綴り・・・ last day・・・だと意図したところは違うようだ。  いづれにしても
商取引をするうえで、日時の表現は必要不可欠。

89行目 ③『外国商通古と者附』:日本語≪のこり≫①『外国商通古と者つけ』41行目も同じ。英語よみ③①とも≪れめいんす≫英語綴り・・・ remains.・・・にたどりつく。

90行目 ③『外国商通古と者附』の日本語≪ふつてい≫並びに①『外国商通古と者つけ』の日本語≪ふつてゐ英語よみ③≪て春(す)ちうと≫①≪て春(す)ちゝうと≫よく見ると≪・・・ちうと・・・ちゝうと≫③と①とでは違う、要注意、英語綴り・・・destitute ・・・難解要注意

91行目③『外国商通古と者附』並びに①『外国商通古と者つけ』とも日本語≪とりやり≫英語よみ③≪とれうど≫ 英語綴り・・・trade.・・・

なお、勘定について④『ゑんぎり志古とば』の下巻 「あいばなし」(あいばなし⇒会話)には商売上のかなり実践的な例文が収録されている勘定に関係するものの中から1例をお知らせ≪奈(な)んぢハ、なんぢの、かんぢゃうをかぞへたる可(か)  ハフ、ユウ、ブロウト、ユウル、コウント Have you brought your count?


次回 :93:③『外国商通古と者附』の下段92行目から97行目まで

挿図
   ①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
   ②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
   ③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
   ④清水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵
      



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