文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

外国商通ことば100:下段146-151

2012年06月04日 | 文明開化と平仮名英語

100:下段本文146-151
 

 ②『外国商通言葉集』の下段「食もつ之部」は130語から185語まで、③『外国商通古と者附』の「志よくもつのぶ」も130語から185語まで、①『外国商通古と者つけ』では77語から99語まで・・・ 既に最後のコースの「.食物の部」に入いっていて今回はその4回目・・・

 前.例に倣って ②『外国商通言葉集』の順を尊重して146行から151行までを取り上げることに。③においてはご覧のように該当する言葉は見つかるものの②に比べてかなり配列は入り乱れている。尤も配列の乱れにとどまらず。「こと者(ば)のぶ」の中にあって、「志(し)よくもつのぶ」には何故か掲載されてないからご用心を・・・また、「むまき」、「まぎら王(わ)しき」は③にのみ掲載されているからご用心。
 
146行目:日本語②のみ③①には収録なし≪かし≫英語読み②春(す)ういーとミーと≫ 英語綴は?
④『ゑんぎり志ことば』には見当たらない
⑤『新撰英語実用便』は菓子 可(か)し スウイートニート≫とは何のことか?不可解・・・≪スウイートニート≫これは②の読みを尊重して≪スウイートミート・・・sweet meat・・・であろう。
⑥『改正増補英語箋』には探し方が悪いのか見当たらない。
 
147行目:日本語②≪あまい≫、③は41行目に≪あまき≫英語読み②≪春(す)ういーと≫③ ≪すゑーと
 ⑤『新撰英語実用便』には≪甘 あまい スウイート
⑥『改正増補英語箋』では≪甘アマシsweet meat スウヱートミートこれでは
146行目の英語読みと同じに・・・驚き。調べてみたところ sweetmeat 砂糖菓子とあるところを見れば納得
 

148行目:日本語②のみ≪可(か)らい≫③①には見当たらない。英語読み②≪志(し)やーぷ⑤『新撰英語実用便』には辛 可(か)らい シヤープ≫⑥『改正増補英語箋』≪辛カラシ sharp シャープ

149行目:日本語②≪尓(に)がい≫③≪
尓(に)がき≫英語読み②≪びつとる≫③≪びーとる
⑤『新撰英語実用便』には
苦 尓(に)可(が)ひ ビツール≫⑥『改正増補英語箋』≪
ニガシ bitter ビットル≫語尾の-r ールに惑わされたが、コクと旨味のビタービールの宣伝文句を思い出した。

150行目:日本語②≪すい≫③≪
すき≫英語読み②さおる≫③≪そーる≫⑤『新撰英語実用便』には酸 すい サヲル≫⑥『改正増補英語箋』≪酸 スシ sour ソール

151行目:日本語②≪
あじ≫英語読みは②てーすと
⑤『新撰英語実用便』には
味 あじ テースト≫≪美味 むまひ ナイス≫⑥『改正増補英語箋』には≪美味ヨキアヂハヒ nice taste ナイステースト
≫美味が良き味わいとは・・・

③44行目のみ日本語≪
むまき≫英語読み≪てり志(し)おう春(す)≫英語綴り・・・delicious・・・褒め言葉がうまく出ているようだ。

次の ③45行目:日本語≪
まぎら王(わ)しき≫英語読み≪いんういーぶる≫は当時の言葉使いと表記仕方に惑わされてきたから付録に付け加えた。特に味覚には関係しないことをお断り。

次回 101回目:下段本文152-158を取り上げる予定

挿図
   ①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
   ②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
   ③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
   ④志水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵
   ⑤尾嵜冨老『新撰英語実用便』明治11年(1878)神奈川県立図書館所蔵
     ⑥石橋正方『改正増補英語箋』明治5年(1872)早稲田大学図書館所蔵