19:本文34-37
挿図の赤数字は①の場合、全109語の43番目を示す、以下同様に②の場合は全189語の、③は全186語のそれぞれ35番目を示す。
読み進めていくうちに収録語彙に変化が現われ、その加除と並びの前後不順は編者の意識の動揺・変化を暗示しているようで興味深い。
注:行数の表示は②を基準(③も同じ)34行目から37行目までとする。①では42⇒43の順なるも②③の並び順に従いここでは入れ替えてみた。
34行目:①②③日本語「つち」その英語読み②「まっと」どうやら「泥」(mud)をイメージしたのでは。①③「いゑるち」は難解、どうやら『ゑんぎり志ことば』の≪つち地 イエルチ≫(earth)を踏襲したのかも・・・。
35行目:②③日本語「志(じ)しん」英語読み②「あーる春(す)くゑいき」(earthquake)良く見ればそれらしく読めないこともない。③「いゑるちうく」これもナゾレバ無理無理読めなくもないような気もするが、如何であろうか、いづれにしても難解。①には収録なし。
36行目:①②③日本語「ひ火」英語読み②「ふ王(わ)いや」(fire)、これは現在に通ずる。③「ふそいる」①「ふそゐる」≪い⇔ゐ≫の違い。これは難解。『ゑんぎり志ことば』では≪ひ火 ファイル≫語尾の「ル」が気になるが、これなら何とか読めそう。
≪ふそいる⇔ファイル≫両者をいくら眺めていても糸口は見つからない。≪ソ⇔ア≫を眺めていると字形は何となく似ているではないか。この辺から誤読が生まれたのかもしれない。
37行目:②「けむ里(り)」③「けむり」の英語読み②③とも「すもうく」(smoke)、①収録なし
次回 20:本文38-40
挿図
①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
清水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵