文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

外国商通ことば 19:本文34-37

2010年11月08日 | 文明開化と平仮名英語

  19:本文34-37 

挿図の赤数字はの場合、全109語の43番目を示す、以下同様にの場合は全189語の、は全186語のそれぞれ35番目を示す。
読み進めていくうちに収録語彙に変化が現われ、その加除と並びの前後不順は編者の意識の動揺・変化を暗示しているようで興味深い。
注:行数の表示はを基準(も同じ)34行目から37行目までとする。では42⇒43の順なるも②③の並び順に従いここでは入れ替えてみた。

34行目:①②③日本語「つち」その英語読み「まっと」どうやら「泥」(mud)をイメージしたのでは。①③「いゑるち」は難解、どうやら『ゑんぎり志ことば』の≪つち地 イエルチ≫(earth)を踏襲したのかも・・・。

35行目:②③日本語「志(じ)しん」英語読み「あーる春(す)くゑいき」(earthquake)良く見ればそれらしく読めないこともない。「いゑるちうく」これもナゾレバ無理無理読めなくもないような気もするが、如何であろうか、いづれにしても難解。には収録なし。

36行目:①②③日本語「ひ火」英語読み「ふ王(わ)いや」(fire)、これは現在に通ずる。「ふいる」「ふそゐる」≪≫の違い。これは難解。『ゑんぎり志ことば』では≪ひ火 フイル≫語尾の「ル」が気になるが、これなら何とか読めそう。
≪ふいる⇔フイル≫両者をいくら眺めていても糸口は見つからない。≪≫を眺めていると字形は何となく似ているではないか。この辺から誤読が生まれたのかもしれない。

37行目:「けむ里(り)」「けむり」の英語読み②③とも「すもうく」(smoke)、収録なし

  次回 20:本文38-40

挿図
①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
清水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵