文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

外国商通ことば 7-構成

2010年07月19日 | 文明開化と平仮名英語

7 構成

 「2表題」において①『外国商通古と者つけ』、②『外国商通言葉集』、③『外国商通古と者附』それぞれの表題と表紙を比較し、「3刊記」でそれぞれの刊記を取り上げてきた。ここではこれら外国商通もの3部作においてどのような言葉を取り上げていたかその構成を概観してみたい。

 三者とも始めに「数」を取り上げ、次に本文に相当する言葉を扱う。その言葉のグループ分けと取り上げ語数を調べてみよう。
 挿図③の上段は「ばんもつのぶ」として186語、②は「万物の部」として189語。ここで3語の違いは・・・②の刊記は高さが半分ほどでその省スペースに3語分を当てている。もともと、②は③を踏襲して内容もかなり近いのに、あえて刊記を変則的な形としてまでスペースを確保したのか。余程収録したい言葉があったかも知れない。今後明らかになればと思う。①では②及び③の「万物の部」186~189に相当する109語を掲げ、半減に近い。①の使途は明らかに②、③と異なるようだ。①、②、③のいづれも刊年不明であるが、年代順は収録語彙から③、①、②の順と睨んでいる。いずれ、その辺の事情は徐々に明らかになるでしょう。 

 ③の下段は「ことばのぶ」129語、「しよくもつのぶ」は130語から185語まで、②は「言葉つかひ」129語、「食もつの部」は130語から185までで、構成はほぼ同じようだ。①は上段と同様に②、③の185語のほぼ半数に近い107語を取り上げている。

以上、構成からみる限り③と②は大変近い関係にあり、①は②、③とはかなりかけ離れている。

   挿図 ①『外国商通古と者つけ』手持ち原葉、一枚もの
     ②『外国商通言葉集』横浜市中央図書館所蔵、折本
      ③『外国商通古と者附』神田外語大学付属図書館所蔵、折本

次回は「8 数 1-10」を予定