ごんぎつねの独り言 ~技術士試験(建設部門:道路、総合技術監理部門)の受験記録・ブログ~

不器用で、愚直で、貧乏くじを引くのが大得意な "ごんぎつね" が本音で綴るブログ。 恐縮です(^^ゞ

黒部の太陽

2009年04月08日 | 普段力 etc.
先日、フジテレビ開局50周年記念番組として「黒部の太陽」が放送された。
遅ればせながら、録画しておいた前編、後編を見た。

高度成長期の初期の頃の様子を垣間見ることができた。
国家としてのインフラが不足しており、短期間に構築することが求められていた。
今とは違い、やらなければいけないことが明確に決まっている。
その実現に向けて、男たちが、一つになって難関に立ち向かっていく。

我々は先人の努力の積み重ねによって構築されたインフラを受け継いでいく使命があるのだと再認識した。
単純すぎるかもしれないが、心が熱くなった。

当時は、戦争経験者が多数を占めたのだと思うが、その時代における「死」に対しての考え方の違い、
そして、雪国で生まれ育った男たちの不器用だが、義理人情に厚く、まっすぐで、粘り強い気質も感じた。

私は富山県で生まれ、高校生までを過した。
県内のいたる所から、立山連峰(たてやまれんぽう)がよく見える。
その裏側に黒部渓谷があり、上流に黒四ダム(くろよんだむ)がある。

石原裕次郎が主演した映画の「黒部の太陽」は見たことはない。
ただ、両親から、そこを舞台とした映画があったということは聞いたことがある。
そういったこともあって、興味があった。

富山県では小学校の行事として立山登山をするところが多い。
生憎、天気が悪く、室道(むろどう)から一の越(いちのこし)辺りまでは行ったが、引率していただいた先生の判断で諦めた記憶がある。

社会人になってから、二度、立山黒部アルペンルートを通って、大町温泉郷から富山に抜けたことがある。
途中、「黒部の太陽」で苦労して堀りあげたトンネルは、トローリーバスであっというまに通過する。
トンネルの内部は鉄筋コンクリートで固められているので、当然、破砕帯(はさいたい)の様子は伺えない。
ただ、破砕帯の始めと終わりが表示されており、その間を抜くための当時の苦労に思いをはせた。

一度目は、アルペンルートの終盤の室道あたりを軽い気持ちで散策した。
その際、立山の主峰は雄山(おやま、3,003m)の頂上がそう遠くないところに見えた。
室道は標高2,500m程度のところにあり、あと500m程度を登れば立山の頂上だ。
天気は良好だったが、何も準備していなかったので、次の機会には登ってみたいという気持ちが沸いた。
小学生時代に登れなかったという記憶と、富山県で生まれたからには一度は登ってみたいという気持ちがあったためであろう。

二度目は、大町温泉郷に前泊し、朝出発して、黒四ダムを見て、室道から立山に向かった。
その日は快晴。気分爽快、達成感があった。

話は変わる。
社会人になってから、無理を言ってトンネル掘削の現場を体験させてもらったことがある。
わずか数ヶ月だったが、貴重な体験だった。

「黒部の太陽」とは違い、都市部のトンネル。
技術的な課題は、泥水加圧式シールド工法による急曲線推進と凍結工法によるシールドトンネル先端部同士の地中接合。
設計は既に完了しており、設計の妥当性評価とその後の設計に役立てることを目的として、現場での計測を実施した。

施工現場では土圧、水圧を肌で感じることができた。
急曲線推進の際は、ジャッキによる応力で”のたうつ”セグメント、軋む音、隙間から噴出す裏込め剤、作業員の張り詰めた空気。
凍結工法の際は、冷たい引き締まった空気、コンプレッサーの音、時折、シールド、セグメントが鳴くようなキンキンという高い音。
これらは、マニュアルでは感じ取ることはできないと思う。
計測したデータを用いた有限要素法によるモデル解析もしたが、個人的には、生身で感じ取った体験のほうが貴重だ。

危険が伴う作業なので、作業関連メンバの関係は濃密。
ラジオ体操、食事、宴会、寝泊りをともにして、腹を割った意見交換を実施した。

そういった体験が甦ってきた。

お詫び:
正直な気持ちをなるべく隠さずに、素直に記しています。
不快な表現を含んでいるかも知れませんが、ご容赦いただけると幸いです。

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2 Comments

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同郷ですね (とくざえもん)
2009-04-08 14:44:25
ごんぎつねさんこんにちは。
私も中学・高校の多感な時期を高岡で過ごし、現在、実家・本籍ともに高岡です。
来週、一週間ほど帰省してきます。
立山は山頂まで登りましたが、黒部の太陽は見たこともなければ、今回の放映も知っていたにもかかわらず、録画さえしませんでした。
土木技術者としても、地元の人間としても、やはり観るべきでした。しばらく先でしょうけど、再放送を待ちます。
施工現場に関しては同感で、私はゼネコン出身なのですが、体験した現場はどれも五感で覚えています。
現在の職場であるコンサルで、他の社員に現場のことを教えことに苦労することもありますね。
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何卒よろしくお願いします。 (ごんぎつね)
2009-04-08 22:50:52
とくざえもんさん、
こんにちは。

コメントありがとうございます。
数少ない同郷ということで、何卒よろしくお願いします。
来週、帰省されるとのこと。いいですね。キトキトの魚を堪能してきてください。

さて、「黒部の太陽」ですが、
テレビ局は製作費が厳しくなっているんだと思いますが、トンネルのシーンでは山梨県の山中に当時の現場を再現するなど、なかなか頑張っていました。
土木技術者で地元の人間であれば、観る価値は十分にあると思います。
また、放送の最後にDVD化が決定とのテロップが流れていたようにも思いますので、レンタル等が可能になるかも知れません。

施工現場で五感、生身で感じたことは忘れませんね。
非常に貴重な財産です。
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