6. ロシアの誤算:欧州がロシア産エネルギー依存からの脱却へ舵を切り出した
(1) EUの施策「REPowerEU」
(2) 石炭火力・原子力発電への回帰、代替エネルギーへの注目
ロシア産エネルギーからの脱却というベクトルは4.(2)で述べた代替供給源への秋風に加え、現実的な選択肢として代替エネルギーとしての在来型エネルギーへの回帰も促しつつある。
ドイツ発電最大手RWEは停止した発電所の再稼働や停止が決まっている発電所の運転延長の検討を開始することを明らかにしている。
同社クレッバー社長は石炭火力への回帰について「実施するかの判断は政府。数週間以内に決断を下すことになる。
その上でどの発電所が再稼働できるか、計画より長く使い続けられるかを検証し準備している」と述べている。
日本では、萩生田経済産業大臣が「LNGを含むロシアのエネルギー資源の輸入への依存を減らそうとしている。日本はLNGへの投資を含め、ロシア以外の代替供給源を確保しようとしている。
また、再生可能エネルギー源に取り組み、原子力エネルギーを開発し、その政策がロシアへのエネルギー依存を徐々に減らすというG7諸国の共同声明の要件に準拠するようにする予定である」と述べた。
これに続き、経済産業省は戦略物資やエネルギーの安定的な確保を検討する会合を初めて開き、緊急対策を決定した。
ロシアやウクライナへの依存度が高く、早急に対策を講じる必要がある重要物資として石油、石炭、LNG、パラジウム、半導体製造プロセス用ガス、合金鉄を特定。他の生産国に対する増産の働き掛けや、権益の確保に向けた取り組みを強化することを表明した。
4月8日には、ジョンソン英首相とショルツ独首相がロンドンで会談し、ウクライナに侵攻したロシアへのエネルギー依存から脱却するため、再生可能エネルギーの推進などで協力することで合意している。
ショルツ首相は会談後の共同記者会見で、ドイツが年内にロシアからの石油輸入を停止できるとの見解を示し、「ロシア産石油への依存からの脱却に向けて積極的に活動しており、年内に実現可能だと考えている」と改めて表明している。
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