岸田文雄内閣の支持率がなかなか上がらない要因はどこにあるのか。
首相は「次元の異なる」少子化対策や、性的少数者(LGBT)などの理解増進法も進めたが、自民党の谷垣禎一元総裁(78)は「政治だけで解決できない問題がある」と指摘する。
少子化対策って、政府の政策だけでこなせるものなんですかね」
酒巻俊介カメラマンがつぶやくように尋ねた。
私が生まれたのは昭和20年、第1次ベビーブームの直前だ。
私の直後から出生数がばっと増えたのは、終戦で安定感が生まれたことが一因だ。
そこから高度経済成長に向け、日本はどんどん豊かになった。
私と弟は歳が6つ違うが、2人が育った時代は豊かさが違う。
私のときは、学校に裸足の子がたくさんいたんですよ。
満州や朝鮮から引き揚げてきた家庭は特に貧しかった。
私が中学に入ったのは1957年頃だが、当時から目に見えて経済がよくなってきた」
「子供を持つかどうかは、国民の意識や生活力と結びついている。
今は女性が働くのは当然となり、男性の育児休業取得も進めようとしているが、社会や企業全体の意識は追い付いているか。
男性は、家事を理解して家で働いているか。
そこまで一気に政治が変えるのは難しいよね。
もちろん、弊害を取り除き、女性の社会進出と子育てしやすい政策を進めなければならないのは当然だけど」
谷垣さんの酒をあおるピッチが上がってきた。
「そもそもね、政治でさばくことができるものにも限界があるんですよ。
最近のLGBTを巡る問題なんか典型でしょう」
6月には、自民が主導する形でLGBT理解増進法が成立した。
基本理念に「性的指向およびジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別はあってはならない」とうたっているが、「不当な差別」の定義など問題が多い。
生まれつき女性の権利を守れないのでないか、といった懸念も巻き起こっている。
「日本は昔から、こういうことに関してはおおらかだったでしょ。
(法規制を進めた)欧州とは違うんですよ。
私のおじはドイツのミュンヘン大学に留学していたが、当時、日本から来た友人を宿舎に泊めたら、翌日警察に呼ばれたそうだ。
その頃のドイツは同性愛が犯罪の対象だった。
それほど厳しく取り締まってきた欧州諸国が、今ではLGBTを認めるようになり、日本に『お前ら遅れている』という。
私は『上から目線じゃないか』と思わないでもない」
自民に導入論がある選択的夫婦別姓制度に関しても、日本の文化まで含めた議論が必要だと説く。
「例えばお盆。家のご先祖様をお迎えして霊を慰め、お送りするお祭りですよね。そのご先祖様の遺骨は、都市部などもう違うのかもしれないが、それぞれの家のお墓にあるでしょ。夫婦別姓になったとき、この『○○家の墓』はどうするんだろう。
こうなると、政治だけでなく、ある意味宗教界まで含めて幅広く議論しなければならないとも思うんですよ」
夫婦でも姓が違えば、お墓はどうなるのか。日本の家族制度は大きく変化しているだろうが、単純に解決できない問題はあるだろう。
「私はかつて、あるクリスチャンに『キリスト教徒は神と自分が一対一で対峙する。だから神に対する責任は自分一人で背負う。
だが、日本人はそうでない。
そこが日本人の欠点だ』と言われたことがある。
私のような人間は、神と一対一でなく、多くのご先祖様と向き合うと思うんだよね。
LGBTも夫婦別姓も、日本が培ってきた文化の深いところまで、よく考えなければならない。
これを政治だけで解決できるかといえば、どうなんだろうね。
ああ、調子に乗ってペラペラしゃべっちゃってるなあ」
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自民党総裁選 岸田氏「自分の思う人事を行う」2021/09/02 #菅義偉 #岸田文雄 #自民党
菅総理が行う予定の自民党役員人事をめぐり、BS-TBSの番組に出演した岸田前政調会長は、自らが総裁になったら自分の思う人事を行うと強調しました。
自民党 岸田文雄 前政調会長 「自分が総裁になったならば、自分の思うしっかりとした人事を行う、これは誰が総裁になっても当然のことではないかと思います」
BS-TBSの「報道1930」に出演した岸田氏は、菅総理が3日に一任を取り付けようとしている党役員人事について、「どういう考えで人事をやられるのか注目したい。なぜ人事をやるのか説明は興味深い」と語りました。そのうえで「自分が総裁になったならば、自分の思うしっかりとした人事を行う」と強調しました。(02日21:40)
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谷垣さんが娘さんに、「カメを持ってきて」と指示を出した。
居間の奥から出てきたのは、沖縄の泡盛「瑞泉」の一斗(18リットル)瓶3つだ。
3つの瓶は1年ごとに買い足しており、一番瓶がなくなると2番瓶からつぎ足す作業を繰り返しているという。
飲む酒は、長期間少熟成された古酒(クース)になっている。「わが家の門外不出のお酒ですよ」
口に含むと、熟成されたなんともまろやかな味だ!
谷垣さんが、銀製の小さなおちょこを出してきた。
「これはのろけるわけじゃないけど、女房がフランスに行ったとき、私に買ってきてくれたものですよ。
銀は年が経つと黒い錆が出てきちゃうけど‥もう30年ぐらいたってるかな」
妻の佳子さんと谷垣さんは司法試験を目指す学生が通う予備校で出会った。
谷垣さんが数年かけて合格した際、同じく数年在籍していた奥さんは不合格。そのとき「なら、私のところに来たらどうか」とプロポーズしたという。
「まあ、いい女房でしたよ。法律には向いていないと思うけど‥。こんなこと言ったらあの世で怒っているかもしれないが」
今年で13回忌。今でも思い出しますか。
「思い出すねえ。
女房は孫をみていない。
ただ、娘が亭主になる人を連れてわが家に来たとき、女房がえらく張り切ってね。
私に肉を買いに行かせたんですよ。
『変な肉を買ってきてはダメだ』と気合が入ってね」
台所から娘さんが「あのとき、自転車で肉を買いに行ったでしょ。(東京都の)二子玉川まで」と合いの手を入れる。
「子育てって大変だけど面白いですよね。
『こんなにかわいい子がなんであんな憎たらしいことをいうんだ』と思うこともあったが、終わってみるとすべてが宝物だ。
私は女房に『男の子も育てたかったな』とぽろっとこぼしたことがあるが、『あなたそんな風に思っていたの?私は満足してたわよ』と言われた」
谷垣さんは、父が文相を務めた専一さんを持つ政治家一家だ。
「跡取り息子」にこだわりましたか。
「そんな風には全然思いませんでしたね。
ただ、私の母が3人姉妹の長女だった」
といいながら、谷垣さんがリビングに飾られた1枚の写真を手にした。
「私の母方の祖父ですよ」
フレームの中で凛々しい軍服に身を包んでいるのは、陸軍中将だった影佐禎昭だ。(聞き手 水内茂幸)
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「夜の政論」、第4回は31日午後4時にアップします。
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