トランプ米大統領

は9日、「相互関税」として発動した措置のうち、第2弾の上乗せ分を90日間停止すると発表した。
一方で、相互関税への報復措置を発動した中国

に対する税率を84%から125%に引き上げ、合成麻薬の流入を理由に3月までに発動した20%と合わせ、第2次政権の対中関税は計145%となった。
トランプ大統領の今回の対応について分析する。
トランプ関税に関しては、経済的側面と政治的側面がある。
これまでの本コラムで指摘したように、
経済的側面は歴代のノーベル経済学賞受賞者のほとんどが酷評する。
米国の中低所得者層の大きな負担になるばかりか、
米国の製造業に損失もあり、輸出国にも輸出減で大迷惑だからだ。
政治的側面は中国たたきだ。
世界1位の経済力を持つ米国と世界2位の中国との覇権争いでもある。
今回、米国は世界の国全てを相手にしてしまったが、
報復関税で対抗したのは中国だけだったので、結果として対中関税だけが90日間高いことになった。
ここまでトランプ大統領が読んでいたのかどうかは分からない。
トランプ大統領としては「してやったり」だろう。
習近平国家主席はトランプ大統領のわなにハマったとも言える。
もちろん世界1位と2位の経済大国が関税の報復をし合うので、世界経済に悪影響はある。
もちろん世界1位と2位の経済大国が関税の報復をし合うので、世界経済に悪影響はある。
ただ、中国以外の関税が従来のままに落ち着けば、
中国のみが大きな打撃を受ける。
中国から米国への輸出品の多くは汎(はん)用(よう)品であり、かなり代替が可能だからだ。
関税の報復が米中だけにとどまれば、
関税の報復が米中だけにとどまれば、
ノーベル経済学賞を受けた学者が言うような世界経済への悪影響は限定的になる。
中国経済は大変だ。
経済は国内消費、国内投資、輸出で決まる。
中国の場合、国内消費はデフレ化とも言われていて低調で、
投資も不良債権問題で不動産市況が低迷している。
頼みの綱は輸出だった。
これにトランプ関税がとどめを刺すだろう。
米国も輸入品価格上昇の返り血を浴びるが、
トランプ大統領は関税収入を国内への減税に使って経済の打撃を少なくするだろう。
となると、
トランプ関税による米中のノーガードの撃ち合いは、
中国の分が悪いだろう。
こういう時、
日本は「高みの見物」がいい。
その観点から言えば、22日からの斉藤鉄夫公明党代表、27日からの森山裕自民党幹事長の訪中はやめた方がいい。
日本は中国の側と誤解されたらまずい。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)
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