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日中両政府が、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴い中国

が全面停止した日本産水産物の輸入再開に向け、具体的な手続きを開始する方針で合意した。ただ、東北など10都県の停止は続く見通し。
再開への経緯と、その背後にある中国の狙いを探る。
この問題の経緯を整理しておこう。
発端は、福島第1原発処理水の海洋放出が始まったことを受けて、2023年8月24日、中国海関総署は、原産地が日本である水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことだ。
それまでの水産物における対中関係について、
22年の日本から水産物の輸出額の総額は2436億円。
そのうち中国が871億円、香港が755億円だ。
中国向け水産物で品目別ではホタテ貝467億円、なまこ(調製)79億円、かつお・まぐろ類40億円など、香港向け水産物では真珠222億円、ホタテ貝(調製)94億円、なまこ(調製)85億円などとなっている。
日本の農林水産省の統計によると、24年の中国向けの水産物輸出額は前年比89・9%減の61億円となった。
そもそも福島第1原発の処理水放出について、国際原子力機関(IAEA)や欧米など大半の諸外国は問題としていないどころか、中国は日本の10倍ものトリチウムを放出しており、中国の措置は科学的根拠のないものだった。
米国のバイデン政権は先端半導体の製造装置で先頭を走る日本とオランダに対中輸出規制で同調するよう呼び掛けていた。
その結果、日本は23年7月下旬から先端半導体分野23品目で対中輸出規制を開始した。
これに対する中国の報復だったのだろう。
今回、中国が水産物の対日輸出規制を一部解除したのは、トランプ関税

について、日本を中国側につけたいのだろう。
しかし、全面的な解除ではなく、
福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野、新潟の10都県の停止は継続する見込みで、日本側の求める完全解除ではない。
そもそもホタテ貝などは福島産ではなく、その輸入を止めていた中国の対応は嘲笑ものだった。
また、中国は訪日観光をストップしていないので、日本産食品を食べたい中国人は日本に来て食べるだろう。
この際、オーバーツーリズム対策のために、観光地で中国人を含む訪日外国人に対し一定の上乗せ料金を考え、その中で、ホタテ、なまこ、かつお・まぐろへの支援を同時に行うのもいい。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)
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