goo blog サービス終了のお知らせ 

世界標準技術開発フォローアップ市場展開

ガラパゴス化から飛躍:小電力無線IEEE802規格開発会議・・・への寄与活動拡充

2025年を読む 日本の安全保障に求められる「自律」#2024.12.25#日経ビジネス#秋田弘之

2025-04-03 08:09:41 | 連絡
:::::
秋田 浩之(あきた ひろゆき、1965年 - 60歳)は、日本のジャーナリスト。
日本経済新聞論説委員兼編集委員。
ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

 
:::::

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に返り咲いた後、日本を取り巻く安全保障環境はどのように変化していくのか。
『これからの日本の論点2025 日経大予測』(日本経済新聞社編/日本経済新聞出版)
 

国際情勢の分析を寄稿した秋田浩之氏(日本経済新聞社 コメンテーター)へのインタビュー後編では、激動の時代にこの国がどう対応するべきなのか、
見解を聞きました。
■トランプが「ロシアの勝利」を導く?
■■ トランプ政権への移行後、アジアの安全保障環境はどのように変化していくのでしょうか。 
<>本来、アメリカ
が最も避けなければいけないのは、ロシア
に勝利の実績を与えることです。
というのも、仮にウクライナ




との戦争にロシアが勝ち、欧州における危険が増大した場合、アメリカの現在の体制では、一度に一つの大規模戦争にしか対応できないからです。
欧州の危険が高まればアメリカがアジアに戦力をシフトできなくなるため、
北朝鮮や中国はより強気な行動に出やすくなるでしょう。
同じ意味合いで、中東情勢もまたアジアの平和をじかに揺るがすことになるのです。
トランプ氏のこれまでの発言を見ると、ロシアへの勝利を目指すどころか、むしろこうしたシナリオに自ら従おうとしているかのようにも思えます。
彼はプーチン大統領と仲が良く、自分がプーチン氏に話せばウクライナをすぐに停戦合意させられると発言しています。
しかし、ロシアが占領している2割の領土を凍結し、現状を固定したまま停戦するというのであれば、ロシアが実質的に勝利宣言を出す格好になってしまうでしょう。
ロシアと結束を強めた中国や北朝鮮が、西側諸国の足元を見透かし、さらに踏み込んだ危険な行動に出やすくなるのであれば、欧州も独自の軍事強化を進め、対立構造が連鎖的に強化されていく時代に入っていくことになります。残念ながらこうしたトレンドは日々、強まっているようです。
■北朝鮮との「友情」もリスク要因
■■トランプ氏は経済面では対中強硬姿勢を打ち出しています。
<>たしかに基本的にトランプ氏は自国第一主義を掲げ、中国に厳しく対峙しようとしているようですが、その態度の背景にあるのは、あくまでアメリカの奪われた経済的利益についての怒りなのです。
 一方、アメリカの軍事力を使って同盟国やアジア地域の安定を守ろうという意思は、感じられません。
例えば台湾海峡で危機が起きたとき、トランプ氏自身には軍事関与を強め、中国を牽制(けんせい)しようという思考は恐らく薄いでしょう。 
 中国がトランプ氏にビジネス上のディールを持ちかける事態についても、考えておく必要があるでしょう。
仮に例えばアメリカの製品を大量に輸入する、あるいはアメリカに多額の投資をする、代わりに台湾への武器供給を取りやめるようアメリカに提案したとしたら、どうなるでしょうか。
ハリス政権であればそのディールを受け入れるはずがなかったのですが、
トランプ氏は乗ってしまうかもしれません。
 トランプ氏は再選後に恐らく、彼が「友情」を共有していると主張する金正恩との交渉を再び試みるでしょう。
1期目の交渉の際には当時の安倍晋三首相らが、安易なディールに乗らないよう丁寧にアドバイスをしていました。
当時はトランプ氏もある程度は周囲の意見に耳を傾けていたようですが、
今回は何もかも自分一人で決めるという姿勢を取りかねず、それを止める側近もいないようです。
北朝鮮は非常にしたたかであり、4年後には別の人物が大統領になることを見越してトランプ氏とディールするとすれば、核を完全に放棄するシナリオは考えにくいところです。
中途半端な核軍備管理という紙切れと引き換えに、アメリカ側が在韓米軍を減らしてしまい、北朝鮮側にとって一方的に都合の良い結果となる懸念があります。
こうしたディールリスクもまた、アジアを含めた大戦のリスクを高めかねないと考えています。
■日本も一緒に偉大に
■■2024年は日本の内政も混乱気味でしたが、どのように対応するべきなのでしょうか? 
もちろん短期的に見れば、トランプ政権といかに効果的に付き合うかが当面の課題となりますが、その先に向けた準備もまた重要です。
自国第一主義の背景にあるアメリカ内部の矛盾は、誰が大統領になったとしても4年間という短い期間にリハビリできるものではありません。
従って、防衛と外交の問題についてアメリカに頼り切っている日本の現状を、どのように改めていくかが重要です。 
その意味で、トランプ氏がアメリカを偉大にするというのであれば、「アメリカを偉大にするのを手伝います。
そして、我が国も一緒に偉大になりたい」というのが、石破茂首相の今取るべきアプローチではないでしょうか。
アメリカが偉大になることは、同盟国の日本にとっても良いことであり、何か日本ができることがあれば何でも手伝う。
そして日本もともに偉大になる──というわけです。
その「何か」はあるいは経済関連であり、あるいはもしかしたら安全保障関連であるのかもしれません。
 オバマ元大統領が「世界の警察」の役回りを手放して10年以上が経った今では、日本の防衛予算を増やして米軍へのオペレーション上の過度の依存を減らしていくことが必要不可欠です。
アメリカと完全に別の道を歩む「自立」ではなく、同盟を維持しつつ、必要な場合には単独で動く能力を確保する「自律」的な体制を整えなければいけないと考えています。 
 石破首相はアジア版NATOを持論に掲げていますが、日米安保条約のように点と点を繋(つな)ぐ線状の仕組みだけで自国を守ろうとするのではなく、より多くの地点を巻き込んだメッシュ状の安保ネットワークのようなものを構築し、相互に助け合うという考え方は理解できます。
現状の憲法下でそれを打ち出すのは非現実的だと思いますが、長期的に見れば「線からメッシュへ」の移行についても考えなければいけない段階に来ているのかもしれません。 (構成:川辺和将) 
[日経BOOKプラス 2024年12月3日付の記事を転載]



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。