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東京商工リサーチがまとめた2024年度の企業倒産(負債額1千万円以上)は前年度比12・1%増の1万144件だった。
物価高や人手不足が響き、中小零細企業の経営が圧迫。
11年ぶりに1万件を超えた。
トランプ関税の激震が続く中、企業の破綻は増えるのか。
企業倒産は人でいえば失職した失業に相当する。
となると、企業倒産と失業の関係がどうなるかを調べたくなる。
実は、失業率は内閣府による景気動向指数作成に用いられており、遅効指数(景気に遅れる経済指標)の一つになっている。
倒産件数のデータは、東京商工リサーチが1952年から負債総額とともに公表している。失業率データは総務省が52年から公表している。
1953-2024年の両者の相関係数をみると、0・51なので、やや相関ありという程度だ。
また1件当たりの負債総額と失業率をみると、0・74となり、かなり強い相関となる。
これから考えて、企業倒産は景気に遅行しておこるとみていい。
つまり企業倒産数より倒産した企業1件当たりの負債総額の方が、景気との関係でより重要だ。
この関係を使うと、企業倒産数は2021年から増加しているが、1件当たりの負債総額は22年3・62億円から24年2・34億円と減少している。
これは、失業率が21年2・8%から24年2・5%へと減少していることと平(ひょう)仄(そく)が合っている。
要するに、2020年初からコロナ禍になったが、20年だけで合計3回、
累計100兆円のコロナ対策を打った。
当然、その年度内で消化できないので、
毎年20兆円程度の補正予算を5年ぐらい続けたことになる。
筆者のコラム読者であれば、この100兆円対策は、当時の安倍晋三元首相の言葉を借りれば「政府・日銀の連合軍」であり、
俗な表現をすれば「カネ刷って財源捻出」なので、
他の経済対策のように後年度に財政負担を先送りして増税に結び付くものではない。
コロナ増税を完全に封印した対策だ。
こうした経済対策の結果として失業率が下がってきており、
その結果、
1件当たりの負債総額も下がってきた。問題は今後である。
さすがにコロナ対策の玉は出尽くしている。
となると、心配はトランプ関税である。
今のところ、中国だけが標的になっており、日本は先日の本コラムで書いたような黒字減らしをすれば、影響がないはずだ。
下手に中国と仲間のような疑念


を米国に抱かれなければ問題ない。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)
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