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藤子めっけ…

2014-01-04 | 諸行無常…let it be
写真を撮ろうしたら、また、逃げられた。
さっきまで、居眠りしていたのに。

猫のくせして、いつも、狸寝入りだ。

そこを、杖をつきながら、荒井のオバさんが、通りかかった。

その猫ちゃんは、写真はだめよ。
嫌いみたい。
オバさんんもね、あんまり可愛いから、写真撮ろうとしたの。
でも、カメラ向けた途端逃げられたのよ。

荒井のオバさんは、GLASSONIONのある菱川ビルの隣にそびえるデッカいビルのオーナーでもある。

そのデッカいビルの一角で、長年、数坪ほどの小さなタバコ屋をやっていた。

オーナーと知るまでは、亡くなった旦那さんの意志を継いでやっているものとばかり思っていた。

旦那さんのおじさんは、それはそれは、いつも穏やかな人柄の、親切で暖かな人だった。

当時まだ新参者だった僕は、いつも、おじさんに、元気づけてもらった。

サービスライターや試供品を、タバコを買いにいくと、おじさんは、お客さんにあげなさい、喜ぶよ。
と、その都度たくさんくれた。

なんと美しい老夫婦だ。
貧しくも、心優しい、この老夫婦と話をしていると、時々、なんだか自分が、アルプスの少女ハイジに思えたりしたものだ。

オーナーと知るまでは。

今思えば、あれは、趣味だったのだ。

数年前、オバさんは、高齢により、歩行が不自由になり完全引退をした。

今は、杖をつきながら、運動のための、散歩の途中で、おばさんの住むマンションから、偶然出くわした時に、挨拶をかわすくらいだ。

そのマンションにも、大きく荒井マンションとあった。

元気な頃のおばさんは、年に10回以上は海外旅行をしていたはずだ。

その内数回の旅行は、毎年恒例となっていた。

真冬のカナダのオーロラ鑑賞、インドガンジスお清めツアー、グアムと南イタリアは、友人の別荘に、毎年同じ時期に、友人達と集まる旅行。

真夏日の、猛暑の照り返しの中、真冬日の、激しい北風の中、僕は、買い出し帰りの両手に、いくつもの袋をぶら下げ、ビルを見上げた。

いったい、毎月、どんくらい、家賃収入あるんだっ、だっ、だっ。

我に戻ると、少し離れて、陽だまりに、うたた寝する藤子がいた。