鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝:第二十七話

2019-01-10 01:38:54 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第二十七話


ー惑星ビーメラ宙域ー


亜空間ゲートシステム衛星近傍空間、フィーニクスとのランデブーポイントに、金色(こんじき)に輝く現時代で最も最速を誇る宇宙船の姿があった。



その宇宙船の名は"シュヘラザード・イスカンダル"。

船内に浮かび上がる人工思念体(幻影)。
白くぼんやりと光を放ち、徐々に人の型へと変わってゆく。



その姿は四年前"2199年初頭"地球へ波動エンジンの機動装置である波動コアを届ける道中、惜しくも地球の手前、火星で命を落としたサーシャ・イスカンダルであった。

乗船するユリーシャ・イスカンダルは驚きの余り、転送された事を報告出来ずにいた。
見とれる内にユリーシャは、術中に墜ちてゆく・・・

「こんにちはユリーシャ。」
「今日は少し、気分転換に街を案内するわ。」
国連宇宙軍中央司令部に所属する森三慰の、その言葉は一週間以上も軟禁状態のユリーシャにとっては、嬉しい言葉であった。
だが、これが二人の不幸の始まりでもあった・・・

2198年12月24日クリスマスイブ。
この日、地球では細やかながら普段の悪夢のような日々から解放しようと、国際連合政府は世界的共通のイベントであるクリスマスを祝っていた。

「今日は地球では全国共通のイベント、クリスマスを祝っているの。」
「普段、窮屈な思いをさせて、ごめんなさい。」
「今日は楽しみましょ。」そう云って森はユリーシャと、用意された車へと歩き出した。
そして、車へ乗り込もうとした時、一筋の閃光が二人を襲った。
用意された車が爆発したのだ。





「森君の顔の火傷が思った以上に酷い。」
「皮膚の移植をしなければ、このままでは感染症を引き起こし、死亡もしかねない。」名医と呼ばれる佐渡が告げた。

意識がもうろうとする中、その言葉をユリーシャはベッドの上で聞いていた。

「………ドクター佐渡。」

「森三慰を……雪を」
「雪を助けて……」

「わたくしの皮膚の細胞から皮膚を……皮膚を作り出す事が……」
「……地球の医学でも可能なはず…」

「……ドクター佐渡、お願いよ。」
「雪を……雪を助けて………」ユリーシャはそれだけを告げると意識を失った。



名医と呼ばれる佐渡は、バイオ細胞の技術を応用、ユリーシャの皮膚細胞の遺伝子組み変えで作り出した皮膚を森雪に移植した。

不幸中の幸いと云っては不謹慎かも知れないが、森雪は事件からの記憶を喪失、皮膚の細胞を提供したユリーシャ・イスカンダルは意識が戻らずにいた。

「二人は死亡する事はないが、じゃが……」
「本当にこれで良かったのじゃろうか……」佐渡は呟くように云った。

「佐渡先生。二人は、二人の命は救われた……」
「そう云う事です。」うつむきながら助手を務めた真田が告げた。

「じゃが、真田君。森君の記憶とユリーシャが意識を戻した時、森君は自分の顔ではない事を知ってしまう。」
「その時、森君が耐えられるかが心配じゃ。」
「本当の顔ではない事が引き金に、不幸を招かないとは、言い切れんからのう……」

「それに副作用が現れて来ておる。」

「副作用ですか?」

「うむ。そうじゃ。」
「地球人と何ら変わらんと云ったが、ほぼが正確なんじゃ。」
「地球人には無い細胞組織があるんじゃよ。」
「どんな影響があるのかわ解らんがのう。」
「今後の研究で解るとは思うが、今はまだ……解らんのじゃ。」

「今は祈る事しか出来ん……」

こうして二人は一命を取り止め、一時的に意識を取り戻したユリーシャも見間違えるほど、姉"サーシャ・イスカンダル"に瓜二つの森雪が誕生した。
勿論、これは口外無用の厳令が敷かれ、極秘とされた。






真田は思う。
「今ならまだ、間に合うかも知れない……」と。

神の領域に足を踏み入れてしまう事に成るが、記憶を操作すると。
森雪の記憶が戻る前に・・・

それは地球人として育てられ、暮らして来イスカンダル人だと。記憶を操作するものである。






だが、これは失敗してしまう。
ヤマト抜錨までの時間までには出来なかったのだ。
副作用だけが、浸透する結果と成った。
その副作用はイスカンダル航海中に時折、姿を表していた。



そして、雪はユリーシャから真実を告げられた。

「もう一人の私……」

※後にガミラス人同様にイスカンダル又はガミラス以外の環境では、長くは生きられない事が判明する。


◆◆◆◆




「サーシャ御姉様……」

タイムリミットの五分が過ぎ、実験は終了した。
幻影が消え、暫くしてユリーシャは報告した。

「幻影を観せられて居たわ。」


◆◆◆◆


【亜空間ゲート】

ガミラスから「ゲシュタムの門」と呼称され利用されている亜空間ゲート。
ゲートがバランをはじめとする宇宙の随所に点在し、ガミラスが広大な大小マゼラン銀河を支配するための要となった。
ゲート間を繋ぐ亜空間回廊の中は、レーダー類が一切機能しないため、システム衛星からの誘導に従って航行することになる。
ガミラスはその為、システムコントローラーを開発、回路の選択を可能にし回路から回路へと自由に航行出来るようにした。
ゲートを使用するためには、跳躍する物体にゲートコントロールシステムを搭載し、システム衛星とリンクする必要がある。

これを使用する事で、数万光年という通常のワープよりもはるかに長距離を跳躍できる。
また、回廊内では通常のビーム兵器は霧散してしまい効果を得られないが、実体弾による攻撃は有効である。


【システム衛星】

バラン星の遺跡と同じ役目を持つ人工衛星。
形状は波動コアにも似た印象を持つ楕円体。
亜空間ゲートに付随する形で宇宙の各所に設置されており、ビーメラ星系などに存在する。
両端に木星浮遊大陸基地に酷似した構造物が建っているが、これはガミラスによって増築されたものである。
亜空間ゲート超空間ネットワークを応用した亜空間回廊(ワームホール)への出入り口のなる施設。

※フィーニクスに設置された試作・超空間脳波接続転送機=ゴーストリンクシステムは、このシステム衛星を広域レーダーとリンクさせ、目標を補足し、人工的に増幅、増大させた感応波=思念体(幻影)を亜空間をバイパス瞬時に目標へ送り込み思念体(精神)攻撃を仕掛ける。
(母親を媒体に児供(子供)の思念を人工的に増大させ、超空間ネットワーク(亜空間回路)を利用して、相手側に思念体(幻影)を送り精神攻撃を行う。)


第二十八話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。