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ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第三十話
私はブリッジを目の前にして、一発の銃声を耳にした。
ミルとやらの声が聴こえて来る。
「クラウス・キーマン。アベルト・デスラーを殺せ。」
どうやらミルとやらが、クラウスではなく、アベルトを撃ったのだと会話から解った。
私は少し、様子を見る事にした。
「クラウス・キーマン!聞こえないのか?」
「アベルトをデスラーを殺せ!」
「さすれば、地球もガミラスも救ってやる!」
「我々、ガトランティスにとって時間は、さほど重要ではない。」
「我々が全宇宙の"人間"知的生命体を抹殺するのに、あと何年必要か。」
「あと一万年か?」
「それ以上かも知れん。」
クラウスは躊躇っているようだった。
今、私がここから飛び出し、クラウスに加勢し、アベルトとミルを倒すか・・・
私が少し考えていた時だ、誰かが此方に向かって来る気配を感じた。
私は一時、身を隠す事にした。
真上に通風口が見える。
私はとっさに、その通風口に身を隠した。
此方に向かって来たのは、古代だった。
「古代か。」
と心の中で呟き、古代がどう出るか見物してから、私はブリッジへ突入しようと決めた。
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◆◆◆◆
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「ディッツ将軍。お久しぶりですね。エリーサ殿も。」
こう切り出すユリーシャの話は、続いた。
それは、ユリーシャはイスカンダルに残るというものであった。
シュヘラザードに関しては、「譲ります。」と付け加えられた。
「わたくしは姉、スターシャと共にイスカンダルに残ります。」
「一時は、皆様と新天地へ向かい、共に生きて行こうと思いました。」
「しかし、姉スターシャと、話している内に姉一人に、古き伝統であるスターシャを継ぐ者だけに、イスカンダルと共に運命を背負わす訳には行かないと……考えが変わったのです。」
「かつてアベルトは、第二バレラスをイスカンダルに遷都させ、わざとガミラスを窮地に追い込もうとしました。」
「当時、ヤマトという自身にとって"邪魔者"と一緒に……」
「それは、あと良くて百年いえ、現時点では数十年という僅かな時間で、ガミラス星もイスカンダル星も滅んでしまうという理由から、あのような事を仕出かしたのです。」
「わたくしたちのイスカンダルには"コスモリバースシステム"が存在します。」
「死期を早めたガミラスを復活させたいが為の行動なのです。」
ユリーシャの話は、まだ続いていた。
「コスモリバースシステムの力で、ガミラス星を復活させようと……」
「コスモリバースシステムで復活させれば、数百年もの時代を遡(さかのぼ)って復活するのです。」
「アベルトは、それに掛けたかったのです。」
「まだ、地表に大地と海が存在したガミラスに戻す事が出来るかも知れないと。」
「さすれば、この先、イスカンダルが寿命で滅んだとしても、復活したガミラスをイスカンダルとして、生き残った者たちとわたくしたちイスカンダル人の新たな母星として……。」
「今のイスカンダルとガミラスの科学力が有れば、数百年の時間が有れば、新たな新天地を探し出すことが可能であろうと……。」
「地球の方なら、お解りでしょ!?」
「地形はさほど変わらなく見えるかも知れませんが、大地に咲く木々や花が、ガミラス戦争前と異なっている事を。」
そう語り、ユリーシャは同行した地球人、相馬や藤堂、新見たちを見た。
驚きを隠せず、何をどう話せばよいのか戸惑う相馬たち。
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「そして、姉のスターシャは、いえ、わたくしたちイスカンダルは………。」
「二度"も、貴方がたは裏切ってしまった……。」
「"コスモリバースシステム"は、生命を宿した星に時空を越えた波動として存在している、星の物質と生命の進化の記憶を封じこめたエレメント。」
「その『エレメント』を触媒に、惑星の記憶を解き放ち、その力で惑星を再生させるというもの。」
「システムはそのエレメントがイスカンダルまで来なければ完成しない為、地球に直接送り届けることができなかった。」
「そのエレメントとは『ヤマト』そのもの。」
「これは大量破壊兵器である"波動砲"を封印する為、姉スターシャによって選ばれたの。」
「そして、イスカンダルにて波動砲を封印し、波動砲制御室にシステムが設置され、ヤマト自体がコスモリバースシステムに改造された。」
「姉のスターシャは、そのエレメントであるヤマト=コスモリバースシステムの『核』は『古代 守』が相応しい。と考えたの。」
「そうする事で古代 守もまた、地球(故郷)へ帰す事が出来ると考えたの。」
「たとえそれは、愛し合った古代 守と二度と波動(魂)を通じて逢う事も、話す事も出来なくなったとしても故郷へ帰すべきと、姉のスターシャにはしてみれば辛い選択であるけど、私には二人の愛の元に育む新たな生命がある。
そう自分に言い聞かせてね。」
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「でも、貴方がたは、波動砲を量産し更には、コスモリバースシステムを大量破壊兵器に変えてしまった……。」
「確かにディッツ将軍が仰る通り、コスモリバースシステムは、膨大な防御にも転用する事が可能……。」
「これが貴方がたとわたくしが、このビーメラ星で、暮らして行けない理由。」
「シュヘラザードは差し上げます。」
「わたくしは、姉のスターシャとサーシャ・イスカンダルを継ぐ姉の娘(こ)とイスカンダルで暮らして行きます。」
ユリーシャはそう告げると、姉から預かった物だと云って、波動カプセルをディッツ提督に渡した。
「これが有れば、この惑星(ほし)の生物たちと共存して行ける事でしょう。」
「メルダ。わたくしをイスカンダルまで送って下さいな。」
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つづく。
使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。