鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝:第二十八話

2019-01-11 16:30:28 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第二十八話




「それにしてもメルダ少佐、よくテロンが我々の計画にOkを出したましたね。」技術オペレーターの一人が尋ねた。

「ああ。丁度、バレル大使に呼ばれて地球圏に来ていた矢先に、テロン(地球)軍が劣勢と聞いてな。」
「このゴーストリンクシステム(企画)を持ち込んだのさ。」
「そしたら、飛び付いて来たよ。」
「上手く行けば、兵を前線に出さずにガトランティスを壊滅出来るのではないかとね。」
「そして、銀河とやらが沈んで、人類が生き残る為のG計画とやらが、本格的に発動された。」
「棚ぼたかも知れんが、ガミラスが護衛を引き受ける条件で、地球軍の上層部からGoサインが出たってわけさ。」
「まあ。テロン(地球)人にしたら、自分たちの計画の遂行が出来て、護衛の艦艇と人員を出さずに済むからな。」

「なるほど、そういう事でしたか。」

「ただ、此方からも条件を付け加えさせて貰った。」
「船内にガミラス人の区画を設けて欲しいとね。」メルダはオペレーターの質問に淡々と答えた。

メルダにはまだ、このゴーストリンクシステムのテストの他に成功させなければならない事がある。
それを成功に導く為、イスカンダルを目指していた。


◆◆◆◆




「あの子も派手に感応波を放ったようね。」何光年も離れた場所でも感じていた。
まだ零歳だと云うのに、やはり脳を最大限に活用出来る年齢なのね。

「まあ。それはそれとして、此方はミルを倒すと致しますかね。」そう心の中で呟き、私は艦長土方と直接話がしたいと、監視するクルーに依頼した。
監視するクルーはしかめっ面を覗かせるが、応じてくれた。
戦闘指揮下であるが、手短に済ませるならと、私は監視のクルー付きで艦長室へ上がった。

「土方艦長。桂木透子を案内致しました。」艦長室の一歩手前で監視のクルーが告げた。

「うむ。入れ。」と直ぐに返事が返る。
艦長室のドアを開き、私が先で監視のクルーがあとから艦長室に入った。
椅子に腰掛け、私を見る土方。

「明田(あきた)准慰。部屋の外で待機してくれ。」監視のクルーは明田と云う名前のようだ。
土方は力強い目でそう告げた。
躊躇する明田(あきた)准慰。

「桂木君なら大丈夫だ。下がってよし。」その言葉でようやく明田(あきた)と云うクルーは、艦長室の外で待機した。
「カチャ。」と自動ロックが掛かった。

二、三秒して土方が口を開いた。

「要件を聞こうか。」

「私をデスラーとの白兵戦に加えて欲しい。」

土方は目を細め、私を見つめる。

「君を捕虜である君を戦闘に加えろと。」

「そうです。」
「どのみち、アベルトをデスラーを倒し、ガトランティスの都市帝国内部に侵入、ゴレムを確保するのに、道先案内人が必要でしょ!?」
「ならば、今、私を解放し、少しでも早くデスラーの首を取り、ゴレムの確保をした方がよろしいかと。」
「それにガトランティスの機動兵器は私を殺す事はない。」
「それどころか、逆に操る事が可能よ。」

土方は胸の高さで腕を組み一瞬、目を閉じ、再び開き、こう告げて来た。

「よかろう。君を解放しよう。」
「但し、ゴレムまでのルートを今、教えて貰う。」
「これは保険のようなものだ。」
「君が死亡又は負傷し、対都市帝国戦に参加出来ない場合に備えてである。」

「解ったわ。」
「ゴレムまでの最短ルートを教えましょ。」私がそう云うと、土方は艦内無線を手に取り、第一艦橋に直接繋いだ。

「土方だ。至急、アナライザーを艦長室へよこしてくれ。」

真田副長に付き添われ、アナライザーは艦長室へ入室した。
艦(ふね)の指揮は一時的である為、砲雷長の南部に任せていた。

私は用意された白紙に簡易的な図を描き、説明した。
その様子をアナライザーが録画した。

「これでいいかしら?」

「よかろう。」
「真田副長。桂木君に余っている艦内服とコスモライフルを渡してくれ。」そう告げて来るが、私は話の腰を折るように口を開いた。

「艦内もコスモライフルも要らないわ。」
「私から取り上げたスーツケースを返して頂けるかしら。」
「鍵を壊す事も、ましや開ける事など出来なかったでしょうけどね。」

「あれにはゼムリアの戦闘服と剣(つるぎ)が入っているの。」
「私の格闘能力は既に実証済みよね。」

目を細め土方は私を見つめる。

「真田副長。スーツケースも返してやれ。」その言葉を聞き、私は真田副長らと艦長室をあとにした。
土方は第一艦橋へ戻り、再び戦闘指揮を取る。
私と真田副長は格納庫の片隅に在る保管場所へと足を運んだ。
保管場所の片隅に「ポツン」と置かれたスーツケース。
私はそのスーツケースに向かって、言葉を投げ掛けた。

「私は白銀の巫女シファル・サーベラー。蓋を開けよ。」
スーツケースの縁が赤く光ると「ゴト」と横にスライドした。
私は白銀に輝く鎧(アーマー)と手甲式の剣(つるぎ)を取り出した。
真田副長は「ポカン」とした顔を覗かせていた。

「まさか、おとぎ話のような。」と云う表情が相応しい。
だが、何かに気が付いた様子だった。

そう。ゴレムと同じ素材で造られていると。
私は「当たり」よと呟き、着用している服を脱ぎ捨て、ケースから取り出した白銀の鎧"諸刃の鎧(アーマー)"を装着した。
私の身体を記憶する鎧は大きさを変化させ、私の身体にフィットさせた。
形状記憶液体金属で出来た鎧。
ティーバッグ状の液体金属が「クイッ」とお尻に食い込む。
私はこのフィット感が好き。
見た目は白銀に輝く、時代で云えば中世のヨーロッパ風の鎧にビスチェを組あせたといった感じ。
一瞬、顔を紅く染めた真田は、真顔で「もし、我々を裏切るような事があれば……」
私は真田の唇に人差し指を当てた。

「解っているわ。」私は最後までは喋らせなかった。

そして、マスク(兜)を装着、手甲式の諸刃の剣(つるぎ)を持ち一歩踏み出した。

「さぁ。参りましょうか。」

【巫女の鎧:(諸刃の鎧)】イメージ


第二十九話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。

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