鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第二十九話

2019-01-16 17:55:24 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第二十九話






西暦2201年半ばくらいから、対ガトランティス戦が動き始めていた。

地球連邦政府及び防衛軍は、先のガミラス戦争時の教訓から、宇宙での戦闘において絶対的な物量と火力が、不可欠であるとした。
今や、かつての対戦勢力であるガミラスとの和平を正式に結んだ地球連邦政府は、ガミラスからの資材、技術提供を確約した。
そして、地球連邦政府及び防衛軍は、宇宙戦艦ヤマトの実戦データを基に「波動砲艦隊を構想」を打ち出したのだ。
無論、地球、ガミラスにも、その構想に反対する者は少なからず居た。
だが、地球連邦政府及び防衛軍は、復興にも欠かせない資源と資材の提供は、喉から手が出るほど欲しいものであり、何より軍上層部にしてみれば、国連宇宙軍時代に壊滅させられた防衛艦隊の再建が急務であった事から、"イスカンダルとの約束"は単なる口約束と蚊帳の外へと追いやった。

こうして復興と宇宙軍再建は、急ピッチで進められた。
だが、一部の関係者の中には、構想自体には反対ではないが、いくら資源と資材や技術をガミラスから提供されても、人員と復興、それと艦隊を造り出す工業施設は、「どうする?」と疑問の声が上がっていた。
それら疑問は連邦政府及び防衛軍上層部から、"口外無用"を条件に伝えられた。
"反重力特異点"時間断層の存在であった。
また、人員不足はガミラスから提供されたアンドロイドで補うと説明された。

こうして、時間断層内に大工場が建設され、防衛軍がそれを管理する事と成った。
巨大な軍需工場"時間断層軍需工場"が正式に認められ、完成した。
ガミラス軍から提供された国連宇宙軍時代、最も最強の戦艦と位置付けられたガイデロール級。
そのガイデロール級を研究、開発、再構築し、ドレッド・ノート級、通称Dクラスは、設計から四ヶ月という僅かな期間で完成した。
製造だけなら一ヶ月もあれば完成する事から、軍上層部はDクラスの改良版を設計、試作アンドロメダ級を完成させた。
この試作アンドロメダ級は火力、機動力共に、軍上層部の人間を唸らせるほどの出来であった。
(この試作アンドロメダは銀河中心部へ調査に向かったとされている。)極秘中の極秘とされ、現在、この事実を知る者は極少数である。

そして、コスト面でかなり無理が生じる事から、妥協点を見出だし、再設計と改良が加えられ、こうして完成したのがアンドロメダ級一番艦:アンドロメダである。
宇宙戦艦ヤマトに搭載された波動砲の二倍の威力を持ち、同等の艦載能力を有し、機動力も上回る戦闘艦であるにも関わらず、コスト面ではヤマトを下回っていた。
これに気を良くした軍上層部は、Dクラスと共に量産化に着手した。

時は流れ西暦2202中頃、量産化されたDクラス及びアンドロメダ級のデータを基に更に発展、改良した戦闘艦の開発に着手し、完成と同時に戦場に送り出していた。
だが、ヤマトよりも強力な波動砲を持ってしても、ガトランティス軍の戦力は、一向に衰えを知らなかった。
そんな中、連邦政府関係者の中には、ガミラス戦争時に体験した"人類存続の危機"を抱かせる者が現れはじめていた。
その、人類存続の危機を懸念した初代連邦大統領は、日本管区長官で防衛軍長官を兼任する藤堂に"イズモ計画"を打診した。
いち早く懸念を抱いていた藤堂はこれを了承、急ピッチで脱出用の船の開発をかつてのヤマトのクルー真田に依頼した。
当時、ヤマト再建に関わっていた真田は、同時に研究していた「コスモリバースシステム」の研究を引き継いで貰えるのであればと、引き受けた。
真田は防衛艦隊再建にあたり、「波動コア」の量産化が不可欠と2201年初頭に、これを開発、完成、量産化に成功させた。
その経緯からコスモリバースシステムの研究も進めていたのだ。
惑星の再生や人の蘇生等については、今の地球の科学力では不可能である事から、波動エネルギーのデバイスとして再利用出来ないかと研究していたところ、この話を持ち掛けられたのである。
この研究が成功すれば、防衛艦隊に波動砲を装備する必要はないとまで、考えていた。

そして2203年初頭、真田から引き継いだ研究チームは、波動エネルギーのデバイスとして完成させた「コスモリバース波動エネルギーデバイスシステム」は、銀河と名付けられた航宙艦に装備された。
だが、この航宙艦銀河は当初、真田の設計とは大きく異なり、ヤマトを真似て造られてしまう。

【波動実験艦:銀河】

軍上層部にしてみれば、合理的でしかもヤマト同様に通常兵器であるなら使用可能であると、そう信じていたのだ。
しかし、実際に蓋を開けてみれば、違っていた。
銀河に関しては、通常兵器も支障を来すという思い描いていた結果とは、大きくかけ離れていたのだ。
これには軍上層部も頭を抱えるが、戦況は想像以上に悪化して行った。
しかし、第二のイズモ計画である"G計画"を断念する訳にも行かず、新たに航宙艦:銀河のデータを基にコスモリバース波動エネルギーデバイスシステムの製造に着手した。
上手く量産化が出来れば、それだけ多くの"人類存続"の希望が持てるのである。

そんな中、丁度、ガミラス大使であるバレルから召集されたフォムト・バーガーの部隊と同行した研究チームは、このコスモリバースシステム量産化構想に一つのプラン(アドバイス)を防衛軍上層部に進言、共同で行われる事と成った。
これには、ガミラスの思惑が隠されていた。
その思惑とは、「第二のガミラス」を早急に造り上げる事であった。
それには地球で再開発されたコスモリバース波動エネルギーデバイスシステム"波動システム"が不可欠であった。

「ゲシュ=ダールバム」波動砲をこの時点で造り出す事は、新生ガミラスを立ち上げる者たちに許されていないが、コスモリバースシステムと成れば、あのイスカンダルを味方に付けられると考えたからである。
既に、この研究チームは第二のガミラスと成りうる惑星(ほし)を確保し、現時点では第二皇女と成ったユリーシャ・イスカンダルを「惑星防御構想」と、説き伏せていた。
それは、姉でありイスカンダルの女王であるスターシャ陛下を説く為でもあった。
スターシャに関しては、移住するとは考えられない事は百も承知であるが、産まれた子供の移住先と成れば、我が子可愛さに、イスカンダルの技術提供は元より、良き返事を頂けるのではないかと思ったからである。

表向き、元々、非武装ではあるが防御力はかなり高いシュヘラザードの"ゲシュ=タム・フィールド"をコスモリバース波動エネルギーデバイスシステム=波動システムを利用して、強化、惑星全体を覆い守るというものであった。



「たとえ、純血でなくともガミラス人の血を絶やす事は避けなければなりますんね。提督。」エリーサ・ドメルは隣に立つ、ガル・ディッツ提督に語った。
ガル・ディッツ提督は「ああ。」と短い返事を返した。


「あの力。波動コアと波動機関の共振で行動不能にする力。」
「新生ガミラスには不可欠。攻守共に必要な技術・・・」新生ガミラスを立ち上げたメルダの父、ガル・ディッツは、そう心に思う。

そして、このチームの別動隊(メルダ)は、既にユリーシャ・イスカンダルと合流し、ヤマトも立ち寄った事のある惑星ビーメラに【ヤマト型武装恒星間航行宇宙船フィーニクス】と共に向かっていた。
ここを第二のガミラスとしてまた、地球を脱出したG計画のメンバーたちの地としようというものであった。
ガミラス星の寿命がつき、帝国として存続出来なく成ったとしても、「ゲシュ=タムの門」亜空間ゲートの管理と運営は、維持したいとの考え、更にはガミラス星の寿命まで時間が無い事から、現ガミラスの最大補給基地と成ったバラン星からも近い、このビーメラを選んだのである。



既に開拓の第一歩、サレザーの太陽の"光成物質"を造り出す小型人工太陽を建設していた。


◆◆◆◆





何時しかデスラーの操り人形とガトランティスの人形には、出くわさなく成っていた。

「ブリッジが近いはずだが……。」
「罠かも知れない……。」と。
私はそう感じていた。


第三十話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。