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非糖尿病高血圧患者での厳密な血圧コントロール

2009-08-24 | 循環器・救急医療
Usual versus tight control of systolic blood pressure in non-diabetic patients with hypertension (Cardio-Sis): an open-label randomised trial

Paolo Verdecchia, Jan A Staessen, Fabio Angeli, Giovanni de Simone, Augusto Achilli, Antonello Ganau, Gianfrancesco Mureddu, Sergio Pede, Aldo P Maggioni, Donata Lucci, Gianpaolo Reboldi, on behalf of the Cardio-Sis investigators

日本における現在の推奨
高血圧ガイドライン2009
若年者・中年者:130/85mm Hg (家庭 125/80mmHg)
高齢者:140/90 (家庭135/85mgHg)
糖尿病・CKD・心筋梗塞:130/80 mmHg(家庭 125/75mmHg)
脳血管障害 140/90mmHg(家庭135/85mmHg)

収縮期血圧10mmHgの上昇は男性で20%、女性で15%脳卒中を増加
収縮期血圧10mmHgの上昇は冠動脈疾患を約15%増加


ヨーロッパにおける現在の推奨:血圧140/90mmHg
血圧を130以下群と140以下群で比較

対象:
① 55歳以上、収縮期血圧150mmHg以上で最低12週の降圧薬治療を受けている人。
② イタリア44施設で2005年2月22日から2007年2月28日で登録
③ ヨーロッパ高血圧症学会ノガイドラインに基づく一つ以上のリスクがあること。(喫煙、コレステロール5.2mmol/L以上、HDLが1.0mmol/L以下、LDLが3.4mmol/L以上、first relativeで若年性心疾患の家族歴(女性65歳以上、男性55歳以上)、TIA、脳梗塞、冠動脈、末梢動脈疾患
④ 除外項目:高血糖(7.0mmol/L)、糖尿病の既往がある人、血清クレアチニン176.8Μmol/L、肝疾患、血液疾患、弁膜症、右脚完全ブロック、左脚完全ブロック、WPW症候群、異常Q波、ペースメーカー)、Af、薬物乱用、生命予後を短縮させる疾患がある場合
⑤ 設定
・2回(7-14日間空けて)降圧薬内服下に150mmHg以上
・コンピューターにて130mmHg以下群と140mmHg以下群にランダム化

・primary outcome:2年後の最後の受診で心電図上の左室肥大
Modified cornell voltage (SV3+ RaVL >2.0Mv (女性) 2.4m V(男性))
Left ventricular strain(inverted asymmetric T wave with flat or downsloping ST segment + 少なくてもJ pointから80ms低下)
Romhilt-Estes socre 5以上
・secondary outcome: 死亡率、心筋梗塞、TIA、うっ血性心不全(NYHA III or IV), 狭心症、新規Af、冠動脈再開通、大動脈解離、閉塞性末梢動脈疾患、透析を必要とする腎不全
⑥ 方法
・2年間4カ月毎通院
血圧(10分以上座った後、3回連続の平均)
2回眼と1年、2年で心電図、血液検査(TCHO,HDL,LDL,血糖,クレアチニン,カリウム)、1回以上通院できない場合は電話でフォロー。
治療はオープンラベル:治療薬は多種
130mmHg群では受診毎に超える場合は治療、一方で通常群では130mmHgを下回った群では治療を緩和
⑦ 結果
1193人スクリーンされ1111人(93%)が無作為にランダム化
553人:通常
558人:強化群
2年間フォロー
通常群の1名のみ脱落

血圧コントロール 23.5/8.9mmHg (通常群) 27.3/10.4mmHg(強化群)

通常群:140以下達成: 64.4%(1年)、66.9%(2年)
強化群:140以下達成: 75.5%(1年)、78.7%(2年)

通常群:130以下達成:23.3%(1年)、27.3%(2年)
強化群:130以下達成:45.3%(1年)、72.2%(2年)

Primary outcome: 通常群 17.0%  強化群 11.4%
Secondary outcome: 9.4% vs 4.8% (発生率: 5.14 vs 2.54) →新規Afと冠動脈再開通で差が認められた。 

1名:angioedema, 1名 皮疹 K 3.0以下が1名, 血糖7.0mmol/l以上が通常群33名、強化群 32名

強化群では通常群と比較し利尿薬の使用頻度が高い(1.36:1.08-1.71 p=0.009)
Statinやaspirinの使用で差は無し。(両者とも使用頻度が増加している)

⑧ Discussion
強化群は可能で合併症も少ない。
2年間で血圧低下率が多く、左室肥大、心血管系に効果

⑨ 制限
左室肥大をECGで判定
ブラインドされていない。
白人対象
Secondary outcomeの発生率が患者数が少ない事、フォローアップが短いことから少ない。

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