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VLF/LF電離層擾乱に基づいて有料地震予測サービスを行っている、「地震解析ラボ」(所長:早川正士・電通大名誉教授)という団体があります(運営会社はインフォメーションシステムズ株式会社)。
当サイトでは以前より、地震解析ラボには有意な予測能力が全くみられないと指摘しています。しかしながら、彼らは依然として、有料地震予測サービスを継続しているようです。そこで今回は、地震解析ラボの昨年2014年の予測実績を、検証してみましょう。
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まず、2014年に国内で発生した大きな地震を、地震解析ラボが事前に予測できていたかどうかを検証してみます。
最大震度5弱以上を観測した、8個の地震について(長野県北部を震源とする震度6弱の地震の余震1個を除く)、地震解析ラボが、直前の予測発表で予測していたか否かを、以下に示します。詳しくは、彼らのサイト(地震解析ラボ/予測情報アーカイブ)もご覧ください。
…予測率は、2/8で25%となります。「25%」と聞くと、まずまずの成績のように思われるかも知れません。
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ところが一方で、地震解析ラボは、2014年のわずか1年間で、予測識別番号001から126までの、合計126回(!)もの地震予測を発表しているのです。まさに、下手な鉄砲を、ショットガンで打っているワケです。これでは、幾つかの地震を的中させて当たり前です。
しかも、大多数の地震予測は、東日本の太平洋側という地震多発地帯を狙って出されたもので、的中した上述の2件の地震も、このエリアでの地震にすぎません。しかも、予測1件につき1週間ほどの予測期間があって、地震が予測どおり発生しないと期間を延長するケースも多々あります。こんな予測では、たまに的中があっても全く驚くに値しません。
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つまり、まとめますと、地震解析ラボの2014年の予測実績は、以下のとおりとなります。
…いかがでしょうか。地震解析ラボの地震予測に、有意な実績も価値も全く見出せないと言わざるを得ないことは、おわかりいただけると思います。
ちなみに、早川正士氏は昨年10月にメディアに登場し、「10月31日までに茨城沖にM6以上の地震が発生する」と予測を発表(こちら)しましたが、これも空振り(的中せず)に終わりました。
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地震解析ラボは、予測実績を全て定量的に公開している点において、自らの予測実績を有耶無耶にして過大広告する村井俊治氏らJESEAよりも、百倍はマシだと言えます。予測期間も予測規模も設定しているので、的中率を定量的に評価できます(一方のJESEAの地震予測は、予測期間も予測規模も予測震央もいずれも極めて曖昧であり、幾らでも「的中させた」と後で言えてしまう)。
ですが、自身の貧弱な実績を正直に認める科学的で客観的な態度が、やはり早川正士氏ら地震解析ラボにも見受けられないことは、大変残念です。ショットガンの乱発には触れずに、事後に「予測していた」とだけ繰り返しているだけに見えます。
ぜひ彼らにも、たとえ自己に都合の悪い検証であっても正直に認め、真摯に研究を続けていく実直な態度を期待します。
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VLF/LF電離層擾乱に基づいて有料地震予測サービスを行っている、「地震解析ラボ」(所長:早川正士・電通大名誉教授)という団体があります(運営会社はインフォメーションシステムズ株式会社)。
当サイトでは以前より、地震解析ラボには有意な予測能力が全くみられないと指摘しています。しかしながら、彼らは依然として、有料地震予測サービスを継続しているようです。そこで今回は、地震解析ラボの昨年2014年の予測実績を、検証してみましょう。
■
まず、2014年に国内で発生した大きな地震を、地震解析ラボが事前に予測できていたかどうかを検証してみます。
最大震度5弱以上を観測した、8個の地震について(長野県北部を震源とする震度6弱の地震の余震1個を除く)、地震解析ラボが、直前の予測発表で予測していたか否かを、以下に示します。詳しくは、彼らのサイト(地震解析ラボ/予測情報アーカイブ)もご覧ください。
(1)2014/03/14 伊予灘 深さ78km M6.2 最大震度5強
→予測できず(3/13発表の予測図で、西日本は全くのノーマーク)
(2)2014/05/05 伊豆大島近海 深さ156km M6.0 最大震度5弱
→予測できず(5/1発表の予測図で、千葉を中心とする予測円があるが、震央は全く外れている)
(3)2014/07/05 岩手県沖 深さ49km M5.9 最大震度5弱
→予測できず(7/2発表の予測図で、宮城沖を中心とする予測円があるが、震央は外しているし、予測規模も違う)
(4)2014/07/08 胆振地方中東部 深さ3km M5.6 最大震度5弱
→予測あり(7/5発表の予測図で、震央がギリギリ予測円に入っているようにも見えるのでオマケ)
(5)2014/08/10 青森県東方沖 深さ51km M6.1 最大震度5弱
→予測できず(8/7発表の予測図で、全くのノーマーク)
(6)2014/09/03 栃木県北部 深さ7km M5.1 最大震度5弱
→予測できず(9/3発表の予測図で、東日本にビッシリ予測円があるにもかかわらず、震央を見事に外している)
(7)2014/09/16 茨城県南部 深さ47km M5.6 最大震度5弱
→予測あり(9/15発表の予測図で、震源がギリギリ予測円に入っているようにも見えるのでオマケ)
(8)2014/11/22 長野県北部 深さ5km M6.7 最大震度6弱
→予測できず(11/17発表の予測図で、石川県を中心に予測円を発表しているが、震央は全く外しており、規模も全く外れ)
→予測できず(3/13発表の予測図で、西日本は全くのノーマーク)
(2)2014/05/05 伊豆大島近海 深さ156km M6.0 最大震度5弱
→予測できず(5/1発表の予測図で、千葉を中心とする予測円があるが、震央は全く外れている)
(3)2014/07/05 岩手県沖 深さ49km M5.9 最大震度5弱
→予測できず(7/2発表の予測図で、宮城沖を中心とする予測円があるが、震央は外しているし、予測規模も違う)
(4)2014/07/08 胆振地方中東部 深さ3km M5.6 最大震度5弱
→予測あり(7/5発表の予測図で、震央がギリギリ予測円に入っているようにも見えるのでオマケ)
(5)2014/08/10 青森県東方沖 深さ51km M6.1 最大震度5弱
→予測できず(8/7発表の予測図で、全くのノーマーク)
(6)2014/09/03 栃木県北部 深さ7km M5.1 最大震度5弱
→予測できず(9/3発表の予測図で、東日本にビッシリ予測円があるにもかかわらず、震央を見事に外している)
(7)2014/09/16 茨城県南部 深さ47km M5.6 最大震度5弱
→予測あり(9/15発表の予測図で、震源がギリギリ予測円に入っているようにも見えるのでオマケ)
(8)2014/11/22 長野県北部 深さ5km M6.7 最大震度6弱
→予測できず(11/17発表の予測図で、石川県を中心に予測円を発表しているが、震央は全く外しており、規模も全く外れ)
…予測率は、2/8で25%となります。「25%」と聞くと、まずまずの成績のように思われるかも知れません。
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ところが一方で、地震解析ラボは、2014年のわずか1年間で、予測識別番号001から126までの、合計126回(!)もの地震予測を発表しているのです。まさに、下手な鉄砲を、ショットガンで打っているワケです。これでは、幾つかの地震を的中させて当たり前です。
しかも、大多数の地震予測は、東日本の太平洋側という地震多発地帯を狙って出されたもので、的中した上述の2件の地震も、このエリアでの地震にすぎません。しかも、予測1件につき1週間ほどの予測期間があって、地震が予測どおり発生しないと期間を延長するケースも多々あります。こんな予測では、たまに的中があっても全く驚くに値しません。
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つまり、まとめますと、地震解析ラボの2014年の予測実績は、以下のとおりとなります。
・ 126回もの予測を乱発しながら、最大震度5弱以上の地震8個のうち、2つしか事前予測できなかった
・ 126回の予測のうち124回は、震度5弱以上を観測する地震が発生しなかった
・ 126回の予測のうち124回は、震度5弱以上を観測する地震が発生しなかった
…いかがでしょうか。地震解析ラボの地震予測に、有意な実績も価値も全く見出せないと言わざるを得ないことは、おわかりいただけると思います。
ちなみに、早川正士氏は昨年10月にメディアに登場し、「10月31日までに茨城沖にM6以上の地震が発生する」と予測を発表(こちら)しましたが、これも空振り(的中せず)に終わりました。
■
地震解析ラボは、予測実績を全て定量的に公開している点において、自らの予測実績を有耶無耶にして過大広告する村井俊治氏らJESEAよりも、百倍はマシだと言えます。予測期間も予測規模も設定しているので、的中率を定量的に評価できます(一方のJESEAの地震予測は、予測期間も予測規模も予測震央もいずれも極めて曖昧であり、幾らでも「的中させた」と後で言えてしまう)。
ですが、自身の貧弱な実績を正直に認める科学的で客観的な態度が、やはり早川正士氏ら地震解析ラボにも見受けられないことは、大変残念です。ショットガンの乱発には触れずに、事後に「予測していた」とだけ繰り返しているだけに見えます。
ぜひ彼らにも、たとえ自己に都合の悪い検証であっても正直に認め、真摯に研究を続けていく実直な態度を期待します。
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それにしても、地震って予知できないものですね。いまさらながら、おもいました。
この予測にしても、なぜ予測がはずれるのか、自ら徹底的に検証してくれれば面白いですが・・・。
ただ、おっしゃるように、情報を公開しているのはありがたいですね(当り前のことですが)。ここだけではなく、さまざまな予測グループがいろんなデータを公開してくれれば、それらを綜合して吟味(批判)する人も現れるかもしれません。それが地震予知に近づくかどうかはわからないにしても、開かれた場で諸データを検討できることがまず必要だとおもいます。
福岡県西方沖地震から10年経ちました。私は柳川市で震度5弱を経験しました。あのときはかなりびっくりしました。福岡で大地震が起きるとはと思っていなかったからです。
いつかこのような大地震を予知できるようになってほしいと思っています。
しかし、外れたのにどうして外れたのかを考えなかったり、いくらでもこじつけられる予知をすることは止めてほしいですね。
これで「○○地震を的中させた!」とメディアで報じられるのですから、悩ましい限りです。
逆に言えば、予測・予知商法が無くならないのも頷けます。
大学教授だ、名誉教授、研究家だと称する人が、「○○地震を予測しました」といえば、どんなこじつけだろうと言った者勝ち、何でも肯定しちゃうのですから。ぼろい商売と言うところになりますね。
そう言えば早川先生、何でも地震に関する国際会議で、成果を発表されると某日刊紙に載ってましたが、どんな会議なんでしょうね?
昨年のSTAP問題の時も思いましたが、研究成果を客観的に検証して判断する目を、専門家はもとより、一般の受け手側も持つ必要があるなと思います。
念のため補足しておきますと、今回の記事は多少ずるい書き方をしていて、「126件の予測中2件だけが的中した」というわけでもないのです。あくまで、最大震度5弱以上を観測した地震が2件だけだったということであり、震度4以下の地震が発生したものが多少はあります。
ただ、震度4以下の地震を予測することにあまり意味があるとは思えず、ただ的中数を稼いでいるに過ぎないので(なにしろ年間126件の予測発表ですので)、今回の記事ではそのような予測をあえて評価していません。
コメント有難うございます。
本ブログでは、あくまで客観的に、偶然と比べて有意な地震予測能力があるか否かを検証するよう努める一方、正直な感想も添えています。
「(役に立たないので)加入するべきではない」等とはあまり断定的に言いたくありませんので、よろしければ他のエントリなどもご覧いただいて、総合的に検討の上、各自でご判断ください。