西洋と東洋の狭間

何かにつけ軌道修正の遅い国で有るが一端方向転換すると、凄い勢いで走り出し今までの良き所まで修正してしまう日本文明

『潜水服は蝶の夢を見る』(仮題)、2007・カンヌ映画祭

2007-06-20 12:31:35 | 映画
『潜水服は蝶の夢を見る』(仮題)・ジャン=ドミニクを看取ったベルナール

原作:『潜水服は蝶の夢を見る』(ジャン=ドミニク・ボービー著)
スタッフ
監督/ジュリアン・シュナーベル
脚本/ロナルド・ハーウッド
撮影/ヤヌス・カミンスキー
音楽/ポール・カンテノン
キャスト
ジャン=ドゥ…マチュー・アマルリック
セリーヌ…エマニュエル・セニエ
アンリエット…マリ=ジョゼ・クローズ
クロード…アンヌ・コンシニ
ルパージュ医師…パトリック・シェネイ

1951年NYブルックリン生まれのジュリアン・シュナーベル監督が、ハヴィエル・バルデムをアカデミー賞候補に送り込み、2000年のベネチア国際映画祭で審査員大賞を受賞した『夜になるまえに』、新表現主義の画家としてキャリアをスタート後、親交のあった画家ジャン・ミッシェル・バスキアの伝記映画で監督デビューを果たした『バスキア』に続き、再び実在人物、キューバの亡命作家レイナルド・アレナスのの半生を描いた最新作『潜水服は蝶の夢を見る(仮題)』がこのたび第60回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門へ正式出品され、カンヌの舞台で感動を呼び起こす。
監督に再びメガホンを取らせたのは、ジャン=ドミニク・ボビーという人物。
ベルナールとジャン=ドミニクさんは若い頃から親友関係にあり、彼の最期も看取った。
1995年、女性ファッション誌「ELLE」の編集長であった彼は、43歳という若さで突然、脳溢血で倒れ、目が覚めると、そこは病室。徐々に自分が倒れ、運ばれて来た事が蘇ってくる、医者と看護婦が来るが言葉が出ない、そして体の自由もきかない。そのまま寝たきりの生活を余儀なくされる。働き盛りの年齢で、第一線で活躍していた日々が一変、唯一左眼のまぶたしか動かない身体に。だが、彼を見守る看護婦のサンドリーヌが彼のまぶたの動きに気づき、編集者のクロードが彼に自伝を書く話を持ちかけたことから、彼の新たな人生が幕を開けた――。

内容は、記事紹介から
カメラはそんな彼の視点から周囲の人たちをとらえる。やがて意思の疎通を図るため、アルファベットを用いて言葉を作り上げる。Yesなら一回の瞬き、Noなら2回とまぶたの動きで、若い二人の女性が付き添って看護する。その日々が綴られ、主人公の独白が笑わせたりと面白い。
妻が子供たちを連れて見舞いに現れたり、嫌な友人や仲間も。そんな中でマックス・フォン・シドー演じる老父が電話で話しかけるシーンは泣かせる。老父との思い出や結婚式、仕事場と彼の脳裏に浮かぶシーンが次々と出て来て、やがてなぜこんな目に遭ったのかが明らかになる。愛人のアパートから田舎にいる家族に会いに新車ですっ飛ばし、息子を連れてサッカー観戦に出掛けた途中に身体に異常を来たし…。
妻の看病中に愛人からの電話が入り、妻が数分だけ席を外すシーンも、いかにもフランス的。主人公の心を軽やかに華麗に映像に表わす手腕は見事で、人生というものの意義を考えさせられる。片目を閉じ、口元をへし曲げてジャン=ドミニク・ボビーを熱演するアマルリック、愛人を認めつつ強く生きる妻を好演するセニエら俳優たちのアンサンブルも決まっている。さらに先日死去したばかりのベテラン、ジャン=ピエール・カッセルが牧師と店主の2役で顔を見せているのもうれしい。

左まぶたの瞬きを20万回以上繰り返すことだけで、同名手記を書き上げたという奇跡の実話を完全映画化した本作。ジャンを演じるのは、前回紹介致しました、『キングス&クイーン』などアルノー・デプレシャン監督作品で常連のフランス実力派俳優、マチュー・アマルリック。さてこのマチュー、今後も出演作が目白押しのようなんですが、今年のカンヌ映画祭では、コンペティション作品として参加している「潜水服と蝶」を含め、原題出演作が3本も登場しています。
これは日本でも来年公開されるようですから、楽しみでもあり、身体の自由を失い難病と闘う人物をどんな演技で私達に見せてくれるかも期待したいものである。
今回の新作はもともとジョニー・デップ主演で企画が進められていたが、最終的にはマチュー・アマルリックがデップの代わりを務めることになった。
また、私生活でも「そして僕は恋をする」で共演したジャンヌ・バリバールとの間に、二人の子供がいます。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
SUKIPIOさんへ (kju96)
2007-06-22 12:29:32
こんにちは
新作映画ですね。
最近は映画館に行っていません。月に1回くらいでしょうか。
ジュリアン・ジュナベールも注目される監督の一人でしょうか。「夜になるまえに」という映画は観たことがあります。作家がキューバ政権下に巻き込まれていく話だったかと・・その後の作品は観ていませんが、機会がえれば観ようと思います。Sukipioさんは若いですね。
負けじと新作も観なくてはいけませんね。
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おはようございます「kju96」さん (SUKIPIO)
2007-06-23 07:48:14
何時もコメント頂きまして、有難うございます。
ショパンとサンドは、ご迷惑でしょうが、少し長くなりました。

この作品は、来年に公開予定らしいのですよ。
マチュー・アマルリックのこの作品での演技も見たいものです。
ジュリアン・ジュナベール監督と共に期待大ですね。
1957年ジーン・ケリーに認められ映画「ハッピー・ロード」で本格デビューし、60~70年代はジャン・ルノワール監督らのもとで映画に出演していました。ヴァンサン・カッセルの父としての方が、有名かもしれませんが、パリで4月19日死去された、フランスの俳優ジャン=ピエール・カッセルの遺作にもなるんですね。
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