西洋と東洋の狭間

何かにつけ軌道修正の遅い国で有るが一端方向転換すると、凄い勢いで走り出し今までの良き所まで修正してしまう日本文明

「ポールとミシェル Paul and Michelle/続・フレンズ」1973

2007-08-05 20:20:12 | 映画
パリへ、そして・・・カマルグは・・・

ここをご欄頂く前に、「続・フレンズ」あらすじ、その1を先にご欄ください。
あらすじ、その2
やがて、願っていた家族一緒の、つかの間の幸せな生活も終わりを告げる日が来た。
パリでの生活に、不安を感じるミシェル。
「まわりは皆、優秀な大学生ばかりで、私なんか・・・」
「バカな事言わないでよ! 君は誰よりも魅力的だよ!」
ポールがソルボンヌ大学に入学する日が近づき、一足先に彼だけがパリに戻り、アパートを探してからミシェルとシルビィを呼び寄せることにしたのである。
「パパに行ってらっしゃいわ」・・・「バイ、バイ」 
               
3年前に、引き裂かれたポールとを繋ぐ唯一の道が、現実に、あの過去を再び蘇らせる様にポールを遠くに導く様にも感じられ、不安を募らせるミシェル。
遠くに小さくなってゆくポールとの絆を今度こそ離さない様に、ミシェルは叫ぶ。
「ポール!・・ポール!」
        
それは、行かないでと、願う姿にも見える様でもあった。
そんなミシェルの思いとは別に、父とのレールの様な互いの考えの平行線上の先にあるモノは、見えるはずもないポールであった。

早速ポールはパリに行って、部屋の手配をする。
そしてミシェルとシルビィが、カマルグから来る日に、おりからの大学仲間のデモに加わる事になるが、リヨン駅に、ミシェルを迎える時刻が気にかかる。
機動隊と衝突して散らされたのだが、結局、家族と暮らし始める初日から、大学生活もままならないポールは時間に遅れる始末であった。
しかし、ポールなりのけじめもした。ポールは父の家を訪ね、ミシェルを呼び寄せて住むことにしたと話すが、父はそれなら資金援助を打ち切ると言う。ポールは構わないと言って家を出る。
ポールは肉屋で働き、授業に出る。ポールが帰るとミシェルが皿洗をして生計を立てなければならなかった。パリでの親子三人の新しい生活が始まったが、決して楽なものではない。
また、彼女には、お腹の子が、父親がポールなのかギャリーなのか確信がもてなかった為に、ポールにも相談できずにいたのだが、学生仲間の集まりでポールの友人ジョアンナから中絶をしてくれる医学生を紹介してもらい、医学生とジョアンナはfractureだと言って手術室を使い、中絶後したのだった。
中絶後、擬装のためにしっかりギプスまでしたその夜、ミシェルは気分が悪くなり、医者を呼ぼうとするポールを止め、ミシェルは中絶した事をうち明ける。その悲しみは、ミシェルに忘れさす事は、ないのであろう。
                     
ある日、思いがけずギャリーがパリに現われ、ミシェルをアメリカに連れてゆき、結婚したいと申し出た。
ミシェルは迷ったが、もう一度自分の人生をポールに賭けようと決心する。
ギャリーは栄転が遅すぎたとあきらめる。
「ミシェルとシルヴィーに、ニューヨークを見せてやりたかったよ」
ギャリーの優しさに、答える事が出来なかった複雑な気持ちは、言葉にもつまらせるミシェルであった。
昼と夜のすれ違いの生活は、心身の疲労を生み、二人の関係もミシェルがポールと友人の女子学生スザンナ(A・ロンバーグ)の関係を疑いだした事で、再び心の溝を深めていく事になってしまうのである。
そんなある日、スザンナが訪ねてきて、ポールを表のカフェに連れ出した。ところが、その日ミシェルは気分が悪くなって早退した帰り、二人を見てしまった。
              
あわてて部屋に戻ったポールに、自分がいない間にいつもスザンナと会っていたのかとなじりミシェル。二人は、心の歪みのままに激しく相手を責めあったあげく、ポールは信じられないのか、と言って出て行ってしまった。
それでもミシェルは怒らせてしまったポールが心配で追いかける。
そしてポールを探しあぐねてミシェルが戻ってくると、部屋には、二人の争いに巻き込まれた様に、シルビィがいなくなっていたのである。
ポールも帰ってきて、セーヌの河岸等を二人は手分けをして探すが見つからない。
やがて、疲れ果てて戻ってくる時にシルヴィは橋のところで見つかったのであった。
必死に探し出した愛娘と家に帰った二人には、今の生活に限界を感じるのです。
    
その後、ポールとミシェルはセーヌ河に挟まれた遊歩道で話し合い、二人は将来への決断を出す事になる。
そして、今のままではやっていけないと、ミシェルはポールに自分の決心を告げた。
 
「あたしとシルヴィーはカマルグに帰って、ポールが卒業するまで待つわ。」
「辛いけど・・ あの3年を耐えたんだから、今度の3年もきっと平気さ。」
ポールが大学を卒業するまでの三年間、田舎に戻ってシルヴィと二人で生活するために、パリを発つことにした。
「手紙書かせてよ」・・・「勿論よ、ポール・・・毎週はがきを出すようにするわ。」
「書く」・・・別れる意味の知らないシルヴィーの返事が救いの様でもあった。
リヨン駅の人気の少ないホームで、ポールは愛妻と愛娘にキスをした。
               
「忘れないで、ほんのしばらくの間よ」
「そう、ほんのしばらく、そう、そうだよ」
そして駅で、ポールは去っていく二人を見送った。
        
「グッバイ!ポール」・・・「グッバイ!ミシェル」
列車の窓からポールを見続けるミシェルは・・・そう、あの小道に続くカマルグのアトリエへ。

『さよなら、ポール。さよなら、ミシェル。・・・そして・・・アニセ・アルヴィナよ・・・永遠に・・・』

二人にとっては、3年前のあの純粋なまでのカマルグへの道とは、変わったモノになったであろう。
それは、子供の成長に伴った親の責任から二人の変化となってきた事でもあり、また、何よりポールとミシェルの本当の意味での巣立ちでもあったのかもしれません。しかし、その事で彼等を非難する人は、いないでしょう。そして、彼等と共に理解する日が来た事。そして誰もが通らなくてはならない、もう一つの道がある事も・・・。
でも、何故、私達は、彼等の原点でもあるカマルグへの道を今日に至るまで、たとえ心の奥底であろうとも、忘れる事が出来なかったのでしょうか。
それは、あの時、私達もポールとミシェルと供に、カマルグの道の先にあるモノを信じ、目指した事があったからなのでは、ないのかと。
だからこそ、信じたい。ポールとミシェル達が、この先の道のりが、いかに険しくとも、あの一筋の細く真直ぐな道に至り・・・青く澄んだカマルグの空のもとへと辿り着く事を。
そして、それは私達にも通じる道である様にも思えるのですが。


今回の、投稿に至る写真の提供等に、ご協力を頂いたモーラン爺さんに感謝いたします。
また、より、「ポールとミシェル」を身近に感じる事では、次にご紹介致しますサイトでは、綺麗に表現されておられ、よろしかったら、是非ご欄下さい。
 
※動画も、上手くまとめられ、当時の気持ちが、伝わってくる様です。
 入られますと、「ギャラリー」「パラパラ劇場」と、クリックして下さい。 

「ポールとミシェル Paul and Michelle/続・フレンズ」1973

2007-08-05 19:21:44 | 映画
「ポールとミシェル Paul and Michelle/続・フレンズ」1973パリへ、そして・・・カマルグは
イギリス・フランス (1973年度) 上映106分、初公開年度、1974年3月、青春ロマンス映画。配給 Par=CIC。

スタッフ
監督、製作、原案:ルイス・ギルバート
撮影場所:ニース、パリ、アルル:カマルグ
脚本:ルイス・ギルバート、ヴァーノン・ハリス
撮影:クロード・ルノワール
音楽:ミシェル・コロンビエ
キャスト
ショーン・バリー  (ポール・ハリソン Paul Harrison) 
アニセ・アルヴィナ (ミシェル・ラトゥール Michelle Latour)
ロナルド・ルイス  (ロバート・ハリソン)
トビー・ロビンズ  (ジェーン・ガードナー)
ケア・ダレー    (ギャリー Garry)
サラ・スタウト   (シルヴィ Sylvie)
スティーブ・ギルバート (ニック Nic)
カトリーヌ・アレグレ (ジョアンナ Joanna)
アン・ロンバーグ  (スザンナ Susannah)
ジョルジュ・ベレー (ダニエル Daniel)
ピーター・グレイヴス
               
解  説
十四歳の少女ミシェルと十五歳の少年ポールの友情から恋に変わったプロセスを描き、ラストの結末も切ない感じであった、前作「フレンズ」の公開から3年後、その後の二人を描いた 『続フレンズ/ポールとミシェル』 1973年度製作の作品。
設定の18歳といえばパブリック・スクールの最高学年ではありますが、煙草をくわえて車を運転する登場シーンの大人になったショーン・バリーは、カッコよくインパクトもあり、映画と同時進行での面白みを感じさせる。また、期待したアニセー・アルヴィナの美しさは、ますます磨きがかかっていた事からも、逆に時を経た現実を覚悟させ、先への何らかの予感も感じさせる様でもあった。
そんな冒頭から、この作品では、前作とは異なる厳しい現実を描いていきます。
話の本筋は彼らの愛を実社会で育むには、まだ厳しかった事で、ポールとミシェルは残酷なまでに思い知らされる事になり、希望のパリでは、彼が学業と一家の暮らしを立てるために仕事を両立させる日々や彼女の仕事との異なったシフト、そして、そんな中で活発な3歳を育てる厳しさや責任を学ぶ事にもなるが、二人は疲れはじめ、ロマンスは、すり減る様にもなります。
ディレクターは、彼らの新しい人生の対照をなすように「フレンズ」の多くのフラッシュバックを挿入することによって、これらの現実を目立たさせていました。
製作・監督はルイス・ギルバート、脚本はギルバートとヴァーノン・ハリスと前作「フレンズと同じだが、撮影はクロード・ルノワール、音楽はミシェル・コロンビエに変わって担当。
出演はアニセー・アルヴィナ、ショーン・バリーの他、ケア・ダレー、カトリーヌ・アレグレ、アン・ロンバーグ、ジョルジュ・ベレー、サラ・スタウト、スティーブ・ギルバート等々。

あらすじ、その1
ポール(S・バリー)とミシェル(A・アルビナ)はカマルグで引き裂かれ、あれから3年の歳月が流れたが、遭う事も出来ずにいた。
ミシェルと愛娘シルヴィーは修道院へ、英国に連れ戻されたポールは、父ロバートの厳しい監視の中、フランスに残してきたミシェルと、二人のあいだに生まれた娘のことは、一日たりとも忘れる事はなく高校生活も終え、パリのソルボンヌ大学へ進学する事が決まっていた。

残されたミシェルはポールとの別れから、パリの住所へ27通の手紙を書き続けるも、ポールへの思いは届く事が無かったのです。
ミシェルのポールを信じ待つ心に、微かな諦めが・・・。

新学期が始まる前、フランスを巡ると、父に申し出た。ロバートはミシェルを探しに行くのだと察しがついたのだが、ポールはその日から、サイドカー付きのバイクにまたがり、空白の時間を引き戻す様に、ミシェルを捜す旅に出るのであった。
       
ミシェルの叔母の家は引っ越しており、偶然ミシェルがいた修道院で、ニースに行ったと聞き、住所も教えてもらうことが出来た。
ミシェルが働いていたというパン屋、ニースの花市場、主人は「半年ほど前のある日、出て行ったきりだ」と、そっけない。しかし、女子店員が市場で先週見かけたと教えてくれたのだが、そこにも手がかりはなかった。
情け容赦のない現実との時間の隔たりが、ポールの胸を締め付けた事であっただろう。
   
しかし、そんなポールに希望が見えたかに思う事があった。
海で泳いでいると歩道にミシェルの姿を見つけたのだ。ズボンを拾って懸命に歩道に駆け上がったが、ミシェルの姿はもうなかった。その界隈を必死に探し回ったものの、見つける事は、かなわなかったのである。
ミシェルは必ずこの町に居る。諦めずに探していたポールの目に、向かいの交差に立つ、あの愛しいミシェルが映し出された。ミシェルもポールに気づく。
やがて信号が変わり車がクラクションを鳴らし始めるのにも気が付かないぐらいに、二人の間には、現実の空間と時間の空白の存在も無く、見つめ合い、再会する喜びをかみ締めている。そして、届く事が出来なかった思いを取り戻すかの様に、激しく抱き合った。
    
ミシェルはポールを住いに案内したのだが、ポールはそこで予期せぬ状況を知る事になる。
「あたし、今、ギャリーと暮らしているの」
ミシェルは、ギャリー・ウェストン(K・ダレー)という航空会社に勤務するアメリカ人と、同棲していたのだ。ポールの事も話しているからと、夜の食事に誘うのであった。
憤りと、ショックを感じざる終えないポールであったが、承知をする。
そして二人の三歳になる娘シルヴィ(S・スタウト)を保育園で引き合わせたのだが、そこには、ポールをじっと見つめるシルヴィがいた。
ミシェルは「パパがいつか来てくれるって言ったでしょ」と話すが、シルヴィは表情をくずす事はなかった。
その晩ポールは、ネクタイをしてミシェルの住んでいる部屋を訪ねた。ギャリーはラフな服装で気さくにポールに挨拶する。(こいつの英語は全然聞き取れない!)
居たたまれない時間を過ごし、帰る時がきた。エレベーターに乗り込んだポールが振り返ると、ギャリーが親しげにミシェルの肩を抱いている。
       
3年と云う時間の隔たりは、こうも苦しい現実を自身に与えるのか。しかし、それは受け入れなければならないのである。そんな気持ちは、ミシェルに会う事で、少しは和らぐのでもあるかの様に、町のカフェでミシェルと会った。一方ミシェル自身もポール以上に酷な出会いでは、あったのだが。
二人で会えば以前のままではあり、その事が余計に二人を苦しめる様でもある。
ポールは、ミシェルに目隠しをしてすてきなところに連れていくと言う。そしてバイクの後ろに乗せて自分の安宿に案内した。
目隠しのミシェルにヴィクトリアホテルの大理石の玄関だと言う。宿の女将は、そんな二人を見て、ミシェルにカウンターのバラを一輪くれたのだった。
ポールとミシェルは長く共に信じる事でしか味わえなかった変わらぬ愛を、求め合った。そこには何の存在もなく、二人だけなのである。その為時間の経つのも忘れてしまったミシェルは、あわてて部屋を飛び出さなければならなかった。ギャリーが帰ってくる11時までには戻っている予定であったのに帰り着いたのは1時になってしまっていた。
           ミシェルは正直にポールといたと話す。ギャリーに聞かれ、寝たことも否定しない。
「お互いを求めあってたのよ」
ギャリーはカッとなって、「よかったか」と、聞く。
ミシェルも「よかったわ」と、答える。
当然の口論でもあった。ミシェルには、突然の展開であり、近い先に決めなければならない残酷な判断に苦しむ。
そして「どうしていいかわからない」と、涙を浮かべてギャリーの胸に飛び込むのであった。しかし、何時もポールがミシェルの人生の真実の恋である事も知らされた瞬間でもあった。
その事は、ミシェルにとって、ポールこそ忘れ得ぬ人であったのです。
ギャリーは、今はミシェルを理解する事で、大人として去る事を選びます。

親子三人は想い出深いアルルの田舎屋を訪ねる。畑も、野原も、野を駈ける馬も、何ひとつ変わっていない。夏の太陽のもとで、ポールとミシェルの間に、三年前の暮らしが、昨日のごとく蘇る。
           
シルヴィもポールに懐いてきたある日、ピクニックに行く途中でギャリーに出会った。
わざわざ車で訪ねてきたのだ。シルヴィはギャリーには父親のように懐いており、ギャリーが駆けっこをしてシルヴィと遊ぶ姿にポールは面白くもなく、シルヴィとの関係には時間の空白が大きく横たわるのを感じる。
        
ミシェルにも気になることがあった。
医者に妊娠を告げられたのである。ギャリーの子だった。中絶を頼んでも、医者は違法だと認めてもらえないのであり、一人この苦しみをかかえていたのだ。
やがて、願っていた家族一緒の、つかの間の幸せな生活も終わりを告げる日が来た。