月刊パントマイムファン編集部電子支局

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アーティストリレー日記(31)Shivaさん

2013-08-12 23:21:57 | アーティストリレー日記
今号では、白いサラリーマンの大道芸で有名なShivaさんの日記をお届けします。最近は、新しいパフォーマンスを始めているようですね。

1.近況について…

軽い腰痛が続いています。
整体の先生いわく、僕の骨盤は歪んでいるそうです。
原因は、1・裸足で、2・屈んだ姿勢で
お客さんの顔を描くという最近始めたパフォーマンスによるものです。
ホントに裸足は良くありません。
おかげで今は、毎朝毎晩、骨盤に効く体操を繰り返しています。

2.マイム以外でハマっているもの…

「世界最古の洞窟壁画」というタイトルの映画をご存知でしょうか。
ヴェルナー・ヘルツォーク監督のドキュメンタリー映画です。
洞窟壁画といえば、教科書にも乗っているラスコー、アルタミラが有名ですが
それらは1万2千年前~1万5千年前、ショーヴェは3万2千年前。
現時点で、世界最古のアート作品なのです。

ショーヴェは、トレーニングを積んだ者で無ければ描けないような
「絵画」の完成度を持っています。
立体感を意識した洗練された線描。
絵画的効果を狙った、ウマの頭部の反復構成など。
加えて調査による描写の分析から、壁画は、ほぼ1人の仕事であるそうです。

「トレーニングを積んだ1人による仕事」。
むくむくと勝手な想像がひろがります。
…もしかして、絵を描くという、特殊スキルの「練習」を認める文化が、
3万年前にすでにあったのでは無いか??と。

獲物を追い回すという、一族が生き延びる為のもっとも重大な任務を
「オマエは、しなくて良い」
と免除された者が、皆が狩猟に出ているいっぽう、デッサンを練習し、
この壁画を描いたのでは、と。

そして「認められた」ということは、その一族には絵画技術への伝統的敬意があり、
美術を継承指導する「絵の師匠」が、居た可能性もあるのでは、と。
…まぁ、勝手な妄想なのですが。

妄想ついでに最後に思うのは、
『もしかして人間は、時代とともに進歩するとは限らないのではないか?』
という大きな疑いです。

この壁画を描いたヒトと同等か、それ以上のデッサン力を持っている現代の
「アーティスト」が、果たしてどれだけいるのだろうか。
僕には、大きな疑問であり、課題です。

今は、ありのままの自然を自らの眼で観るよりも、演出されフレーミングされた
映画やテレビを、毎日あたりまえに人々が見て育つ時代ですし。

そして。
壁画が描かれた5千年後に、誰かが描写の手を加えているそうです。
3万年後の人間が、世界最古だ、大発見だ、保存しなきゃと神経をすり減らしている
事にくらべて、イイ話しだと思いました。

Shiva
コメント
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