なんとなくそんな気持ちの日々に

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「見る眼」が問われる参議院選挙

2010-05-13 00:14:59 | 国内関係
 谷亮子氏の次期参議院選挙出馬には、おどろきました。そして、当選しても選手を続けるということに、「こいつ何を考えているんだ」とあきれもしました。いきなり選挙にでるよりも、まずは選手に専念するか、さもなくばオリンピックなど国際的な大会で得た経験を後進に伝え、日本女子柔道の発展につくしたほうが、ご本人のキャリアプランにとってよかったように思うのは私だけではないと思います。

世間一般の感覚として(マスコミが勝手に作り上げたイメージというのが適切かもしれませんが)、政治家は国民から金をむしりとって、企業から賄賂をもらって、料亭で高級料理をたべながら密室でなにか決めているというイメージがあります。

このような議員はいないとはいいませんが、政治家は、朝から晩まで勉強し、会議をこなし、支持者を回り、地元からの陳情を聞き入れるなどなど、かなりいそがしいのが実情のようです。そして、こうした活動のためにはそれなりのお金が必要であるため、金策にも奔走しなければいけません。かなりいそがしい職業です。

また、立候補にあたって、意気込みらしき理想像を話すかたも少なくありません。しかし、政治家が「理想」を語るのは、ある意味では、そんなに難しいことではありません。理想は、コトバの力強さやレトリックなどでごまかすことができます。「地球を覆うほどの愛で頑張りたい」ですとか、「GNO(義理人情思いやり)」とか、まぁ、いいでしょう。しかし、理想を現実の場にうつすとなるとなかなかむつかしい。これは、社会で働いた人ならば、だれしも経験していることです。

もっというと、沖縄の米軍基地を県外に移すことは理想ですが、現実に移そうとすると、いろいろな問題が生じ(真面目に分析をしようとすると、戦後の日米関係の歴史を紐解かないといけないぐらい根深い問題があります)、鳩山総理が現在置かれている立場になるわけです。愛が地球を覆っても、押しつけの愛は反発をまねくだけです。

 今回(も)、タレントやスポーツ選手などの著名人が選挙に立候補します。選挙にでるにあたって、自分の専門を活かしつつ勉強を重ね、そして社会貢献すべく国政にうってでるというのでしたら、応援のしがいがあります。残念ながら、政党の比例選挙の集票マシーンとしてしか利用価値がない著名人候補が多いのが実情のような気がします。選挙に本当にでるつもりならば、寝る間を惜しんで、政策の勉強をし、実現可能なものにまで練り上げ、そして著名人ならではの発信力を生かして、世間に自分の政策論を問うて、その上で立候補をしてもらいたいものです。

しかし、こういう客寄せパンダ的な候補者を並べるような選挙を招いてしまったのは、日本国民の責任です。国民の候補者を見る眼が問われているのです。なんでもかんでも社会問題を政治家と官僚のせいにしてしまい、その人たちを自分たちが支えてきているということにあまりにも無自覚な人が多いような気がします。自分たちが選んだ政治家が、国会でどのようなことをして、どのような法案作りにかかわり、どれだけ日本社会のために貢献してきたかということを吟味する市民は、きわめて稀です。そして、立候補者の政策や能力を考えながら投票をするよりも、「むつかしいことは、わからないから」という安易な理由で政党や著名な候補者を選んではいないでしょうか。あるいは、投票を棄権してはいないでしょうか。

民主主義の政治体制は、一応、「国民」が主権者ですから、政治問題に対して、国民は「わからない」と言うことは許されません。すべての問題を知る必要はありませんが、だからといってすべてわからないというのも、あまり感心できません。わからなければ、自分の生活に密着した政治社会の問題だけでもいいので、勉強をすればいいだけの話です。そして、マスメディアの情報を「批判的に読む」ことが、とても重要です。そんな時間がないのはだれでも一緒です。そもそもそういう時間がとれない社会状況こそおかしいという感覚が必要なのかもしれません。

まぁ、それはともかく、今度の参議院選挙では、いったいどのような結果になるのか、そしてタレントやスポーツ選手といった著名人候補のうち、一体、何人が国会議員になるのか、注目されるところであります。


※おまけ※
ネットニュースでわかる範囲で、タレント・スポーツ選手といった著名人の立候補予定者を以下に少しまとめてみました。


民主党
谷亮子(オリンピック・柔道・金メダリスト)
長塚智広(オリンピック・自転車競技・銀メダリスト)
池谷幸雄(オリンピック・体操・銀メダリスト)
岡部まり(タレント)
桂きん枝(落語家)
庄野真代(歌手)
岡崎友紀(女優)

自民党
堀内恒夫(元プロ野球巨人軍監督)
石井浩郎(元プロ野球選手)
三原じゅん子(女優)

たちあがれ日本
中畑清(元プロ野球選手)
杉村太蔵(前衆議院議員・小泉チルドレン)

国民新党
西村修(プロレスラー)

みんなの党
真山勇一(元民放キャスター・東京都調布市市議会議員)