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エソテリズムに初めて接した、というかエソテリズムという言葉そのものを知ったのはわたしの友人によってだった。もっと正確に書くならばエソテリストであるグルジェフを通して知ったのである。件の友人から夜の十時ごろいきなり電話がかかってきて、そう、当時はまだEメールなどという便利なものはなく通信手段はたいてい電話だったのだが、彼いわく「グルジェフは良い、おまえも読んでみろ。ウスペンスキーの『奇跡を求めて』がグルジェフ関係ではもっとも良い本だ」。初めのうちは聞き流していたのだが、その後彼からかかってきた何回かの電話でも、盛んにグルジェフを引っ張り出してきて宣揚するにおよんで、わたしのほうにも対抗意欲のようなものが沸き起ってきて、神保町の書泉グランデでウスペンスキーの『奇跡を求めて』(浅井雅志訳平河出版1989.3.10第11刷)を購入した。なぜ書泉グランデかというと、この手の出版物を扱っている書店では書泉グランデがもっとも品揃え豊富だったからである。自宅にもどって早速読み始めたのだがこれがなんとも不思議な本で、というのもそのなかでグルジェフによって展開されるいろいろな概念、たとえば「リズム」「オクターブ」「センター」「インターバル」「ショック」など聞き覚えのある言葉が頻発するが、しかしグルジェフが説明するそれらの意味は判ったようで判らない。そこでことの原因でもある友人尋ねるのだが、どうしても納得できる回答を得ることができなかった。かれはウスペンスキーのこの本を英語版(In Search of the Miraculous)で読んでいたらしいので聞いてみたのだが、それにも関らずわたしの望む答えは返ってこなかった。友人自身がよく理解していなかったのか、あるいはそもそも門外漢には言語による伝達が不可能なのか、そこのところは今もって定かではない。なにしろこの友人が突然亡くなってしまったからだ。今では浩瀚なグルジェフ伝も出ているので、多少なりともグルジェフの人となりが明らかになってきてはいるが、それどもまだ秘密の部分が多い人物である。
もちろんエソテリストはグルジェフだけではない、ブラバツキー夫人もいるが恐らくわが国で最もポピュラーなエソテリストはルドルフ・シュタイナーなのではないだろうか。それではこのエソテリズムとなんだろうかと調べようとすると、これが案外と難しい。書泉グランデにしてからが空飛ぶ円盤、オーム真理教やサイババと同じコーナーにグルジェフ関係の著作が並べられているのだからお話にならない。まじめな研究を知りたければク・セジュ文庫の『エゾテリズム -西洋隠秘学の系譜-』を読むくらいしかないだろう。
もちろんエソテリストはグルジェフだけではない、ブラバツキー夫人もいるが恐らくわが国で最もポピュラーなエソテリストはルドルフ・シュタイナーなのではないだろうか。それではこのエソテリズムとなんだろうかと調べようとすると、これが案外と難しい。書泉グランデにしてからが空飛ぶ円盤、オーム真理教やサイババと同じコーナーにグルジェフ関係の著作が並べられているのだからお話にならない。まじめな研究を知りたければク・セジュ文庫の『エゾテリズム -西洋隠秘学の系譜-』を読むくらいしかないだろう。