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忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

ガチコメ的「酒の飲み方」

2008年02月24日 | 過去記事
■2008/01/27 (日) ガチコメ的「酒の飲み方」1

最近、ひとりで酒を飲まなくなったと、ふと気付く。

職場に泊まり込むことが多かった(今もままあるww)頃、深夜に安酒を煽って寝ることが習慣となっていた。こうみえても結構ため込むタイプなのだろう。ぼうっとした頭の中で、なにやらわからんもの(こと)が、ぐるぐると回転して眠れない。

それに、これは本当にやばいと感じたのだが「声がする」ような気がするのだった。それは、あきらかに「耳」で感じるものではなく、頭の中で自分自身が話しているような、自分がぶつぶつと「ひとりごと」のように呟くような感じだ。合わせて、目を閉じると連続するフラッシュのようにいろんな場面が浮かび上がり、とても寝ていられない。

なにかせねばならんような強迫観念が湧き上がる。こうしてはおれないような、このままではいけないような気がして焦りだす。しかし、いくら考えても、今、急いでせねばならんことなどない。深夜である。眠ることだけすればよいはずなのだが、とても落ち着かないのだった。そして、そんなとき―――――

ウィスキーのボトルをあける。ラッパ飲みで流し込む。

しばらくすると、頭の「フラッシュ」も「ひとりごと」も酒の力で沈静化する。ぼうっとした頭は更に呆けることになる。そして、フラフラと窓がない部屋から外に出れば、もう明け方になっている。結局眠れなかったと、ため息をつきながら熱いシャワーを浴びて着替える。コーヒーを飲みながら本か新聞を読み、時間になったら出勤する。

夕方、飯喰ったら長椅子で寝る。横になるのが幸せなのだ。15分ほど熟睡する。8時半から始まって、深夜1時過ぎまで勤務は続く。夜は酒飲んで酔って寝る。休日は月に2回。全ての管理職と社員が敬遠する「今の店」に転勤して、そんな生活が4年間続いた。

「2」へ

■2008/01/27 (日) ガチコメ的「酒の飲み方」2

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080127/crm0801271720011-n1.htm
<飲酒運転とアルコール依存症との因果関係究明へ>

家にも全く帰らなくなる。月に2回しかない休日もひとりで過ごすことが増える。金もないから、ひたすら寝る。夜になったらコンビニで餌と酒を買う。誰にも会いたくないし、誰とも話したくもない。なんでも抱え込んで生きるなどできないと思った。酒の量は増えるばかり。ウォッカをそのままボトルごといく。妻が会社の部屋を掃除に来た際も、酒瓶の転がる本数に呆れていた。「なんで、こんなにたくさん飲むの?」と聞かれた。

ある日、手紙が置いてあった。妻からだった。

「お仕事たいへんですか?とてもさみしいです。」

短い文章と共に「サル」の漫画が書いてあった。その漫画のサルは泣いていた。

私は苛立った。私がこんなに悲惨な状況であるのに「さみしい」などと自分の感情を書く妻が身勝手に思えた。子供じみた甘えだと思った。丸めて捨てた。

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<アンケートの対象は、飲酒運転による中・長期の自動車運転免許停止処分者と、あらゆる違反の免許取り消し処分者。設問は(1)自動車の運転と飲酒の頻度(2)飲酒運転をした理由(3)飲酒運転による摘発歴の有無(4)飲酒運転をなくす考え方-など計23問。>

社長が赤い顔でフラフラと戻ってきた。「胸やけが酷い」と嘔吐いている。パチンコをして立ち飲み屋を回ってきたのだという。社長室から事務所に千鳥足で来る。女性社員に説教を始めるも、話の中身が要領を得ないから女性社員は困惑した表情の後、明らかな呆れ顔に変わる。セクハラ連発の下劣な質問や、上から見下した傲慢な自慢話が終わり、世界のトヨタが誇る高級車のエンジンを爆発させながら、ご自慢の豪邸に帰ったらしい。

「酒が飲めない奴は通用しない」と下戸の社員の前で言う。
「酒も飲めない奴は成功しない」と下戸の幹部の前で言う。

私は、この人をかわいそうだと思う。哀れだと思う。

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「お仕事たいへんですか?とてもさみしいです。」

さみしいのは自分自身なのだ。

さみしかったのは私だったのだ。

「3」へ

■2008/01/27 (日) ガチコメ的「酒の飲み方」3

何度も心を折りながら、それでも「負けてたまるか」と踏ん張っていた私は、やはり、さみしかったのである。妻はそれを見抜いていたのだ。妻はわかっていたのだ。

「無理しないで」といわれれば「無理などしていない」と強がるだろう。
「たまには休んで」といわれれば「勝手を言うな」と怒鳴ったかもしれない。

「お仕事たいへんですか?とてもさみしいです。」

私は慌てて、ゴミ箱からその「宝物」を探しだし壁に貼りつけた。

相変わらずサルは泣いているが、もう、酒に逃げることもない。酒は美味しく「呑む」ものだと理解した。思い知った。悪習を断ち切った。酒が美味くなった。

この社長は100回死んでも、この「宝物」を理解できないだろう。「美味い酒」は飲んだことがないだろう。そう考えるに、これほど哀れなことがあるだろうか。これほど、かわいそうなことがあるだろうか。

金も立場も、ある日突然「己の器量以上」となったこの男は哀れである。酒は飲めても、つまりは下戸なのである。飲めていない。飲まれているだけなのだ。

「人間は完ぺきではない。飲酒運転するところが、俺のタマに傷なところや。」

この「迷言」は言い得て妙である。

いい大人が「その他は完全である」と抜かすのだ。

そらそうだろう。

だから、己だけは「事故を起こさない」などと奢り高ぶれるのだ。
だから、己だけは「酔ってなどいない」とろれつの回らないアゴで威張るのだろう。

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近く、もう一度だけ説得する。警察に相談すると言う。

それは、この男がかわいそうだからだ。

今、私の部屋に酒はない。ひとりで飲むことはまずない。不味いからだ。

だから、昨日の酒は格別に美味かった。多少飲み過ぎたが、どんまい私。

2月、もう一度、美味い酒が飲めるだろう。楽しみだ。

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「お仕事たいへんですか?とてもさみしいです。」

はいはい。今から帰りますよ。

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