とことん仕事に集中して貯金をして、後は蓄えで生活して、とことんお芝居に集中する。
あゆみは、徹底している。
それにしても暑い…。
真夏の太陽の日差しがジリジリと容赦なく肌を攻撃する。
日焼けしたくないなぁ…。
暑さから逃れるように、ジャズの流れる喫茶店に飛び込んだ。
そして、いつものケーキとアイスコーヒー。
ほどなくあゆみも暑さから逃れるように駆け込んで来た。
「あんこさん、おはようございます‼️は~❗冷房が涼しい~❗」
満面の笑みで、真向かいに座った。
そう言えば、あゆみは長袖だ。
日焼け対策も万全だ。
あゆみは、パタパタと、折り畳んだハンカチで顔を扇ぐが、じわりじわりと汗が吹き出している。
「長袖だから暑いんだよ。脱いだら?」
「うん」
…と、言いながら、ハンカチで扇ぎ続けている。
ジャズの流れる喫茶店とケーキのおかげで、あゆみともすっかり仲良くなった。
そして、次の公演の稽古がはじまった。
あゆみは、端役でもとても熱心だ。
役作りもしていて、とてもイキイキと稽古をしている。
こんなに魅力的な彼女が、端役なのがあらためて不思議だと思えた。
今度はAとも揉めることも無く、とても協力的に進んでいる。
……あれ?怪我?
あゆみの腕にアザがある。
稽古着がはだけた時に、横から肌が見えた。
アザは比較的新しい…。
どうしたんだろう…?
だから、さっき暑くても脱がなかったのか…。
長袖も、日焼けを防ぐため…と言うより、アザを隠すためなんじゃないか…と思った。
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