あの頃(新入生)18

2020-07-03 09:14:38 | 日記
とことん仕事に集中して貯金をして、後は蓄えで生活して、とことんお芝居に集中する。

あゆみは、徹底している。


それにしても暑い…。

真夏の太陽の日差しがジリジリと容赦なく肌を攻撃する。

日焼けしたくないなぁ…。

暑さから逃れるように、ジャズの流れる喫茶店に飛び込んだ。

そして、いつものケーキとアイスコーヒー。

ほどなくあゆみも暑さから逃れるように駆け込んで来た。

「あんこさん、おはようございます‼️は~❗冷房が涼しい~❗」

満面の笑みで、真向かいに座った。

そう言えば、あゆみは長袖だ。
日焼け対策も万全だ。

あゆみは、パタパタと、折り畳んだハンカチで顔を扇ぐが、じわりじわりと汗が吹き出している。

「長袖だから暑いんだよ。脱いだら?」

「うん」

…と、言いながら、ハンカチで扇ぎ続けている。

ジャズの流れる喫茶店とケーキのおかげで、あゆみともすっかり仲良くなった。


そして、次の公演の稽古がはじまった。

あゆみは、端役でもとても熱心だ。

役作りもしていて、とてもイキイキと稽古をしている。

こんなに魅力的な彼女が、端役なのがあらためて不思議だと思えた。

今度はAとも揉めることも無く、とても協力的に進んでいる。



……あれ?怪我?

あゆみの腕にアザがある。

稽古着がはだけた時に、横から肌が見えた。

アザは比較的新しい…。


どうしたんだろう…?

だから、さっき暑くても脱がなかったのか…。

長袖も、日焼けを防ぐため…と言うより、アザを隠すためなんじゃないか…と思った。

コメントを投稿