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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

国産牛ランプ肉のグリル エシャロットとディジョン産マスタードのソース

2007年09月02日 | メインディッシュ

本日は、メインディッシュの一皿をご紹介します。

国産牛ランプ肉のグリル エシャロットとディジョン産マスタードのソースです。

以前にも、国産牛のランプ肉のグリルをご紹介しましたが、今回は更に進化させた一皿を見て頂きたいと思います。

前回はグリルしたランプ肉に、赤ワインを使った定番のボルドレーズソースの組み合わせでしたが、国産牛の甘くて香りの良い脂の旨みを、より美味しく味わってもらえる様にと、同じ甘さを持ったエシャロットとマデイラ酒をベースに、シェリービネガーとディジョン産の粒入りマスタードで酸味と食感を加えたソースに変えてみました。

甘くて少し酸っぱい味わいが、日本人の大好きな美味しさです。

勿論フランスでも、牛肉のステーキやグリルにエシャロットソースの組み合わせは王道ですし、更にマスタードとお肉との相性は、間違いありません。

そして盛り付けも、前回と違う形と思いまして、2人前の塊をグリルしてから半分にカットしてみました。

ロゼ(バラ色)に焼けた断面を、目で見て味わう事が出来ますし、大きな塊で調理した方が、より柔らかくジューシーになると思います。

さて、ソースの作り方ですが、鍋にバターを熱した所に、ランプ肉の端の部分やスジを小さくカットしたものを加えて、じっくりと炒めていきます。

途中、皮付きのニンニクとエシャロットを加えて、更に香ばしく炒めます。

十分に焼き色が付きましたら、タイムとローリエ、黒胡椒を加えて軽く炒めて香りを出し、そして余分な脂を捨てた後に、ミネラルウオーターを入れてなべ底の旨みを煮溶かします。

軽く煮詰めたら、フォンドヴォー(子牛のダシ)を入れて15分程煮込んで漉します。

ここまでが、このソースのベースのベースです。

そしてここからが、ソースのベースです。

鍋にバターを熱してエシャロットの微塵切りを炒めた所に、シェリービネガーを加えて煮詰めます。

完全に煮詰まったら、マデイラ酒をたっぷりと注ぎ更に煮詰めていき、先ほどのベースのベースを加えて、ソースらしい味になるまで軽く煮詰めます。

ここまでが、ソースのベースです。

そして、ランプ肉のオーダーが入りましたら、小鍋でソースのベースを温めた所に、ディジョン産の粒入りマスタードとイタリアンパセリの微塵切りを加えてから、塩と胡椒、バターで味を調えて完成です。

ここにはこれ以上書きませんが、フォンドヴォー(仔牛のダシ)からの作業を考えると、とても沢山の食材と手間がかかっています。

このソースの味見をすると、まさに旨みの詰まった凝縮した液体と言う感じがします。

フランス料理にとって本当に大切な物とは「やはりソースなのでは」と、最近になって特に思います。

牛肉や仔羊、鶏等の肉に限らず、魚や海老、野菜等、ほとんどの食材を調理すると、必ずその骨や殻、スジ、脂、皮等の色々な部位が残ります。

では、それらの部位はどうするのでしょうか?そのままでは美味しくないので、捨ててしまうのでしょうか?

そんな部位を、ソースとして皿の上に再生出来る事こそが、フランス料理の素晴らしさであり、本質だと感じます。

美味しいソースを作る過程の中で、フランス料理の魂に触れる事が出来るように、これからも努力していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


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