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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

サーモンのマリネ ギリシャ風野菜添え

2006年09月24日 | 前菜

本日は、秋の食材を使った前菜をご紹介します。

サーモンのマリネ ギリシャ風野菜添えです。

一般的なサーモンマリネは、マリネして皮をひいたサーモンを、薄くスライスして盛り付けますが、グリンツィングでは、皮をかりっと焼いて冷ました後に、分厚くカットしています。

脂が乗りしっとりとした身と、香ばしい皮の食感と香りが、食欲をそそり、良質の食材をストレートに味わって頂けると思います。

今回は、ノルウェー産のキングサーモンを使いました。

通常のサーモンより大きく、脂ののりも素晴らしい食材です。

少々こってりとしていますが、付け合わせのギリシャ風野菜のマリネと一緒に食べていただくと、バランスが良いと思います。他に、アネットの香りを付けたサワークリームとニンニク風味のクルトンを添えていますので、色々な食べ方で楽しんでいただけます。

とてもシンプルで単純な一皿ですが、食べて本当に美味しいと思います。

お客様の求めている美味しさとは、このように気取りの無い物なのかもしれません。

料理人の自己満足では無く、沢山の人に理解していただける料理を作っていきたいと思います。

 

 


フォワグラのガトー仕立て ポルト酒風味

2006年09月04日 | 前菜

本日は、あるお客様の為に特別に作りました前菜をご紹介します。

フォワグラのガトー仕立て ポルト酒風味です。

通常の営業でお出ししている鴨フォワグラのテリーヌとは、少し違った仕立て方にしています。

フォワグラをシンプルに味わうテリーヌとは違い、ペースト状にしたレーズンやイチジクと胡桃などの木の実をフォワグラで挟み、上にはポルト酒とコンソメで作った、旨みたっぷりのゼリーをかけた濃厚な一皿です。

付け合わせは、こんがりとトーストしたブリオッシュと、口休めのサラダを添えています。そして、仕上げにマニゲットと言う柑橘系の香りのするスパイスをお皿に挽いています。

実は、この料理は自分のオリジナルでは無く、20代前半の頃にお世話になったホテルで、教えていただいた物です。

今回久しぶりに作りましたが、あらためて美味しい料理だと思いました。

シンプルなフォワグラ料理も美味しいですが、この様に手が込んでいて、色々な食材の調和した贅沢さは、まさにフランス料理の王道的な美味しさを感じます。

今はまだ経験が少ない分、何かとシンプルに仕立てる事が多いのですが、幾つかの要素を組み合わせ、良質な食材に手を加えたうえで、さらに美味しくする事はとても難しいのです。

いろいろな素晴らしい料理を教えていただいて、本当に感謝しています。

そのシェフには、技術も経験もまだまだ及びませんが、努力する事によって少しでも近づけるように頑張りたいと思っています。

それが、今の自分に出来る恩返しかもしれません。

 


大羽鰯のマリネ ガスパチョスープ添え

2006年08月23日 | 前菜

本日は、以前に書きました鰯のマリネ ガスパチョ仕立てのアレンジした形をご紹介します。

大羽鰯のマリネ ガスパチョスープ添えです。

お皿を構成する食材はほとんど同じですが、スープ仕立てでは無くて、スープを別添えにしています。別々に食べて頂いても良いですし、ソースとしてかけても美味しいです。

以前のスープ仕立てですと、最初から最後まで同じ味わいですが、今回はお客様の好みで色々な食べ方が出来ると思います。

料理にも、楽しいと思える要素が有ると喜んで頂けますし、食事中の会話もはずみます。

勿論、味が良い事が一番大切ですが、それ以外の感覚(プレゼンテーションや食べ方)でも味わって頂けると、より美味しく感じることが出来ると思います。

どんな一皿でも、これで完成と言う事は有りません。

自分の料理感(価値観)と共に進化させていきたいと思っています。


グージェール

2006年08月10日 | 前菜

本日は、定番のアミューズ(食前酒と共にお出しする おつまみ)をご紹介します。

グージェールです。

グージェールとは、フランス ブルゴーニュ地方の郷土料理で、ワインのテイスティングの時などによく食べられている、チーズ風味の小さなシュー(シュークリームの皮の部分)です。

グリンツィングでは食前酒に、シャンパーニュやスパークリングワインをお出ししていますので、コースメニューとは別になりますが、アミューズとしてお勧めしています。

熱々で周りはカリッと、中はふんわりしていて、よく冷えたシャンパーニュと食べると、とても美味しいです。

作り方ですが、バターと水、塩を鍋に入れて火にかけ、沸いたら火から外して薄力粉を加えます。再び火にかけながら、まとまるまでかき混ぜます。
火から外してボールに移し変えて、よくかき混ぜながら全卵を加えていきます。最後に細かくカットしたグリュイエールチーズを合わせます。
硬さを確認してから、天板に絞り袋で絞ります。生地の上に卵黄を刷毛で塗って、200度のオーブンに20分程入れて焼き上げます。

 

ポイントですが、全卵を加える時に木べラを使って、空気を入れるように力強くかき混ぜる事と、生地が冷めないうちに焼いてしまう事、あまり生地を軟らかくしすぎない事です。そうするとシュー(フランス語でキャベツ)の様に綺麗に膨らみます。

見た目にも素朴な料理ですが、手で摘むと温かさが伝わってきて、食べるとグリュイエールチーズの穏やかな香りが口の中にひろがり、とても幸せな気持ちになります。

華やかで高級な、特別な物でなくても、作る人の気持ちと本当の美味しさがあれば、きっと喜んで頂けると信じています。

 

 


白レバーのガトー仕立て ポルト酒ソース

2006年08月08日 | 前菜

本日は、グリンツィングの定番オードブルをご紹介します。

白レバーのガトー仕立て ポルト酒ソースです。

オープン以来人気の前菜でした白レバーのムース アルマニャック風味を、より食べやすい形に1年半前にアレンジして以来、このスタイルでお出ししています。

お客様にもとても好評で、毎回注文される方も沢山おられます。

作り方ですが、地鶏の白レバーの筋を取り、バターと温めた生クリーム、全卵、アルマニャック、塩、スパイスをミキサーで回します。一度漉してプリン型に流して、130度のオーブンに湯煎にして入れます。25分位で火が入りますので、取り出して冷まし冷蔵庫に一晩入れて固めます。
しっかりと火を通したほうが,生臭くなくて良いです。

ソースは、グラニュー糖を軽く焦がして、赤ポルト酒を加え3分の1位になるまで煮詰めます。濃度を確認したら塩で味を調えて冷やし、完成です。

付け合せは、サラダとバゲットを薄くスライスして焼いたクルトンを添えています。

見た目にはプリンみたいですが、味の方はとても濃厚で甘いポルト酒との組み合わせは、フランス料理ならではの味わいで、自然とワインが欲しくなります。

正直にお話すると、他の前菜に比べるとあまり原価がかかっていません。しかし、その分の手間とテクニックが詰まっています。

高い値段の食材ばかりを使って作る料理より、手ごろな値段ですが良質な食材を使い、本当に美味しい料理に出来る事に、フランス料理の素晴らしさや本質が有るように思います。

そう言う意味からも、自信を持ってお勧め出来る一皿です。