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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

牡蠣のゼリー寄せ シャンパーニュ風味

2006年11月26日 | 前菜

本日は、お客様に人気の前菜をご紹介します。

牡蠣のゼリー寄せ シャンパーニュ風味です。

毎年グリンツィングでは、寒い時期になりますとこの一皿をメニューに載せています。

本来は生牡蠣としてお出ししたい気持ちもあるのですが、せっかくレストランに来ていただいているので、家では出来ない食べ方で味わってもらいたいと思っています。

実際に食べていただくと、限りなく生牡蠣に近い味わいに、皆さんが喜ばれます。

作り方は、新鮮な殻付きの牡蠣を開け、熱湯にサッと通してから冷やして置きます。

牡蠣のクリームは、他の牡蠣を牛乳で火を通してゼラチンを加え、ミキサーにかけてから漉して冷やします。そこに6分に立てた生クリームを合わせて、塩とタバスコで味を調えて冷蔵庫で冷し固めます。

そしてゼリーは、ミネラルウオーターにシャンパーニュを合わせて火にかけて沸かし、塩で味を付けてからゼラチンを加えて冷し固めます。

人参、小玉葱、セロリを小さくカットして湯がきます。

仕上げに、岩塩を敷いたお皿に牡蠣の殻を置き牡蠣のクリームを流してから牡蠣をのせます。湯がいた野菜をのせて上からシャンパーニュ風味のゼリーをかけて完成です。

牡蠣を湯がいていますので、生では有りませんが、火を通す事で風味も穏やかになって食べやすくなりますし、牡蠣の味わいも生より濃くなる様に感じます。

下に敷いてあるクリームも牡蠣の風味がいっぱいで、一緒に食べていただくとより濃厚な味わいになります。牡蠣とクリームの相性は本当に良いと実感できました。

上にかけるゼリーは、牡蠣をシャンパーニュと共に楽しんでいるイメージと牡蠣自体の海水を合わせた感じで仕上げています。

この一皿を食べたあるお客様は、海の中を観ている様でとても幻想的ですね。と言われ喜ばれていました。

そんな風に自分の料理を食べていただきとても嬉しかったです。料理は味が美味しい事が大事ですが、他にも感性として味わっていただく事が出来たら、もっと素晴らしいと思います。

 

 

 

 


フォワグラとイチジクのテリーヌ

2006年11月19日 | 前菜

本日は、高級食材のフォワグラを使った一皿をご紹介します。

フォワグラとイチジクのテリーヌです。

グリンツィングでは前菜の一皿として、冷製のフォワグラのテリーヌを年間を通してお出ししています。

それぞれの季節によって、付け合せや仕立て方は変わりますが、その贅沢な味わいはワインの友として欠かせません。

今回11月からのメニューでは、白ポルト酒でマリネしたドライイチジクを同じく白ポルト酒とコニャックでマリネした鴨のフォワグラと一緒に、湯煎焼きにして冷やし固めたテリーヌを作っています。

今までにも色々なフルーツを合わせてみましたが、今回のイチジクは絶対の相性の良さを感じさせる自信作です。

そこで盛り付けも、他の飾りや付け合わせを排除して、それのみを味わっていただく形にしてみました。

飾り気も無く、さびしく感じる方もおられるかもしれませんが、個人的には滑らかなフォワグラとイチジクのモダンな断面を見てもらえれば、見た目にも十分に味わっていただける形になったと思っています。

シンプルな表現は決して簡単な事では無いと思います。丁寧な仕込みと良質な食材、計算された料理人の経験と感性が有って、初めて成り立つ物ではと最近になって感じます。

まだまだ完璧には程遠いですが、少しずつでも理想の形に近づきたいと思っています。


秋鯖のマリネ ムスカデ風味

2006年10月19日 | 前菜

本日は、日本のフランス料理ではめずらしい食材を使った前菜を、ご紹介します。

秋鯖のマリネ ムスカデ風味です。

日本では鯖と言いますと、お寿司屋さんで食べるしめ鯖や、定食屋さんの味噌煮などのイメージが有り、フランス料理とは結びつき難い食材ですが、フランスではビストロや家庭料理の定番として良く使われています。

そこで今回は、フランス料理の中でも最もポピュラーな鯖料理の白ワイン風味のマリネに仕立ててみました。

残念ながらこの料理を、現地では食べることが出来ませんでしたが、フランスで購入した料理書などを調べて、日本人の方にも喜んでいただける形に考えてみました。

新鮮な鯖とムスカデ(ロワール地方の白ワイン)の酸味の相性がしめ鯖に近くて、とても馴染み易い味になりました。

鯖自体も日によって、関鯖や松葉産の上等な物を選んでいます。一般的に安いイメージが有りますが、1匹¥3、000以上の鯖も有りますので、立派な高級魚です。

そのくらいの物になると、味に癖も無く、食感も素晴らしくて、流石と言うような感じです。

さて作り方は、鯖を3枚に下ろして、あら塩をまぶします。30分位したら水で洗い落としておき、人参、オニオン、セロリにムスカデ(白ワイン)、水、白ワイン酢、レモンスライス、ブーケガルニ、スパイスを20分程煮出した物にゼラチンを加えて、熱くした状態で鯖の上からかけます。

そのまま常温で冷まし、冷蔵庫に入れてマリネします。オーダーが入りましたら、鯖をカットして盛り付け、野菜と煮汁のゼリーをかけてから、良質なオリーブオイルとエストラゴン、白コショウを添えて完成です。

作ってから一晩経った次の日が、味も馴染み美味しいと思います。

今日、あるお客様から、鯖のマリネが美味しかったと言っていただき、とても感激されていました。

見た目にも地味で、鯖と言う庶民的な食材を使ったこの一皿で、お客様に感動を与えることが出来た事が、料理人として何よりも嬉しかったです。

 

 

 

 

 

 


茸のスープ カプチーノ仕立て

2006年10月16日 | 前菜

本日は、秋を感じさせる前菜をご紹介します。

茸のスープ カプチーノ仕立てです。

秋の食材と言えば、真っ先にキノコが上がります。

個人的にも大好きで、メインデッシュの付け合せなどに、よく使います。

バターやオリーブオイルなどでソテーしたり、ソースに入れたり、クリームなどで煮込んだりと、色んな美味しさを楽しめるとても素晴らしい食材です。

そこで今回は、茸を主役にしたスープ仕立ての一皿にしてみました。

メニュー名はスープ仕立てですが、具にもたっぷりの茸のソテーを添えていますので、ボリュームもたっぷりです。茸のフリッカッセ(クリーム煮)にも近い感じです。

作り方は、マッシュルームと少しのニンニクをバターで炒めたところに、鶏のブイヨン、ブーケガルニを加えて、ゆっくりと煮込みます。その後に、ミキサーにかけます。そして、生クリーム、牛乳を加えてから、塩で味を調えます。

具の茸は、大振りにカットした物をオリーブオイルでソテーします。塩で味を整えたら、イタリアンパセリのみじん切りを仕上げに加えます。

お皿に具の茸を盛りつけたら、スープをハンドミキサーにかけて泡立てた物を注いで完成です。

グリンツィングでは、国産の平茸、ジャンボナメコ、椎茸などの他にも、フランス産のジロール茸やセップ茸などの高価な茸も使っています。食材自慢ではありませんが、お皿の中にフランスの食材が入ると、とてもワインに合いそうな雰囲気が出るのです。

今回の一皿のもとになった、Bouillon de champignons, comme un capuccino. (キノコのブイヨン カプチーノ仕立て)は、フランスのレストランアランシャペルのスペシャリテです。

フランス修行中に働かせていただき、とても影響を受けたレストランであり、一皿です。

オリジナルは、タスカップに盛り付け、具にもエクルビス(ザリガニ)やセルフィーユが入りますし、作り方も若干違います。

グリンツィングでは、お店に合った形にアレンジしていますが、気持ちはフランスにいた時と変わりません。

今は日本にいますが、茸のスープをハンドミキサーにかけると、フランスにいた時と同じ優しい香りがします。

 

 

 


鴨フォワグラのポワレ イチジク添え

2006年09月27日 | 前菜

本日は、お客様に喜ばれている前菜の一皿をご紹介します。

鴨フォワグラのポワレ イチジク添えです。

以前にフォワグラのテリーヌをご紹介しましたが、今回はフライパンで、こんがりと焼いています。

フォワグラを焼くと、お店中に香ばしく美味しそうな香りが広がります。テリーヌの濃厚で贅沢な味も喜ばれますが、ポワレやソテーした物の方が、わかりやすい味で人気が有ります。

フォワグラにも鴨とガチョウがありますが、鴨の方が焼いた時により香ばしくて好みです。
何となくですが、鴨が餌として食べているトウモロコシの様な香りがします。

付け合わせとソースは、バニュルスワインでコンポートにしたイチジクと、その煮汁を温めて添えています。

フォワグラの付け合わせとして、フルーツをよく使います。

季節ごとに変わっていきますが、ブドウ、桃、洋梨、林檎などいくつか有りますが、少し変わった物ではフランボワーズやカシスなども合わせたりします。甘酸っぱくてなかなか美味しい組み合わせです。

フランス料理には、フォワグラにフルーツなどの定番的な組み合わせが沢山ありますが、それぞれの料理人によって解釈の違いや好みがあります。

昔から美味しいとされる組み合わせの本質を考えながら、少しでも自分らしい一皿に出来たら、と思っています。