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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

豚肉の田舎風パテ 

2006年08月02日 | 前菜

本日は、東京グリンツィング 定番の前菜をご紹介します。

豚肉の田舎風パテです。

フランス、日本共に、ビストロのメニューには必ず有ると言っていいほど、いろんなお店で作られています。

もともとは、保存するための料理ですが、お肉の練りこまれた旨みや脂の部分の濃厚さが、ワインにピッタリと言う事で、1年を通して沢山のお客様に喜ばれています。

特別な物では有りませんが、フランスに昔から有る変わらない良さ、見たいな物を感じます。オーダーされるお客様を見ても、フランス料理を食べなれていて、ワインと共に、本当に食事を楽しもうとされる方が多いように思います。

 

さて、作り方ですが、東京X豚の肩ロース肉とノド肉を塩、セルローズ、スパイス、コニャックで一晩マリネします。
翌日にフードプロセッサーで3分の1を細かく、3分の1を粗めに、残りは塊のままよく混ぜ合わせます。
鶏のレバーと全卵、生クリームをミキサーで回して、甘く炒めた玉葱、緑コショウと一緒に
豚肉に合わせて良く練ります。
網脂を敷いたテリーヌ型に空気を抜きながら詰めて、タイムとローリエを乗せて蓋をし、120度のオーブンに、湯煎にかけて入れます。
大体、2時間位かけてじっくり火を通します。
途中、蓋をとって上の部分を軽く焼き、金串を刺して熱くなっていればOKです。(グリンツィングでは、お肉に差し込める温度計を使っていて、65度になったらオーブンから出しています。)
常温で冷まし、軽く重石を乗せて冷蔵庫で一晩冷やし固めます。
何日か経って味が馴染んだ時が食べ頃です。

ポイントは、豚肉の挽き方を3種類にしている事と、低温のオーブンで長い時間をかけて火を通す所です。あと、豚肉を混ぜる時に冷やしながら作業する事です。
そうすると食感が良くて、しっとりとした美味しいパテになります。

付け合わせは、サラダと自家製ピクルス、フランスのディジョン産のマスタードの基本に忠実な組み合わせです。

こういったオーソドックスな物ほど、料理人によって違いが出ます。その人の仕事への姿勢が形になるようで、怖いです。

明日もまた、少しでも美味しく出来るように努力していきたいと思います。


スズキのマリネ サラダ仕立て

2006年07月23日 | 前菜

本日は、お客様からお任せいただいた時に作った前菜を、ご紹介します。

夏のこれからが旬のスズキのマリネ サラダ仕立てです。 

今回は、上質のスズキが手に入りましたので、シンプルに味わって頂きたくて考えました。

内容は、オーソドックスなサラダ仕立てのスタイルです。

以前は、このような仕立て方の一皿は、よく見かけますし、面白みに欠けているようで敬遠していました。しかし最近になって、鮮度が良くて上質な日本のお魚は、生で食べてこそ美味しいのではないかと、考えが変わってきました。

フランスのお魚と日本のお魚では、身質や味も違いますので、その国で取れる食材に合わせて調理法を変える事は、大切だと思います。

ですが、あくまでもフランス料理ですので、和風のお刺身サラダにはしたくありません。ただ切っただけのお魚にドレッシングを添えたものではなくて、粗塩と香草、良質のオリーブオイルでマリネして、お魚の旨みをしっかりと引き出す事が、この料理のフランス料理たる所です。

一緒に食べて頂くサラダも、8種類の葉野菜と6種類の香草を合わせて、色々な味や香りが複雑に絡み、よりお魚の味を印象的に感じさせます。

かけているソースは、トマトや黒オリーブ ケッパー レモン オリーブオイルを使い南フランスを意識しています。

自分の作る料理は、シンプルな物が多く、見た目は単純に見えますが、中身はしっかりとしたフランス料理で有りたいと思っています。

 


鴨フォワグラのテリーヌ アルマニャック風味 ブリオッシュ添え

2006年07月20日 | 前菜

本日は、人気の前菜をご紹介します。

フランス産のフォワグラの輸入が再開されて、定番の前菜として戻ってきました鴨フォワグラのテリーヌ アルマニャック風味です。

グリンツィングでは、通常4200円のプリフィクススタイル(5種類の前菜 5種類のメインデッシュと、4種類のデザートからそれぞれ一品ずつ選んでいただく)ですが、フォワグラの前菜は、高級食材で仕入れの問題もありましてプラス1050円頂いています。一時期、プラス料金を頂く事に迷いも有り、フォワグラ料理をメニューから外した事もありましたが、例えると鮪の無いお鮨屋さんのようで、どうもフランス料理のレストランらしく無く、また、お客様の中にも、毎回フォワグラを注文され楽しみにされている方もおられましたので、やっぱり必要なのだと考えを改めました。

さて、仕立て方ですが、勿論ソテーやポワレした物も美味しいですし、ワインとの相性も良いのですが、あえて濃厚なテリーヌに仕立てて、良質のワインと共にじっくりと味わって頂きたいと思います。

そのテリーヌにも色々なスタイルが有りますが。グリンツィングは、クラシック(古典的)です。上質なアルマニャックで香りを付けて、ブリオッシュと言うバターの風味豊かなパンのトーストを添えています。

最近の料理の傾向として、軽くナチュラルな物が人気です。個人的にも、良質の食材をシンプルに味わいたい気持ちも有りますが反面、クラシックでしっかりした味わいの中にも、真実の美味しさを感じます。

以前にオーナーが、フランスのボルドーで生活していた頃に食べた、フォワグラとブリオッシュの料理とソーテルヌ(甘口の高級ワイン)との組み合わせが、忘れられないと言われてましたが、美味しい料理は、記憶に残るのでしょう。

その様な話を聞きながら毎日、本当に美味しいとは何だろうと考えています。しかし結局は、頭で考えるのでは無くて一つ一つ身をもって経験して行くしかないのかも知れません。


鮪のグリル 南仏風

2006年07月19日 | 前菜

本日は、夏の南フランスをイメージした前菜をご紹介します。

鮪のグリル 南仏風です。

鮪は、軟らかく脂の程よく乗った、メバチマグロを使っています。お刺身やカルパッチョで食べても美味しいのですが、今回は、あえて一手間かけてみました。中まで火を入れずに表面だけ、サッとグリルしています。ほの温かくて、香ばしい香りが、食欲をそそります。

ソースは、黒オリーブやアンチョビ ツナ ケッパーなどを合わせた、タップナードソースです。付け合わせには、夏野菜の茄子やズッキーニ ピーマン トマトを軽く煮込んだラタトゥイユと、野生のロケット菜(セルバチコ)バジル風味のオリーブオリーブを添えています。

鮪にタップナードとバジルの香り、そしてラタトゥイユは、まさに南仏の定番の組み合わせです。

フランス修行中に、映画祭で有名なカンヌのホテルで働きましたが、そこでの素材の良さと、ストレートな調理法にカルチャーショックを受けました。本当にシンプルなサラダや、ただグリルした海老、香草と一緒に丸ごとローストした魚が、こんなにも美味しくて素晴らしい料理になることに、感動したのです。

少しでもそんな料理に近づけるように今日も、南フランスでの仕事を思い出しながら作っています。 


大羽鰯のマリネ ガスパチョ仕立て

2006年07月15日 | 前菜

毎日、暑い日が続きますが本日は、そんな時にピッタリな夏の前菜をご紹介します。

大羽鰯をマリネして、ガスパチョ仕立てにしました。

大羽鰯はこの時期、大振りで脂が乗っています。そんな鰯を、粗塩と白ワイン酢そして,オリーブオイルでマリネすると、酸味が心地よくとても美味しいのです。イメージ的には、お鮨屋さんで食べる、しめ鯖のようですが、鯖は今、旬では無いので鰯を使っています。

食欲の落ちる暑い日には、スープ仕立てが喜ばれますので、完熟トマトを使って、サッパリとした冷たいスープの一皿として考えました。スープと鰯だけでは物足りないので、スパイスの香るクスクスのスムール(ひき割り小麦)と爽やかなハーブサラダを添えています。

色合い的にも夏を意識しましたので、この時期いかがでしょうか。

南仏のレストランのテラスで太陽の下、こんな一皿を食べたいと思いながら作っています。