本日は、自慢の前菜の一皿をご紹介します。
キングサーモンの瞬間燻製 季節野菜のマリネ添えです。
たっぷりと脂ののったノルウェー産キングサーモンに、桜のチップとザラメ砂糖を使い自家製の燻製にしています。
通常のスモークサーモンは低温でじっくりと時間をかけて作りますが、グリンツィングでは高温でごく短時間で香りを付けています。
低温での物に比べ、サーモンの身はほとんど生ですので、マリネに近いフレッシュな味わいになります。
燻製の香りもしっかりと付きますので、ワインとの組み合わせでも色々と楽しんでいただけると思います。
付け合わせには、数日経って味の馴染んだ季節野菜のギリシャ風マリネを添えています。
脂のコクと個性的な香りのサーモンに、穏やかで滋味深い味わいの野菜のマリネは、それぞれを支え合うとても良い組み合わせだと思います。
ソースは、サワークリームにアネットとレモンの酸味を加えた定番です。
クリームのコクと酸味が、サーモンを更に引き立ててくれます。
自分としては、沢山の方に安心して食べていただける料理だと思っています。
話は少し変わりますが、最近とても大切な事に気が付きました。
きっかけは、一緒に働いているスタッフとの会話の中での、ほんの些細な一言でした。
「普段のありのままの自分を見てほしい。」
その時には、そこまで意味のある言葉だとは思いませんでした。
しかしここ最近、知人のお客様や特別な方の為に料理を作る機会が続き、その方の為に何か特別な物をと意気込むあまりに、自分自身の料理が見えなくなり、何が良いのか分からなくなる状態でした。
結果として出来た料理も、作った本人が見ても自分らしさなど何もない、恥ずかしい物でした。
今思うと、今までもいつもそうでした。
料理の取材があった時、大切な人が来てくれた時、いつも普段はしていない事をして自分を特別に見せかけたり、飾ってきた様に思います。
そして、いつも結果は苦い物でした。
その時の料理は、本当に中身の無い薄っぺらい料理だったと思います。
今回、あるお客様に料理をお出しした時も同じでした。
自分自身が本当に情けなかったです。
そんな時、先ほど書いた一言の本当の意味が分かりました。
普段の仕事や料理の大切さや、人としての姿勢を。
毎日作っている沢山の自分の料理を、自分自身がどうして信じてあげられなかったのでしょう。
長い時間をかけて考え、試行錯誤してきた普段の料理をどうして隠そうとしたのでしょう。
恥ずかしいです。
これからは今までの自分とその料理を信じて、そして毎日の普段のありのままの姿こそが特別になる様に、少しずつ努力していきたいと思っています。
余計な話が長くなりましたが、今回ご紹介しました料理は、そんな気持ちの詰まった一皿なのです。