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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

豚肉のパン粉焼き

2006年08月25日 | 賄い料理

本日は、以前に賄いで作って好評だった料理をご紹介します。

豚肉のパン粉焼きです。

料理名は単純ですが、豚肉の色々な部位が入っている贅沢な一皿です。

作り方は、マッシュポテトを下に敷き、その上に別々にローストした豚のばら肉、ロース肉、豚足、ソーセージを乗せます。パン粉をまんべんなく振りかけ、ローリエ、タイムを乗せて、オーブンで綺麗な焼き色が付くまでじっくり焼きます。

仕立て方で言いますとグラタン仕立てですが、ソース等で煮込んだグラタンとは違い、ローストに近いかもしれません。

賄い料理にグラタン仕立てをよく作ります。焼きたての熱々が出せて、味も美味しい事もその理由ですが、何よりも営業で使いきれなかった食材を無駄なく使いきれる点で重宝しています。その時に有る物で自分でも想像していなっかた様なグラタンが出来たりします。

今回も豚肉のローストと前菜用の豚足とソーセージ、メインデッシュの付け合わせ用のマッシュポテトが残ってしまったので、何となく合わせてみたのですが、思っていた以上に美味しかったです。

ごく稀に偶然から生まれる一皿が有ります。毎日どうしよう、どうしようと、新しいメニューに頭を悩ませる中で、この様な偶然がある事も料理の面白さではないのでしょうか。


鶏腿肉のロースト ジャガ芋のブーランジェール添え

2006年08月20日 | 賄い料理

本日は、とても美味しかった賄い料理をご紹介します。

鶏腿肉のロースト ジャガ芋のブーランジェール添えです。

いかにもフランスの家庭料理らしい一皿で、素朴な美味しさと温かさが見ているだけで伝わってきます。

ブーランジェールとは、パン屋風と言う意味です。パンを焼き終わった窯(オーブン)で作った事からきています。

作り方ですが、塩、コショウした鶏腿肉にフライパンで焼き色を付けます。甘く炒めた玉葱と大振りにカットしたジャガ芋を鶏のブイヨンと一緒に、オーブンを使ってじっくり火を通します。
ある程度したら、ジャガ芋の上に鶏腿肉を乗せてこんがりとローストして完成です。

ソースは必要なく、ブイヨンの染み込んだジャガ芋が十分に鶏腿肉を引き立ててくれて、イメージ的にはフランス版の肉じゃがの様な味がします。

話は変わりますが、先日、夏休みを頂いて新潟の実家に帰りました。久しぶりに食べた母親の料理は本当に美味しかったです。勿論、生まれた時からの食べなれた味では有りますが、決して特別な物や豪華な食材では無くて、いたって質素な食事です。

レストランで料理を作ったり、メニューを考えていると、ついつい余計な事を考えて、本当に自分でも美味しいと思っているのかわからない様な一皿になってしまう時が有ります。自分の中では良く考えたつもりでも、何か空回りしている気がします。

そんな時に母親の手料理や、こういった賄い料理(フランスのお袋の味)を食べると、料理の有るべき姿が見えてきます。

まだまだ、本当の美味しさが何なのかはわかりませんが、このような一皿の中に、ヒントが隠れている様な気がします。

 


雛鳥のロースト

2006年07月22日 | 賄い料理

本日は、オーナーの大好きな賄い料理をご紹介します。

フランスの家庭料理の大定番、プーレロティ(雛鳥のロースト)です。

今までは、頑張って働いているスタッフと、お世話になっているオーナーのために、クリスマスの日に作っていたのですが、先日、68歳になられたオーナーの誕生日にも特別に作りました。

その甲斐も有って、大変喜んで頂く事が出来ました。勿論、お昼からお祝いのワイン付きです。

とても美味しいコルシカ島の赤ワインを頂きました。

作り方ですがプーレロティにも、最初にフライパンで焼き色を付けてオーブンで火を通すなどの色々な焼き方が有りますが、自分のやり方はとてもシンプルです。紐で縛った雛鳥によく塩をして周りにサラダ油を塗り、高温のオーブンに入れます。綺麗な焼き色が付いて、串を刺して熱くなっていれば火が入っているので、オーブンから出して休ませておきます。これで完成です。後は、お好みの付け合わせと、焼き汁やマスタードを添えています。

お店では、毎日バゲット(フランスパン)を焼いているのですが、ある日、プーレロティも、同じ用に高温のオーブンであまり触らずに焼いたら、周りはカリッと中はしっとりとなるのでは、と気が付きました。とてもフランス的な調理法だと思います。

この一皿も、先日ご紹介したクスクスのように、普段の営業では作っていなくて、賄いの時にだけ作っています。

一羽を丸ごとローストするので、時間がかかる事も有りますし、鶏肉料理と言うと、なかなかオーダーして頂けない事や、一人前の量も多くなってしまうので、今はまだ難しいのです。

本当に美味しい料理ですので、今後、お客様にも自信を持ってお勧め出来る様な一皿に、していきたいと思っています。


クスクス

2006年07月12日 | 賄い料理

本日は、レストランでの賄い料理をご紹介します。

毎日では無いのですが、一ヶ月に何回かフランス料理を賄いで作ります。オーナーの考えでフランス料理はワインと共に、と言う事で、お昼からお酒付です。

数日前、暑い日に食べたい料理は何か?と、オーナーと話していた所、クスクスが食べたいと言う事になり、今回はクスクスを作りました。

正式には、クスクスはフランス料理では無く北アフリカの料理ですが、フランスでも,とてもポピュラーな一皿として食べられています。自分もフランス修行時代、大好きで良く食べましたし、オーナーもヨーロッパでの生活が長かったので、昔を思い出されていました。

作り方は、仔羊の肩肉と玉葱を炒めて、白ワインと水を加えます。塩 トマトペースト、スパイス(クミン コリアンダー パプリカ シナモン など)を入れて煮込み、ある程度したら、人参 ピーマン 茄子 ズッキーニなどの野菜を加えていき、更に煮込みます。肉と野菜が軟らかくなったら、塩 スパイスで味を整えます。蒸したスムール(ひき割り小麦)とメルゲーズ(羊のソーセージ) アリサ(トウガラシなどのペースト) レーズンを添えて完成です。  

普段の営業では、なかなかメニューに載せ難い一皿ですが、こうして賄いで食べると気取っていなくて、しみじみ美味しいなぁ と思います。

このように、賄いでフランス料理を作る事には、営業で作る料理からだけでは解らない大切な事を学べる気がします。