ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

あらためて幼児教育の大切さを考えてみます。

2013-10-01 11:52:33 | Weblog
幼稚園はどうして遊んでばかりなの?
 今日は、幼児教育の役割について、あらためて考えてみたいと思います。
 どこの幼稚園でも基本的には同じですが、幼児教育の世界では、以下のようなことを育てたいということで日々教育活動に取り組んでいます。
 ①母親から離れても情緒が安定し自己を発揮できる力
 ②自分のやりたいこと、やるべきことを自分で見つける力
 ③自分で考えて行動する力
 ④友達の気持ちや立場を理解し関係を作る力
 実際には他にもたくさんあるわけですが、主なものだけをあげてみました。では、現場ではどのようにしてそれらの力を育てているでしょうか。
 ①では、母子の分離場面が無理なく行われるように、子どもの気持ちを受けとめ、時間をかけて保育者との間に良好な関係を作ります。②自由に遊び、探索できる環境を発達状況に合わせて作り、援助します。③遊び方が決まっていない遊具や素材を発達に応じて用意し、結果が出るまで見守り援助します。④多人数で取り組む遊びの環境を用意し、けんかやトラブルの場面で友達の気持ちや考えに気づくように促し、友達関係が充実していくように促します。

幼児教育は人生の基礎工事
 これらのことは、子どもたちの誰もが将来生きていく上で大切な事柄ばかりです。つまり、幼稚園というところは、人生の基礎工事をするところなのだということです。どんな建物を建てるにも、基礎工事が最も大切です。それは人生においても同じです。
 建築の基礎工事は、コンクリート厚をどれぐらいにするかとか、鉄筋の張り方と本数、コンクリートを流す回数と手順など、地味で誰も知らないところで知識や技術を磨き、仕事に取り組んでいます。そして、基礎が最も大事で費用もかかります。
 基礎がなければ工期も短く費用も安くなります。しかし後々大変なことになります。
 教育においても同じです。人生の基礎工事においても、それを行うための知識や技術があり、その基本的な部分は大学で学びます。教員たちは日々それを磨き、地味で目立たない作業を積み上げています。基礎よりも、英語や逆立ちや勉強や習い事的な活動など、結果が目立つことがらに力を入れることもできます。しかし、それでは基礎工事がおろそかになってしまいます。

基礎がおろそかにされていませんか?
 最近、児童・生徒や若者たちの姿を見ていると、幼稚園で育っているべき人生の基礎の部分が育っていないと感じることがよくあります。
 例えば、ネットやSNSに精神的に依存し、勉強が手につかなくなっている生徒。成績は良いのに、自分で考えて行動することができず、指示待ちになってしまう新人社員。言われた仕事はきちんとこなせるが、企画書を作らせるとさっぱりできない人。自分の専門分野については人並み以上の知識と技術を持っているのに、人の気持ちや立場を考えることができない人。
 みんな幼稚園で育つべきものが育たずに来てしまった例です。このような力は、小学校以上では育てるための科目もプログラムもありません。そして、その力が育っていないのは、その人自身の問題と思われてしまっています。しかし、そうではありません。その人が出た幼稚園の問題です。
 母親に依存した乳児期からの第一歩がしっかりしたものであれば、情緒はいつでも安定し、ネットもSNSも依存することはなく便利に使うだけです。自分で考えて行動する力が育っていれば、指示待ちにはなりません。自分がやりたいことややるべきことを自分で見つける力が育っていれば、企画書は次々出てきます。人の気持ちや立場を考える力が育っていれば、知識や技術はもっと活かされるはずです。
 基礎工事をおろそかにすると、どんなに成績が良くても、それをその人の人生に活かすことはできなくなります。

その子らしさが活かされる生き方
 人は誰でも、神さまから与えられた性格や能力があり、それを活かして生きていくことが、その人らしさが最も発揮され、周りの人々にも喜ばれることにつながります。そして、幼稚園では、それらがしっかりと伸びていくための基礎の部分を作る役割を担っています。
 世間には、その人にはない能力を小さいころから身につけさせようとする風潮があります。そして、ともするとその人らしさを発揮できずに生きる人を作り出してしまっています。
 幼稚園では、一人ひとりの基礎の部分をしっかり育て、その子に与えられた能力が伸びていくための土壌を作りたいと思っています。そういう思いを、ご家庭のみなさまとも共有していくことができればと願っています。

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