ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

生態系の循環と子どもたちの学び

2021-07-12 10:59:57 | Weblog
 主なる神は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置かれた。主なる神は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。
 主なる神は人に命じて言われた。「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。」(創世記2章8-9節、16-17節)
 
 最初の人間であるアダムとイブは、神さまによってこの楽園のような庭に住まわされます。しかし、神さまとの約束を破ってしまったために、このエデンの園から追い出され、荒れ野を耕して生きるようになります。現代の社会の混沌や紛争はかりの世界を眺めていると、聖書に描かれたこの神話が、あながち絵空事とは思えません。

 でも、子どもたちには、エデンの園で育ってほしい。神さまが作られた楽園のような場所で過ごしてほしいと思います。

 ふたば幼稚園の庭には、実のなる木がたくさんあります。子どもたちが好きな時に自由に収穫して食べられるように、庭の木々や畑は、無農薬で維持されています。

 農薬を使わずに、果樹を育て、野菜を作るのは大変です。でも、子どもたちが好きな時に自由に収穫して食べられるようにするには、そうすべきだと考えています。

 無農薬でも害虫による作物への被害が出ないようにするため、ふたば幼稚園では、害虫の天敵を含めた生態系がバランスよく循環するように工夫をしています。

 野菜や木の新芽にはアブラムシが付きます。アブラムシの天敵はテントウムシです。テントウムシが暮らしていくことができるように、庭の外周には落ち葉が積まれ、雑草が生えるスペースを設けています。テントウムシなどの小さな昆虫たちは、子どもたちが立ち入ることのない落ち葉の下で越冬し、翌春からまた害虫を食べてくれます。

 木の葉には毛虫の類が付きます。しかし、園内にはカマキリが生息し、彼らを捕食します。カマキリは毛虫が付く木に卵を産み、越冬し、翌年また害虫を食べてくれます。

 庭の木々には、野鳥たちが集まります。木の実を食べるものもいれば、害虫を捕食する鳥もいます。害虫たちが増える時期は、鳥たちも大忙しです。

 園内には、カエルやトカゲもたくさんいます。カエルたちは蚊や羽虫たちを捕らえて食べ、トカゲたちも羽虫やシロアリを食べます。どんな虫にも天敵がいて、天敵がいる環境では、作物に大きな被害が出るほどには害虫が増えたりはしません。

 子どもたちは、テントウムシやカマキリを捕まえて遊び、カエルやトカゲを追いかけ回し、鳥たちの様子を見て楽しみます。虫捕りができたり、鳥たちが集まるような環境が、植物の成長に適しているのです。

 子どもたちは、このような環境で、虫や生き物たちと戯れ、自然の恵を味わい、自然を通して学んでいきます。生き物の生態や食物連鎖、自然の恵と人の営みとの関係、環境問題、持続可能な開発目標など、この庭を通して学べることがたくさんあります。恵みの庭は、豊かな学びの庭でもあるのです。

 エデンの園で育ち学んだ子どもたちでしたら、きっとこの世の中をエデンの園のような豊かな場所に作り替えてくれると思います。そんな子どもたちとともに過ごせることに感謝して、この小さな庭を守っていきたいと思います。
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