長野県諏訪二葉高等学校校長日記 2014・2015

諏訪二葉高校の校長です。校長の視点から学校の様子をお伝えしたいと思います。登校日毎日更新を目指します。ご愛読願います。

1月25日(月)厄投げ報告その3 2015-245

2016-01-25 06:27:51 | 日記

 本日も、厄投げの話題を。

 今日は、先週の金曜日に、生徒を「話者」にして、「聞き書き」した話を、民俗誌的に記述することにします。

 話者は、下諏訪町東山田在住の生徒です。高校3年生ですが、早生まれであったので、今年の1月14日の夜に、「厄投げ」を行うことになりました。平成10年の早生まれということになります。

 女の厄年の一つが、「数え年の19歳」ですので、平成10年1月生まれから12月生まれの者が該当ということになり、4月から12月に生まれている、「高校2年生」たちも、各地で厄投げを行っています。1月20日の「校長日記」で記したとおりです。

 それでは、「聞き書き」したことを中心に、記述していきましょう。写真も提供してもらいました。

 14日の木曜日、彼女は17時30分に学校を出て、電車に乗り、自宅に戻りました。

 前日までに、上の写真のお菓子をスーパーで購入してきました。一部、クリスマスパーティーの残り物も混ぜたとのことです。

 お菓子は、「19」個、用意したとのことです。

 また、「お金」も「19」の包を用意しました。

 上の写真のとおりです。

 内訳は、

 100円×5枚

  50円×2枚

  10円×9枚

   1円×3枚

 の19枚です。

 5円玉を入れなかったのは、お母さんと本人で話し合い、「5円はご縁につながるので、いれないほうがいい」との判断だったそうです。

 お菓子、お金以外に、新品のタオルを1枚用意しました。

 新品のタオルは袋から出し、自分の体で悪いところ(話者の場合は、膝と腰)にタオルをふれさせ、また、きれいにたたんで、袋にしまったとのことです。

 さて、この地区では、道祖神碑の前で、「厄投げ」を行います。同時間帯で、「ドンドヤキ」も行われてます。「マユダマ」を火にあぶり、その場で食べている人もいたそうです。

 「厄投げ」の時間は、午後6時30分から7時30分の間だったそうで、彼女は、午後6時55分頃に、道祖神碑の前で、お盆にいれた、お金とお菓子とタオルを投げたそうです。10分くらい、その場にとどまり、私のために、写真も撮ってくれました。

 小学生が多数、拾うために集まていたそうですが、少子化の影響か、子供の数は減ってきていると感じたそうです。

 家に帰る時には、「投げたあと、後ろを振り返ってはいけない」と言われているので、振り返らずに帰ろうとしたが、知っている人から、「○○ちゃん」と声をかけられ、無視するわけにも行かうず、振り返ってしまったそうです。

 彼女が小学生の頃は、みかんを投げる人もいたそうですが、彼女がとどまっていた時間帯の中で、みかんを投げた人はいなかったそうです。

 彼女の感想は、「厄投げで投げる『厄』、この『厄』を拾う人、はたして、『厄』を拾うことはいいことなのだろうか」とのことでした。

 「厄」を背負っている「お金」、「お菓子」、「タオル」が、拾われることによって、拾った人に「厄」が移っていくのではないかと、彼女は考えたということですね。さぁ、皆さん、このことをどのように解釈すればいいのでしょうか。

 このことの解釈を、様々な事例から判断して、「こうではないか」という一定の見解を、民俗学では持っています。それは、「拾った人たちに厄を分担してもらう」という解釈です。

 あることに、疑問を持ち、そのことが「どうしてなんだろう」と考えた彼女。これから大学に進学することになりますが、こうした興味・関心・疑問(問題発見力)を持ち続け、それを、解決する方法(問題解決力)を、ぜひ、大学での「学び」で身につけてほしいと願っています。

 以下の「ブログ」も参考までにご覧願います。

 http://blog.goo.ne.jp/futaba2014/e/b2d99afcad1a350e893a6a6efa5d3f83

 http://blog.goo.ne.jp/futaba2014/e/efab5dbaa4efa4548df61d4e4de9d83e

 校内では、7時限目に、2学年が総合的な学習の時間を使い、外部講師による講演会を実施します。