ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

さかなのナカ(3)

2008-12-17 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
水槽の中はきれいな水でいっぱいになりました。ナカのからだもきれいになりました。ナカは、とてもうれしくなって、水槽の中をとても早く泳ぎました。藻の間を竜巻みたいに回って遊びました。メリーゴーランドをクルクル回しました。動物たちは、いつもより、うれしく踊っているように見えました。

何日かして、ナカは、自分を見ました。目に写ったのは、また薄汚れた自分でした。

「いっぱい遊んだから、汚れたのかな。」

でもナカは、水槽の中の一番きれいな水のところに行って、もう一度からだを洗おうとは思いませんでした。洗ってもだめだとわかったからです。

ナカの飼い主は、水槽の中の水が汚れていることに気がつきました。そして、新しいきれいな水に入れ替えました。

水槽の中の水がまたきれいになったので、ナカもまたきれいになりました。ナカは、またうれしくなりました。ナカは、その水槽の中がとても気に入っていました。

ところが、また何日かすると、ナカは、自分が薄汚れていることに気がつきました。すると、ナカの飼い主は、水槽の中の汚れた水を、新しいきれいな水に入れ替えます。でも、そのときはきれいなのですが、また何日かすると、汚れてくるのです。何回水が取り替えられても、いつも何日かすると汚れてくるのです。

ナカは、その水槽の中がとても気に入っていましたが、いつも汚れてくるので、とても悲しくなりました。

「ボクは、この水槽の中がとても気に入っていて、いつも楽しく遊んだり、お昼寝をしたりできれば、とてもうれしいんだ。でも、どうして、いつも水が汚れてくるんだろう。水がきれいなままなら、ここは、もっと素敵なのに。」

(つづく)