ある日、ついに、主人は、ぶどうの枝に囲まれて立っている、リンゴの木を見つけました。
主人が、そのリンゴの木を切り倒そうとした、そのときです。
ぶどうの木 「お願いがあるのですが。」
主人 「なんだね、ぶどうの木。わたしはぶどう園を整えるので忙しいんだ。あとではだめかな。」
ぶどうの木 「どうしても、今、聞いていただきたいのです。」
主人 「では聞くとするが、手短にしろよ。」
ぶどうの木 「そのリンゴの木を残してはもらえないでしょうか。私にとっては弟なのです。」
主人 「残念だが、それはできない。ここはぶどう園で、ぶどう以外の木はすべて切り倒すのだ。」
ぶどうの木 「どうしても、だめですか。」
主人 「だめなものは、だめだ。」
ぶどうの木 「わかりました。それでは、彼といっしょに、私も切り倒してください。弟だけが切り倒されるのは、あまりにも悲しすぎます。」
主人 「何を言っているんだ。おまえは、ぶどうの木だから、切り倒されなくていいんだよ。」
ぶどうの木 「弟といっしょに切り倒されたいのです。」
主人 「仕方ない。そこまで言うなら、切り倒すとしよう。」
ぶどうの木 「ありがとうございます。切り倒される前に、もうひとつ、最後にお願いを聞いてください。」
主人 「まだあるのか。」
ぶどうの木 「私を切り倒した後、私を焼いて、その灰を、弟の切り株の上にかけてもらえないでしょうか。いつまでも、弟を守ってやりたいのです。」
主人 「わかった。約束しよう。」
そして、ぶどう園の主人は、リンゴの木と、そしてそのぶどうの木も切り倒しました。
(つづく)
主人が、そのリンゴの木を切り倒そうとした、そのときです。
ぶどうの木 「お願いがあるのですが。」
主人 「なんだね、ぶどうの木。わたしはぶどう園を整えるので忙しいんだ。あとではだめかな。」
ぶどうの木 「どうしても、今、聞いていただきたいのです。」
主人 「では聞くとするが、手短にしろよ。」
ぶどうの木 「そのリンゴの木を残してはもらえないでしょうか。私にとっては弟なのです。」
主人 「残念だが、それはできない。ここはぶどう園で、ぶどう以外の木はすべて切り倒すのだ。」
ぶどうの木 「どうしても、だめですか。」
主人 「だめなものは、だめだ。」
ぶどうの木 「わかりました。それでは、彼といっしょに、私も切り倒してください。弟だけが切り倒されるのは、あまりにも悲しすぎます。」
主人 「何を言っているんだ。おまえは、ぶどうの木だから、切り倒されなくていいんだよ。」
ぶどうの木 「弟といっしょに切り倒されたいのです。」
主人 「仕方ない。そこまで言うなら、切り倒すとしよう。」
ぶどうの木 「ありがとうございます。切り倒される前に、もうひとつ、最後にお願いを聞いてください。」
主人 「まだあるのか。」
ぶどうの木 「私を切り倒した後、私を焼いて、その灰を、弟の切り株の上にかけてもらえないでしょうか。いつまでも、弟を守ってやりたいのです。」
主人 「わかった。約束しよう。」
そして、ぶどう園の主人は、リンゴの木と、そしてそのぶどうの木も切り倒しました。
(つづく)