津波で砕けた建物の一片一片は、堤防のように高く長く積まれ、その分、空き地が広がっている。
だが、その空き地の所々に、今を生きる人々の一歩が見える。
亘理はイチゴの栽培も盛んだ。イチゴ栽培を再開させるハウスに、黄色い看板が掲げられていた。
「全国の皆さんありがとう 復興中 みやぎ亘理 太田イチゴハウス」という看板だ。
亘理の人々のあったかさが伝わってくる。
仮設の事務所も出来ている。
出来るところから、事業を再開しているのだ。
被災者によって、復興情報センターも作られた。
「わたり温泉 鳥の海」も、被災のため営業を休止しているが、1階にあった「ふれあい市場」は、通りの北側にある近所の「築港通り」に、仮設店舗を設けて営業再開したという。
また、わたり温泉鳥の海は宿泊施設を備えているが、向こう2年間を、災害廃棄物処理の共同企業体の宿舎として貸し出すそうだ。観光用に再開する前に、業者の宿舎として町の復旧に寄与することになる。
津波で町は消えても、今を、明日を生きるために、人々は動き出している。
そこにあった、ふるさとの輝きを、人々は決して忘れない。今も残る、ふるさとの食や唄が、人々の一歩一歩と共にあり、いつも励まし続けるだろう。