向山の広瀬川沿いの道を霊屋へと進む。
上ったり下ったりの坂道で、二股の道で右に折れると下り坂。
すると右手に広瀬川、左手には崖が見え、断層であることが目立つ所。
震災後、ここの景色が変わっていた。
久しぶりに通ったが、ぽっかりと空いていた場所に寂しさを覚える。
ここにはかつて、老舗の鹿落旅館があった。
興趣を添える内装や、冷泉を使った風呂が評判の旅館だった。
震災で、崖の岩が落ちてきて旅館は倒壊したという。
以前は当たり前にあったものが、震災後には消えていく。
何気なく通る街並みも、ある日、得難いものになるのだと、しみじみ思った。
*旅館の人々は無事、当時いた客も救出された。
旅館は廃業したが、現在は跡地に、鹿落堂という蕎麦と甘味の店ができて、評判となっている。