ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
他所で見る東北の足跡や繋がり、町の今昔や輝きを発信。

桜巡り帳2頁目:乃木坂

2019-03-30 18:20:43 | ゆるゆる歩き:旧跡

萩藩毛利家下屋敷の跡を右手に見て、赤坂方面へと道を進む。

間もなく、道は高くなって下にも通りが見え、陸橋になっていると気付く。

すると目の前に、木立とレンガの建物が見える乃木公園があった。


入り口からすぐ、レンガのアーチの向こうに桜が見える。


アーチをくぐれば、脇にレンガの厩、奥に旧乃木邸があった。

 


乃木希典は、明治の軍人である。

だが、その生き方を見ると、乃木大将は侍というのが相応しく思う。

艱難と忍耐の人生であった。


軍旗を失い、子を失い、部下を失い、自責に耐えて人のために尽くす。

最期は、明治天皇の大喪儀で弔砲と梵鐘の鳴る中、妻と共に殉死した。


アーチから覗いた桜は、棗の隣にある。

旅順の壮絶な戦場の一角に、その棗の親木はあった。


旧乃木邸は窓から中が見え、写真や遺品、自害の部屋も見える。


ぐるりと回って庭に出ると、一角に瘞血之處があった。


庭から脇への出入り口を抜けると、乃木神社がある。


逆境の中で厳格に生きた乃木大将は、痛みを知るゆえに憐憫仁慈の人でもあった。

苦悩深き大将を支え、添い遂げた妻もまた仁慈の人である。


乃木大将と妻の情けを、世の人々が返す形となったのがこの神社だ。

今、乃木邸や社殿に寄り添う桜が咲いている。


参考:港区 旧乃木邸/乃木神社由緒・御祭神事績/国立古文書館アジア歴史資料センター



桜は、じっと耐えて時を待ち、伸びやかに微笑む様に思える。

そして、今を生きる人々と、喜びを共にする。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。