本塩釜駅から本町へ出ると、商店街の間に御釜神社がある。
鳥居の脇の木は、早咲きなのでもう花が無いが、境内の奥に見事な垂れ桜があり、花が降り注ぐように咲いている。
藻塩を焼く竈の傍で、淡い紅色の枝が揺れて麗しい。
宮町の丹六園前の大通りからも、愛宕神社や塩釜公園の辺りだろうか、泉ヶ岡の方向に満開の桜が見えた。
その大通りの街路にも、「塩観ざくら」と愛称がつけられた八重紅垂れの桜が咲いている。
塩釜市では、数年前に「塩釜さくらの会」が作られ、樹木オーナーを募って桜を植樹している。
奥州一宮おうしゅういちのみや(格式高く上位)である「塩釜神社」には、天然記念物となった「塩釜桜」がある。かつてあった桜は老いて枯れたが、接木で甦った桜が植えられ、再び天然記念物となっている。
塩釜桜は、淡い紅色で、毬のように集まって咲く八重桜だ。
卯月の終わり頃から皐月の初め頃に咲くので、他の桜より少し後に見頃となる。
その塩釜桜が、一足早く咲いているのを見つけた。
といっても、それは繭玉で作った飾りである。
仙台藩の養蚕発祥の地という、南三陸町の女性たちが製作しているそうだ。
この繭玉細工は、根付とブローチがあり、宮町の味噌醤油を作る「太田與八郎よはちろう商店」や、駅前の観光物産案内などで販売されている。
本塩釜駅から、沿線の道を西塩釜駅方面へ進むと、海苔の柴崎屋があって、その脇にも満開の桜があった。
傍で何ともいい声がする。
心地よい軽快な笛の音みたいな声の主は、青い鳥(胸は褐色)のイソヒヨドリだった。
満開の花に、イソヒヨドリも気分良く歌っていたようだ。