塩竈の本町、造り酒屋の佐浦を過ぎて、道を左に折れると、一番館がある。(←佐浦)
(←壱番館)
一番館から少し戻り、辻に出る。
まるで、道の真ん中にあるように見えるお肉屋さんを右手に見て、辻を渡ろうとすると、ここは信号が点いていない。
神奈川だったか、他所の県警の方が交通整理をしてくれていた。
猛暑の中、本当に大変だろうに、ありがたいと思って頭を下げて渡ったら、笑顔を返してくださった。
渡った先には、やみ市と呼ばれる鮮魚店の並ぶ路地がある。
震災の影響で、建物が破損している所があり、路地を除くがかつての市の姿はない。
通り過ぎて、本塩釜駅前に出る。
駅の向かいから見て、右手に店がある。
その日は休みだったが、以前に見かけた猫が、ちゃんとそこにいた。
お昼寝中だった。
一応声をかけてみると、やはり眠り猫のままだが、耳だけちょっと動かしてくれた。
夢の中で挨拶は交わせたかな。
駅はまだ、修復中だった。
駅前のビルは、地盤が沈んだか、建物との間に隙間が出来ている。
ぐるりと廻って、柳の揺らぐ涼しげな様を見ながら、街道沿いを進み、丹六園の前に出る。
丹六園の裏手に回ると、崖の上に、かつての法蓮寺跡で唯一残った書院が見える。
どうやら、震災にも耐えたようだ。
宮町から坂を上り、塩竈神社へと戻る。
この日、千賀の浦は青く穏やかであった。
風が爽やかに、町を木々を人を撫でていく。
修理に励む人々や、明るく挨拶を返してくれる人々に会い、ほっとしたひと時だった。