本朝徒然噺

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横浜にぎわい座 名作落語の夕べ

2007年07月14日 | 落語随談
横浜にぎわい座の「名作落語の夕べ」へ行ってきました。

横浜にぎわい座の館長は、あの玉置宏さんなのですが、その玉置館長自らが演題や出演者をセレクトしている落語会が「名作落語の夕べ」です。
「名作落語の夕べ」は月に一度開催されており、玉置宏さんご自身が司会・解説もしてくださいます。

今回は、「夏」と「旅」をテーマにセレクトされたようで、三遊亭吉窓師匠による「夏の医者」、五街道雲助師匠による「もう半分」、桂小南治師匠による「七度狐(しちどぎつね)」、桂小文治師匠による「小間物屋政談(こまものやせいだん)」の四席でした。

今回取り上げられた噺は、普段の寄席ではなかなか披露される機会がないものばかりなので(「夏の医者」は故・三遊亭圓彌師匠が生前かけておられましたが……)、「はるばる横浜まで聴きに行く価値あり!」と前売券を買っておいたので、大雨の中を遠路出かけてまいりました

■夏の医者

「夏の医者」は、六代目三遊亭圓生師匠の十八番とされていた噺です。
今回は、その圓生師匠の孫弟子である三遊亭吉窓師匠がやってくださいました。
こうして一門の芸風が受け継がれていくのは大切なことだと思いますし、鬼籍に入られた方々のファンだった人にとっては嬉しいことだと思います。

■もう半分

「もう半分」は、怪談仕立てになっているのですが、サゲはおかしみがあります。
滑稽噺から人情噺、怪談噺、芝居噺まで幅広くこなしておられる五街道雲助師匠ならではの、とても聴きごたえのある高座でした。
こわいところ、悲しいところ、面白いところ、芝居仕立てになっているところなど、それぞれの描写が細やかで的確で、情景がとてもよく伝わってきました。
客席も噺の世界に引き込まれていた感じでした。

■七度狐

「七度狐」は、もともと上方落語です。
旅の男二人が、一膳飯屋でくすねてきた木の実和えを道中で食し、カラになった擂り鉢を茂みに投げ捨てます。それが狐の頭に当たってしまったため、狐が怒って二人を化かします。
この噺を得意としていた故・桂小南師匠は、関西から東京に移ってこられた噺家さんです。
今回は、小南師匠のお弟子さんである桂小南治師匠が披露してくださいました。
登場人物の台詞などは東京ことばに置き換えていますが、上方落語特有の「はめもの」(噺にあわせて演奏されるお囃子)は入っており、上方落語特有のにぎやかな雰囲気が出ていました。小南治師匠のユーモアたっぷりの語り口ともあいまって、とても楽しめました。

■小間物屋政談

「小間物屋政談」は、「しょい(=背負い)売り」の小間物屋・小四郎が、江戸から上方へ商いの旅に出ている間に騒動に巻き込まれるという噺。
旅の途中で、江戸にある小間物の大店・若狭屋の主人を助けた小四郎。追いはぎにあって困っている若狭屋に、小四郎は自分の持ってきた着物を着せてやります。「江戸に戻ったら必ずお礼にうかがいたいので、あなたのお住まいとお名前を教えていただけませんか」と若狭屋に頼まれ、小四郎は長屋の住所と自分の名前を紙に書いて渡します。
しかし、これがトラブルの始まり。
小四郎の着物を着て、小四郎の名前を書いた紙を持った若狭屋は、小四郎と別れた後ふとしたことで死んでしまうのです。
「身元確認」の結果、死んだのは小四郎だと勘違いされてしまいます。
江戸には小四郎の愛妻がいるのですが、「小四郎」の三十五日の法要がすんだ後、長屋の大家の強い勧めで小四郎のいとこ・三五郎と再婚してしまいます。
三五郎との新しい生活にもすっかり慣れたころ、ひょっこりと小四郎が戻ってきたからさあ大変。
でも、町奉行・大岡越前守の名さばきにより、すべて丸くおさまってメデタク解決します(どんな方法で解決するかは、噺を聴いてのお楽しみ)。

故・十代目桂文治師匠のお弟子さんである桂小文治師匠の軽妙洒脱な語り口で、すっきりと後味の良い噺に仕上がっていました。

落語にはほかにも、「三方一両損」「鹿政談」など、お奉行さまの名裁きを題材にした噺があります。
そのどれもが、「善良な市民が救われる」ようになっています。
いつの時代も「お上」は、つつましく暮らす善良な人々のミカタであるべきですよね。
現代の政界や法曹界の人々には、ぜひこういった噺を聴いていただきたいものです。

■追伸

「名作落語の夕べ」には、大雨の中「決死隊」のお客さんたちがたくさん集まりましたが、7月15日(日)の「横浜にぎわい座有名会」は台風の接近と重なってしまいそうなので、玉置館長も心配しておられました。
15日は「1000円デー」だそうですので、タクシーでも行ける距離の所にお住まいの方で、「台風のせいで連休の予定が狂っちゃったけど、どこかに遊びに行きたい」とお考えの方は、お出ましになってみてはいかがでしょうか
開演は午後2時、当日券は午前10時から発売されるそうです(詳しくは、横浜にぎわい座ホームページをごらんください)。

■追々伸

前回、横浜にぎわい座へ「三遊亭圓丈独演会」を聴きに行った時は時間がなくて洋服にしてしまったので、「今回はキモノで行くぞ!」と思っていたのですが……台風接近中とあってさすがにあきらめました……
家を出る時は、雨脚は強かったのですが風がなかったので「これならキモノでもよかったかな」と考えたのですが、にぎわい座のある横浜・桜木町に着いたら、海からの風がかなり吹いていたので、やっぱり洋服にしておいてよかった……と(笑)。
寄席だから木綿の着物でもいいとはいえ、裾をビショビショにして行ったのでは落ち着いて噺を聴いちゃいられませんから……(座席を濡らしちゃうと玉置館長に申し訳ないし……笑)。

にぎわい座は、近くからのお客さんが多いようなのですが、それでもさすがに着物姿の人はほとんどいらっしゃいませんでした。
お一人だけ着物の方がいらっしゃいましたが(スゴイ!)、さすがにあの雨と風の中では、「いいなあ、やっぱり私もキモノで来ればよかったかしら」という気分にはなりませんでした(笑)。

来週、大阪へ「遠征」に行く時には絶対にキモノにしようと思っております。
そのころには梅雨明けしてるといいんですが……。夏キモノは、炎天下で着るのが醍醐味ですものね

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2 コメント

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Unknown (あつこ)
2007-07-15 23:49:52
藤娘さん
行ってきましたよ、15日のにぎわい座。
この天気なら当日券もあるだろうと。
案の定入れましたが、でも満席でした。
で、
私、き、も、の、で行きました。
だってもう雨は上がりそうでしたから。
でも私一人でしたね、着物の人は。
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あつこさま (藤娘)
2007-07-16 08:32:08
お足もとの悪いなか、お出ましになってくださったのですね!
ありがとうございます

「1000円デー」の日が初めて日曜日と重なったので、当日券をいつもより多く(150枚)確保していたそうなのですが、台風の接近に重なりそうなのでお客さんの出足が鈍るかも……と、寄席サイドは心配だったようです。

でも、足もとの悪いなか満員のお客さんだったとは、スゴイですね!
きっと玉置館長も喜んでおられると思います

お着物でお出ましになったとのこと、さすがあつこ様!
今回の台風は、接近する前のほうが強い雨が降って、変な感じでしたね……
あつこ様がお出かけのころ雨脚が弱まっていて、よかったです

にぎわい座では、毎月いろいろな企画をされているようなので、お時間がありましたらまたぜひお出ましになってくださいまし
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