Entrance for Studies in Finance

マイナス金利導入と三菱東京UFJのPD資格返上

2016年6月三菱東京UFJ銀行がPD資格(primary dealership:政府から直接 国債を購入できる資格を言う 国債市場特別参加者)(2004年10月に導入)返上を申し出たことが明らかになった。現在PDは銀行証券の22社(他方 国債の入札に参加するのはこの22社を含む246社)。義務として国債入札で発行額の4%以上の応札義務。また短国で0.5% 短国以外では1%以上の落札義務などがある。これまで返上した例がなく今回の申し出は異例。三菱では落札義務の緩和などを求めて交渉してきたが、財務省側が拒否したとされる。

銀行側にすると国債保有リスクの高まり 流動性下がり金利急上昇リスク マイナス金利:満期保有すると損失がでる。マイナス金利下では国債に投資できないことを態度で示すもの。

民間銀行の国債保有額は2015年末で229兆円(資金循環勘定ではゆうちょ銀服務銀行の保有高は237兆円 金融緩和政策のため 日銀の保有が年80兆円ずつ増加 日銀の保有比率は12年末は1割弱 15年末で4割超え 300兆円越え 16年内には5割に迫る予定 月9.65兆円の買い入れ規模維持がむつかしくなっている 2016年6月は9.53兆円にとどまった) 担保としての保有ニーズはある 結果として国債売買が減少 ⇒ 国債の流動性低下(業者間売買 2016年4月には1日1000億円強 6月には700億円まで低下) 日銀の大量購入で需給はひっ迫 ⇒ 市場の警鐘昨日が働かない

このほか銀行間の短期金融市場も祝勝コール市場 レポ市場など背景:マイナス金利の債券をもちにくい ⇒ 市場の乱高下につながるとの指摘あり

3メガ行の国債保有高は2016年3月末で54兆円 三菱東京はとくに切迫感がある。

2016年3月末の保有高は 三菱UFJFG28.3兆円 みずほFG15.6兆円 三井住友FG9.8兆円 計53.7兆円 銀行は自らの運用のため購入 投資家に販売することが目的の証券とそもそも立場が違うとされる(2013年3月末は40.1 30.6 26.2兆円の順 削減率は50.4% 49.0% 62.6%で3年間で半減させたことがわかる )  保有国債残高の大きい三菱はマイナス金利化の影響が最も大きいとされる。

満期まで持つ(バイアンドホールド)と損失は発生する状態でPDにとどまるメリットは少ない。PDに応札予定額の4%以上応札の義務付けが負担になっている。東京三菱の資格返上という動きに、財務省では7月13日 15日付けで特別資格からの除外を発表する一方、国債入札特別資格の見直しに動き始めた。具体的には特別入札への配分を現在の1割までを15~20%に引き上げるなど。英国では国債入札を特別資格の保有者に限定、また引受団方式を採用している。

マイナス金利 内部留保に課税しようという発想と同じ お金を投資や融資に回す行動をとらせようとするもの 罰金で企業を無理強いする:官尊民卑の発想とも批判されている。

復興資金の受け入れで預金が増えたが これに対してもマイナス金利の負担は理不尽

16年1月 マイナス金利導入(日銀に預けるお金を増やした分のうち任意預け入れ分にマイナス金利0.1%がかかる 3月にはMRFは対象外に 13年4月質的量的金融緩和導入 マネタリーベースを増やすことで予想インフレ率上昇させようとしたが失敗 円安・株高 14年後半から原油価格の大幅な下落 問題は下落が一時的でなかったこと 裏の狙い:公的負担の軽減にはなった 国債金利をインフレ率より低くして国債価値を年年減らす 金融抑圧を招くのがマイナス金利の意味とも こえまではインフレ率が低く実現しなかったが 国債金利をマイナス化できれば) マイナス金利は金利頼みの年金生活者切り捨ての側面がある。

マイナス金利導入のため債券の利回りが低下 証券会社各社ではMMF(短国 CPなど主として1年未満の債券で運用する 株式を購入するまでの待機資金の置き場所であった)の販売を見合わせた。2月5日までに野村AMが新たな購入受付を停止し、国内11社すべてで購入でなくなった。1月末の残高は約1.6兆円(ピークは2000年5月で残高早く21兆円 2001年にエンロン破綻で元本割れ問題が起きている。) 2月8日 日興AMがMMFの運用資金の返済償還を発表した(これが他の運用会社に広がる可能性がある(3月7日までに7社 野村は8月末 大和が10月末に償還予定)。同様の商品にはMRFがあるが、決済口座の側面があるため償還にふみきれないようだ。MMFの消滅は、株式投資への入り口を狭めているという批判がありうる。

このほか維持が難しくなっている商品に、中国ファンド 一時払い終身保険 一時払い年金保険があり、一時払い終身保険 一時払い年金保険については販売停止の動きが2016年3月に表面化した。

4月21日マイナス0.135% 過去最低 10年物国債の流通利回り

4月28日 日銀金融政策現状維持決める 物価目標達成時期を従来の17年度前半ごろから17年度中に再び先送り 16年1月の展望レポートで16年度後半ごろから17年度前半に先送り

6月10日マイナス0.155%(残高の8割近くがマイナスに) 長期金利過去最低

6月13日 一時マイナス0.165% 三菱東京UFJ 資格返上を正式に財務省に伝える

6月15日 一時マイナス0.195%

6月16日マイナス0.21%

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