Entrance for Studies in Finance

イタリア モンテパスキ銀行の救済の是非を巡る混乱

イタリア モンテパスキ銀行の破たん 1472年創業で現存する最古の銀行 資産規模でイタリアで3位 200702008に準大手のアントンベネタを買収 2009年政府の資金注入 2012年政府の2度目の注入が決定されたものの2013年にデリバテブ取引で損失隠し発覚 イタリアの銀行不良債権は3600億ユーロ(44兆円):ユーロ圏全体の4割 うち455億ユーロガモンテパスキのもの イタリアでは欧州債務危機のあと、不況が長引いたことで銀行の不良債権〔不良債権を抱える銀行の貸し渋り、不良債権の増加 さらなる貸し渋りの連鎖という悪循環になっているとされる)が次第に膨らんだ。最大手のウニクレディトも自己資本比率の低さが指摘されている。

預金の流出進む 政府(モンテイ政権 2011年秋から1年強 その後 レンツイ政権による不良債権買取を銀行支援にあたるとして欧州委員会が難色 欧州委員会による株主や銀行債保有者(高利回りの劣後債を発行 小口投資家が6割超くを所有)に損失条件:銀行再生破綻処理指令(2016年1月)に国民の反発多い EU懐疑派は欧州委員会の指令を無視して国有化主張)の歳出削減と増税で消費の縮小 失業率の増加招いた

12月4日憲法改正案(上院を地方の代表者として、その権限大幅縮小、中央集権の強化も意図)の国民投票否決(反対59.6% 賛成40.4% 投票率67% 国民は景気回復の遅れ 独断の多いレンツイ首相の権限強化に不満)でレンツイ(EU論者 労働市場の改革主導 景気回復遅れに責任)が首相辞任 反ユーロ唱える五つ星運動が勢い ジェンテローニ暫定政権発足 21日までに銀行支援予算200億ユーロを確保

12月8日 欧州中央銀行はイタリアの混乱を横目に、量的金融緩和の終了(2017年3月)を9ケ月先延ばしすること、買い取り額を200億ユーロ減らして毎月600億ユーロとするとした。OPECの石油減産が8年ぶりにきまり、エネルギー価格が上昇する懸念が強い中、大変わかりにくい行動であった(ドイツ国債が品薄の為との指摘がある)。金融緩和を終える方向なのか。規模を変えた延長なのか。欧州中央銀行はこれはテーパリング(段階的縮小)ではないとした。9ケ月延長で5400億ユーロは6ケ月800億ユーロで4800億買取りという市場予想より、緩和策強化という主張だ。たしかにそうもいえるので、これは政策として何を目指すのかよみとりにくい。金融緩和が続いているとも、縮小に入ったとも、いずれの主張も可能だ。

12月22日 自立再建できず(7月発表の50億ユーロ増資計画失敗 DES:債務の株式化を狙ったが失敗 カタールの政府系ファンド動かず) イタリア政府は救済を閣議決定 投資家を保護するイタリア政府の方針と欧州委員会の方針が対立。正確にはイタリア国民と欧州委員会が対立する構図。ヨーロッパの中でギリシャのついで公的債務の対GDP比率が高いとされる。

他方、ジェンテローニ政権の後ろにはなおレンツイがおり、この新政権の基盤は弱い。欧州委員会が増資問題でイタリア政府と対立すれば、イタリア国民はEU離脱を決断することになるだろう。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Area Studies」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事